さくら進学クリニック 『進学コラム』

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675.公立上位校受験の基礎知識 その2 -内申点・私立編-

こんにちは、さくらです。

前回は公立上位校入試における内申点の扱いについて書きました。
今回は私立上位校入試での内申点について書きたいと思います。(今回は結構な大作です)

《公立上位校受験の基礎知識 その2》
安全校で困らないためには、5科23、9科39以上の内申点を確保したい!
でも、公立1番手校志望なら安全校で悩まない、実力があれば問題なし!

一般に「公立入試は内申点を加味するが、私立は内申を見ない試験一発勝負」と思われているようです。
それは、一部で正しく、一部で正しくありません。
そのあたりを詳しく解説していきましょう。


千葉県の私立高校は合否判定の仕方によって2つのグループに分類できます。

1.入学試験の成績で合否がほぼ決まる高校
2.中学校の成績で合否がほぼ決まる高校 (入試相談のある高校)

試験の成績で合否を決める入試しか行っていない高校は多くありません。
私が知る限り、渋谷幕張・市川・昭和秀英専大松戸日大習志野芝浦工大柏・成田・麗澤の8校だけです。(県内全日制私立高校の約15%)
いずれも上位校と言われる高校で、合格には高い学力が必要です。
公立上位校志望の生徒にとっては次善校(第2志望校、受験校数によっては第3志望にも)になります。
渋谷幕張は県千葉受験生でも次善校にはなりませんが)

ただし8校すべてが内申を見ないわけではありません。
この中で芝浦工大柏は内申点を合否判定に使用します。
同校で使用する内申点は「中3の9教科合計(5段階×9教科=45点満点)」です。

内申点の配点は3教科受験と5教科受験で異なり、以下の計算になります。(芝柏は3科受験と5科受験が選べます)
3教科受験の場合・・・試験300点+内申27点(9科×0.6)= 327点満点
5教科受験の場合・・・試験500点+内申45点(9科合計)= 545点満点
いずれも内申の配点は試験の1割に満たないので、芝柏も試験の成績でほぼ決まると考えてよいでしょう。

この8校ではどんなに学校の成績がよくても、入学試験で合格点を超えなければ合格できません。
合格を手にするためには受験勉強を頑張るのみです。


内申点が意味を持ってくるのは「中学校の成績で合否を決める高校」です、前出8校以外の私立高校(県内私立高の約85%)が属します。
このグループの高校では12月に入試相談というものが行われます。
中学校の先生が私立高校に出向いて、生徒の合格可能性について相談するもので、この相談でほぼ合否は確定します。
内申点が基準に届いていれば合格がほぼ約束されるので、このグループの高校は安全校(滑り止め)として使われます。
(ふつうは、中学校の先生はこのグループの高校しか安全校として認めてくれません)

私立で内申点が関係あるって「単願のこと?」と思った人は鋭いです。
そうです、多くの私立高校には単願とか専願とか第一志望とか呼ばれる制度があります。
「合格したら必ず進学する」と約束するかわりに、早期に合格を内定してもらう仕組みです。
もちろん誰でも合格させてくれるわけではなく、高校ごとに合格を得るための基準があります。
その基準となるのが中学校の成績です。(高校によって異なりますが、3年の2学期または前期を使用することが多いです)
3年の成績がその高校の基準を満たしていれば、入学試験の成績がよほど悪くない限り合格を手にできます。

単願の話なら公立上位校志望の生徒には関係ないのですが、併願で受験する場合にも同様の制度が使われています。

例を挙げると、市川市国府台女子学院という学校があります。
共学人気の中で、進学校としての実力を維持している県内唯一の女子校といってよい存在です。
安全校に使える高校の中では早慶やMARCHなど有名私大に強く、私立2番手校の日大習志野あたりと比べても遜色ない実力の高校です。

今春、国府台女子学院・普通科では、単願推薦30名、併願推薦70名という募集を行いました。(他に英語科30名を募集)
単願推薦の基準は5科21以上、併願推薦の基準は5科23以上で、いずれも入試相談が行われます。
ただし、そもそも推薦入試なので基準を満たしていなければ出願することもできません、相談は簡単に終わったでしょう。
同校の併願推薦では不合格が数名出るときがありますが、合格がほぼ約束されていると言ってよいです。
このように多くの私立高校では、併願で受験する場合にも、中学校の成績で合格がほぼ約束されるようになっています。

もう1つ例を挙げます、同じ市川市日出学園という学校があります。
幼稚園、小学校、中学校、高校で少しずつ生徒を募集する、比較的小規模の目が届く教育を行う学校です。
県内の私立校の中では珍しいカラーの高校なので、好みに合えば勧められる学校でしょう。

