こんにちは、さくらです。
いよいよ過去の入試問題に取り組む秋がやってきました。
ところで、みなさんは千葉県公立入試問題の教科別特徴を理解していますか?
得点しやすい教科、ミスを想定しておくべき教科、時間配分に気をつけなければならない教科・・・。
かつて300点前後だった平均点が250点前後に下がったことでもわかるように、公立の入試問題は得点しにくいものに変わってきています。
教科ごとの特徴を理解しておかなければ、時間内に自分の実力を出し切ることは難しいでしょう。
今回のコラムは学校でも塾でもあまり教えてくれない「公立入試問題の教科別特徴」について書きます。
この教科別特徴をしっかり頭に入れて過去問に取り組んでください。
今回のコラムでは、5月に発表された「平成25年度 千葉県公立高校学力検査の結果」を題材として使用します。
千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「平成25年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「26.平成25年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について」と進み
「平成25年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果」をダウンロードするか、その場で開いてください。
この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは、前期・後期の最後に掲載されている「受検者の得点分布」という簡便なグラフです。
これは、得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は75点、85点など10点刻みの中間点に打ってありますが、これは70点台、80点台という意味だと解釈しています。
(数学で習う「階級値」です)
注意:人数の比率(%)は私の目分量です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
まず初めは語学系の教科である「国語」と「英語」を見ていきます。
平成25年度の平均点
前期 国語 44.7点 英語 50.6点
後期 国語 52.6点 英語 50.3点
平均点を見ると「前期では国語は難しく英語は比較的易しめ、後期は英語は変わらず国語は易しかった」ことがわかります。
はたして、本当にそうだったのでしょうか。
国語・前期の得点分布グラフを見てみましょう。
90点以上 ほぼ0% 80点以上 約1% 70点以上 約5%
(80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下「約」を省略します)
国語のグラフは山のピークに多くの受験生が集まっていて、高得点者と低得点者が非常に少ないのが特徴です。
90点以上の得点者はほとんどいなく、80点以上も1%と大変少なくなっています。
25年度前期の全受験者が38,957名ですから、1%はおよそ390名です。
県千葉の受験生が473名なので、国語で80点以上取った受験生は県千葉受験生よりも少ないことがわかります。
ふだん国語を得意としている受験生は自己採点の結果に愕然としたはずです。
70点以上でもわずか5%ですから、佐倉、薬園台など2番手校では70点以上の生徒は少数だったでしょう。
25年度の前期では国語で高得点を取るのは困難だったといえます。
次に、英語・前期のグラフを見てみましょう。
90点以上 4% 80点以上 12% 70点以上 23%
英語のグラフは山がなだらかで、高得点から低得点まで広く分布しているのが特徴です。
90点以上が4%ですから、1番手校では90点以上の得点をしている生徒が多かったはずです。
全体の約4分の1が70点以上なので、25年度の前期では英語はかなり得点しやすかったといえます。
そういえば、平均点を見ると後期では英語より国語のほうが易しそうでした。
後期の国語と英語のグラフを見比べてみましょう
国語 90点以上 ほぼ0% 80点以上 2% 70点以上 12%
英語 90点以上 6% 80点以上 15% 70点以上 27%
国語は前期より平均点が8点も高くなったのに、高得点者の比率はほとんど変わっていません。
平均点が高くなったのは山のピークが10点近く動いた(60点前後の受験生が増えた)ためです。
上位生に関していえば、後期も国語は得点しにくく英語は得点しやすい教科であったといえます。
国語は母国語なので、日常のコミュニケーションを通じて訓練されていきます。
多くの生徒がそれなりの点数を取れるのは当然の結果でしょう。
差をつけるために難易度の高い問題を入れれば、今度はできる生徒が限られてしまいます。
千葉県公立入試特有の特徴というより、教科の性格からくる特徴でしょう。
千葉県特有の特徴といえば、国語は20年度から聞き取り問題(英語でいうリスニング)が導入されています。
聞き取り問題の放送時間は強制的に拘束されてしまうので、そのぶん他の問題を解く時間は短くなります。
千葉県の国語には必ず作文もあるので、うまく時間配分を考えないとタイムオーバーになります。
そういう意味でも、国語は高得点の難しい教科だといってよいでしょう。
反対に英語は外国語なので、学習量の差だけが得点の差となって表れてきます。
しかも、英語は中学3年間しか学んでいないので、国語や数学に比べると受験に必要な知識量は少なめです。
学習量の多い(しかも理解度の高い)上位生には攻略が最も容易な科目であるといえます。
国語や数学とは違い「知識で解く」教科なので、訓練度が高ければ満点を狙うことも可能です。
実際に、平均点が高かった24年度後期(62.2点)では100点が2%以上もいました。
(詳しくは、昨年のコラム「286.公立入試問題の科目別特徴を知る その1」をご覧ください)
1番手校の受験生なら「目標は100点」でよいでしょう。
次回は数学編をお送りします。