こんにちは、さくらです。
今年も過去の入試問題に取り組む時期がやってきました。
ところで、みなさんは千葉県公立入試の教科別特徴を理解しているでしょうか。
得点しやすい教科、ミスを想定しておくべき教科、時間配分に気をつけなければならない教科・・・。
かつて300点前後だった平均点は前期選抜では250点前後に下がり、得点しにくいものに変わってきています。
教科ごとの特徴を理解しておかなければ、時間内に自分の実力を出し切ることは難しいでしょう。
今回は学校でも塾でもあまり教えてくれない、公立入試の教科別特徴について書きます。
各教科の特徴をしっかり頭に入れて過去問に取り組んでください。
(このコラムはさくら進学クリニックで6月に実施した高校入試説明会の内容の一部をまとめたものです)
ここでは5月に県から発表された「平成27年度 千葉県公立高校学力検査の結果」を題材として使用します。
千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「平成27年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「26.平成27年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について<報道発表>」と進み
「平成27年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果(PDFファイル)」をダウンロードするか、その場で開いてください。
この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは、前期・後期の最後に掲載されている「受検者の得点分布」という簡単なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は75点、85点など10点刻みの中間に打ってありますが、これは70点台、80点台という意味だと解釈しています。
(中学校の数学で習う「階級値」です)
注意:人数の比率(%)は私が目分量で読んだ数字です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
はじめに、特徴の違いがわかりやすい「国語」と「英語」から見ていきましょう。
平成27年度の平均点
前期 国語 48.5点 英語 55.9点
後期 国語 55.9点 英語 54.5点
国語と英語の平均点を比べると、前期は英語が7点以上も高く、後期は国語が1.4点高くなっています。
これを見ると「前期は英語のほうが易しく、後期はほぼ同程度の難易度だった」といえるでしょう。
はたして、本当にそうだったのでしょうか。
国語・前期の得点分布グラフを見てみましょう。
90点以上 ほぼ0% 80点以上 約3% 70点以上 約13%
(80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下「約」を省略します)
国語・前期のグラフは平均点付近を中心にきれいな三角形の山を描いています。
国語のグラフは山のピークに多くの受験生が集まっていて、高得点者と低得点者が少ないのが特徴です。
上位校受験者(高得点者)の得点状況を見ると90点以上の得点者はほとんどいないのがわかります。
80点以上でも受験生の3%しか存在していません。
27年度前期の全受験者が39,310名ですから3%は約1200名です。
公立御三家の受験者合計が1598名なので、御三家でも80点未満の受験生が多数いたことになります。
反面、70点以上は13%もいて70点台の得点は難しくないこともわかります。
前期の国語は平均点付近に多くの受験生が集まり、高得点を取るのは難しい教科であるといえます。
次に、英語・前期のグラフを見てみましょう。
90点以上 9% 80点以上 22% 70点以上 35%
英語・前期のグラフは平均点付近が少しへこんだM型のカーブになっています。
山のピークがほとんどなく、高得点から低得点まで広く分布しているのが特徴です。
90点以上が9%もいるので、2番手校でも90点以上の受験生が少なくなかったでしょう。
70点以上が全体の3分の1以上にもなりますから、前期の英語はとても得点しやすかったといえます。
一方、後期では国語の平均点がグッと上がって、英語と変わらない難易度に見えました。
後期の国語と英語のグラフを見比べてみましょう。
国語 90点以上 1% 80点以上 6% 70点以上 19%
英語 90点以上 7% 80点以上 18% 70点以上 30%
国語のグラフは前期よりさらに高い山の形になっています。
山のピークが少し右に寄った(60点台が増えた)ため平均点が上がったのでしょう。
平均点は上がったものの90点以上はほとんど増えていなく高得点は厳しかったことがわかります。
対して英語は前期より若干高得点者が減ったものの、90点以上が7%も存在しています。
上位生に関していえば、後期も国語は高得点が取りにくく、英語は取りやすい教科であったといえます。
平均点だけを見ていては「試験の本質」はわからないのです。
国語は母国語なので、日常のコミュニケーションを通じて訓練されていきます。
多くの生徒がそれなりの点数を取れる(平均点付近に集まる)のは当然の結果でしょう。
差をつけるために難易度の高い問題を入れれば、今度はできる生徒が限られてしまいます。
千葉県公立入試特有の特徴というより、教科の性格からくる特徴でしょう。
千葉県特有の特徴といえば、国語は20年度から聞き取り問題(英語でいうリスニング)が導入されています。
聞き取り問題の放送時間は強制的に拘束されてしまうので、そのぶん他の問題を解く時間は短くなります。
千葉県の国語では作文も必ず出題されるので、時間配分を上手く考えないとタイムオーバーになります。
そういう意味でも、国語は高得点の難しい教科だといってよいでしょう。
反対に英語は外国語なので、学習量の差が得点の差となって表れてきます。
しかも、英語は中学3年間しか学んでいないので、国語や数学に比べると受験に必要な知識量は少なめです。
学習量の多い(しかも理解度の高い)上位生には攻略が最も容易な教科であるといえます。
国語や数学とは違い「知識で解く」教科なので、訓練度が高ければ満点を狙うことも可能です。
1番手校の受験生なら、英語の目標は100点でよいでしょう。
続いて「数学」を見てみましょう。
平成27年度の平均点
前期 46.9点 後期 57.1点
数学は前期と後期で平均点が10点以上も差がついており、後期は得点しやすかったようです。
得点分布グラフを見てみましょう。(左が前期、右が後期です)
前期 90点以上 ほぼ0% 80点以上 1% 70点以上 7%
後期 90点以上 1% 80点以上 6% 70点以上 28%
前期、後期とも山のピークが平均点より少し高い位置にあり、その先で急に落ち込むという特徴的なグラフになっています。
山のピーク付近の受験生が多く、その意味ではやや国語に近い形だといえます。
前期では60点台まではかなりの人数がいますが70点以上は7%に激減していて、国語以上に高得点が取りにくかったといえます。
80点以上が1%しかいないということは、公立御三家でも80点に満たない受験生のほうが多かったということです。
後期では前期に比べて60〜70点台が増え、得点しにくい問題が減ったことがわかります。
数学が得意でない生徒でも基本・標準レベルの訓練をしっかりやっていれば最低限の得点は確保できたでしょう。
国語と同様に、数学は高得点の難しい教科だといってよいでしょう。
数学は基本問題、標準問題、応用問題がバランスよく入っています。
全ての問題を正解しようとすると時間が足りなくなるので、時間内に取りどころをどう押さえていくかが高得点のポイントです。
過去問でしっかりと時間配分の練習をしておきましょう。
次回は理科・社会をお送りします。