今春、日出学園では、推薦20名、一般20名という募集を行いました。
推薦の20名は専願と併願の合計です。国府台女子と違って専願と併願で定員を分けていません。
推薦基準は専願が5科21以上、併願は23以上です。

推薦は基準を満たしていなければ受験できないので、満たしていない生徒のために一般入試も用意しています。
一般入試とは受験資格の設定がない誰でも受験できる入試です、入試相談のない高校(前出の8校)の併願はすべて一般入試です。
日出学園は初めに書いた「試験の成績で合否を決める入試」と「中学校の成績で合否を決める入試」の両方を実施している高校なのです。

入試結果は推薦が受験258名で合格249名(1.04倍)、一般は受験41名で合格16名(2.56倍)でした。
一般入試は試験勝負の入試ですから、ふつう倍率が高く厳しい入試になります。
入試相談のある高校では、中学校の成績が基準以上あれば非常に有利に受験ができることがわかるでしょう。

気をつけたいのは、ほとんどの高校では入試相談で合格の約束がもらえるのは普通コースだけだということです。
国府台女子の選抜クラス、日出学園の特進コースといった上位コースに合格するためには、入学試験で基準点を超える必要があります。
上位コースを希望して受験しても、基準点を超えなかった場合は普通コースでの合格になります。


ところで、上にあげた2校では入試相談で合格を約束するのは推薦入試ですが、一般入試という形で入試を行う高校もあります。
上にも書いたように、一般入試は受験資格の設定がない誰でも受験できる入試です。
したがって、ホームページで募集要項を見ても合格の基準など一切書いてありません。

例えば、八千代市八千代松陰という学校があります。
入試日程が他校と重ならないため、公立上位校との併願者の多い高校です。

今春、八千代松陰高校では、進学コース340名、IGSコース70名、AEMコース30名という募集を行いました。
各コースの定員は単願と併願の合計です。(日出学園と同じ、単願と併願で定員を分けていないパターンです)
募集要項を見ると、出願資格の欄には次のように書いてあります。

単願=本校を第1志望とし、学習成績が良好である者。
   または、本校を第1志望とし、スポーツ・生徒会活動等で特色がある者。
併願=本校を第2志望以降とし、学習成績が良好である者。

併願はおろか、単願でさえ成績の基準が書いてありません。
同校の入試はあくまでも一般入試なので、出願に際しての基準はないのです。

では、試験一発勝負の入試なのかと言えば、そうではありません。
ちゃんと12月に入試相談が実施されて、基準を超えていれば合格の約束がもらえるのです。
(基準に達していない(入試相談を通していない)場合は試験勝負の入試になります)
募集要項に基準が書いてなくても、しっかり基準は存在しているわけです。
でも、同校ホームページのどこを探してもその基準は出てきません。
それは、内々の(非公式な)情報なのです。

上にも書いたように、推薦入試の場合は基準を満たしていないと出願すらできません。
公立と違い私立は商売なので、なるべく多くの受験生に来て欲しいというのが本音です。
また、基準を満たしていないからと、出願もさせずに門前払いしてしまうのは印象がよくないでしょう。

日出学園のように一般入試も実施すればよいのですが、高校側にとっては平行して異なる制度の入試を行うことは負担が増えることになります。
運営にミスの許されない入学試験において、作業が煩雑になるになることは好ましいことではありません。
それなら最初からすべて一般入試にしてしまえば、別枠で実施する必要がなくわかりやすいじゃないかということです。
(本当にそういう理由なのかは関係者しかわからないので、想像でしかありませんが)
ただし、一般入試にすることで合格の基準を明確に示せなくなるので、内々の情報なんていう怪しい感じの入試になるわけです。

入試相談ありの入試を一般入試で行う高校の合格基準は、中学校の先生や塾の先生に聞けば教えてくれるでしょう。
書店に行って、高校受験ガイド本(いくつも出ていると思います)を見ても載っているはずです。
(すみません認識不足でした、実際に書店に行って見てみると結構載っていませんね)
せっかくなので受験ガイド本は1冊持っていてもよいでしょう、受験情報の勉強になります。
入試相談のない試験勝負の高校、入試相談のある推薦入試の高校、入試相談のある一般入試の高校など、ガイド本を見れば判別できます。
ちなみに、入試相談で合格の約束をする高校では、あらかじめほぼ合否が決まっているため偏差値も倍率も合格発表も意味がありません。
そもそも合格発表の掲示などなかったりします、少し寂しいですね。
入試相談ありの一般入試の高校だと、ホームページを探しても倍率などの入試結果がほとんど載っていなかったりもします。


ということで、今回の基礎知識です。
安全校で困らないためには、5科23、9科39以上の内申点を確保したい!
まあ、このくらいあれば、ほとんどの高校の入試相談は通るでしょう。

ただし、公立上位校志望の生徒にとって、安全校は「絶対に進学することになってはいけない高校」です。
進学することのない高校にエネルギーを割かなければならないのは、本末転倒ではありませんか。

例えば、県立船橋高校を第1志望校とする受験生の最もポピュラーな併願パターンは
1月17日 日大習志野(第3志望校)
1月18日 昭和秀英 (第2志望校)
1月20日 八千代松陰(安全校)  でしょう。

八千代松陰は他校との重複がほとんどない20日に試験があるので、安全校として併願しやすい高校です。
ただし、入試相談で要求される内申点はけっこう高めです。

船橋に合格できるレベルの受験生なら、17日の日大習志野はだいたい合格するでしょう。
日大習志野の発表は翌18日なので、合格していれば20日八千代松陰は棄権してしまうことができます。
昭和秀英の発表は20日なので間に合いません)
このように安全校の入試が後にあれば、実際には受験することがなかったりします。
注:来年の日大習志野の発表は19日のようです

受験することすらないかもしれない安全校のために、内申点に悩まされるのはバカバカしくありませんか。
もし、あなたが内申点不足で苦労するようなら、1月23日ごろに併願推薦入試を行う都内校を安全校にすればよいのです。
内申が低いと、高校のレベルを下げる必要はあるかもしれませんが、どうせ日大習志野に合格したら棄権する高校です。
「最悪の最悪」という状況の時だけ使用する保険なのですから、レベルを気にする必要はありません。
(もちろん、最悪の最悪の場合が来ることもありうるわけですが、その時は公立を薬園台とかに下げればいいのです)

内申点を上げるという作業はとても大変です。
1年2年と内申点に悩まされてきた生徒が、3年になって夢のように得点できるようになるはずがありません。
今までうまくいかなかったことには理由があるものです。

それなら受験勉強をしっかりやって、県内の私立上位校に受かってしまえばいいのです。
日大習志野専大松戸A・芝浦工大柏GLといった私立2番手校は、公立1番手校受験生にとっては安全校に近い次善校です。(地域によっては成田や麗澤でもよい)
第1志望の公立に合格できる実力があれば、これらの私立にはまず合格できるでしょう。
(もちろん試験は水物ですから、実際には想定外のことが起こることもありえますが、それを言ったらきりがありません)

そんなわけで、改めて今回の基礎知識です。
安全校で困らないためには、5科23、9科39以上の内申点を確保したい!
でも、公立1番手校志望なら安全校で悩まない、実力があれば問題なし! 以上です。

ただし、第1志望が佐倉・小金・薬園台・市千葉といった2番手校の場合は多少の不安があります。
日大習志野に不合格で、薬園台は合格なんて話はざらにあります。
ただ、公立2番手校志望なら市川や昭和秀英は受けないでしょうから、専大松戸2日間とか芝浦工大柏2日間とかで確率を上げることもできます。
また、近くなら成田は倍率も低いしおすすめです。
この作戦でいく人は、くれぐれも受験勉強を頑張ってください。


ところで前回も書きましたが、これは学校の勉強はしなくてよいという意味ではありません。
2年までのように「定期考査前は試験勉強に100%注力」というのを改めましょうということです。
定期考査前でも、いつもの受験勉強の6・7割くらいは継続していけるようにバランスを考えましょう。
(定期考査前だからといって塾を休むなど愚の骨頂です、私の塾では考査前を理由に休むことを禁止しています)

学校の勉強は、高校受験においても非常に重要です。
中学受験と違い、高校受験では学校の勉強をベースに入試問題が作られています。
受験勉強の基本は学校の勉強にあるので、学校の授業はしっかり受けなければいけないし、復習もしっかりやりましょう。
ただし、3年生は学校の勉強と受験勉強とのバランスを常に意識して、受験勉強が足りなくならないように気をつけようということです。
具体的に何をどうしたらよいのかは、それをアドバイスするのが塾の仕事なので企業秘密です。
(…というのは冗談ですが、実際は生徒の志望校や得意・不得意によって違ってきますからね)
まあ、いろいろ試行錯誤しながら、自分の実力が上がる方法を見つけ出してください。


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