さくら進学クリニック 『進学コラム』

千葉県北西部の公立上位高校志望の受験生に受験情報に関するアドバイスをお送りするブログです

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進学コラム196「併願パターンの研究」

今回は「併願パターン」の研究です。


ここでは、さくら進学クリニックをご覧になっている受験生に最も多いと思われる「上位公立高校が第一志望」である場合について考えていきます。
具体的には、「県立船橋高校(普通科)が第一志望」で、どの私立に受かろうとも県船橋を受験し、合格したら県船橋に進学するという受験生の場合を考えます。


・「上位校のグループ分け」


はじめに、併願パターンを考えていくための基礎知識として、「上位校のグループ分け」(さくら進学クリニックではおなじみですが)についてお話しておきます。

千葉県の上位校を6つのグループに分類します。


「公立1番手校」 (今後「公立1」と略、以下同様)県千葉・県船橋東葛飾・千葉東
  「私立1番手校」 渋谷幕張・市川・東邦大東邦昭和秀英
「公立2番手校」 佐倉・薬園台・市立千葉・県柏
  「私立2番手校」 芝浦工大柏・専大松戸日大習志野、補欠で国府台女子学院・成田
「公立3番手校」 市立稲毛・八千代・船橋東・小金・幕張総合・成田国際など
  「私立3番手校」 八千代松陰流経大柏・千葉英和など、入試相談のある学校


以上のようにグループ分けすると、公立と私立が階段状(ジグザグ)にレベル分けされ、関係がわかりやすくなります。
公立高校が第一志望の場合、第一志望の上下のグループから併願する私立高校を選んでいけば、併願パターンができあがります。


例えば、「公立2」に属する佐倉が第一志望の場合、すぐ上の「私立1」に属する市川は「挑戦校」になり、すぐ下の「私立2」の日大習志野は「次善校」に、「私立3」の八千代松陰は「安全校」になるわけです。
「公立3」に属する船橋東が第一志望ならば、「私立2」の日大習志野に合格できたら、そのまま日習に入学してしまうか、公立を1ランク上げて「公立2」の薬園台にチャレンジすることが多いでしょう。

ただし、「私立1」の渋谷幕張が「公立1」の千葉東志望者には完全に「挑戦校」になっていたり、「公立2」の佐倉と県柏では1ランク近いレベル差があったりするなど、型通りでない部分もあります。
このグループ分けは、併願パターンを考える上での「大まかな参考に」と考えてください。


・「公立志望なのに、なぜ私立を受験するのか」


毎年のように受験に関わっていると、公立が第一志望でも「挑戦校」「次善校」「安全校」と私立を併願することが当たり前になり、なんの疑問も抱かなくなってきます。
しかし、始めて受験を経験するご家庭では「進学するのは1校だけなのに、どうしてそんなに受験する必要があるのか」という疑問がわくかもしれません。


実は、現在の高校入試のシステムでは、志望校が中位校までなら「公立+安全校」の2校の受験で終わってしまいます。
中位校までの受験なら、併願パターンなど考える必要はないのです。


例えば、第2学区にある市立習志野高校(全県偏差値50程度)が第一志望の場合、「安全校」をひとつ決めたら、あとは習志野を受験するだけです。
「安全校」は入試相談がありますから、中学校の成績次第で「ほぼ自動的」に決まります。
(9科で38以上なら八千代松陰、5科で20以上なら千葉英和、それも無理なら秀明八千代などといった具合に。)
入試相談が通れば99%合格が約束されますから、それより下のレベルの学校を受験する必要はありません。


また、併願する私立に「入試相談のない学校」を選択することはあまりありません。
なぜなら、「入試相談のない学校」(当日の試験で合否が決まる学校)は上位校ばかりなので、習志野レベルの受験生にはほとんど受からないからです。(もちろん、挑戦してみる人がゼロではないと思いますが)


さらに、公立入試も3倍・4倍といった高倍率になることはなく(習志野の場合、昨年は特色化2.2倍、一般1.19倍)、模擬試験でそれなりの成績を取っていれば、おおむね合格することができます。

中学校で中位以下の生徒は「不合格になる可能性が非常に小さい」のです。
したがって、「不合格だった場合の想定」をする必要もなく、併願パターンなど関係ないわけなのです。

中学校では中位以下の生徒だけで「クラスの3分の2くらい」にはなるでしょうから、かなりの生徒が「公立+安全校」で受験を終えていることでしょう。


しかし、志望校が上位校の場合、公立入試は高倍率になります。
昨年の県船橋(普)なら、特色化3.66倍、一般2.10倍ですから、合格したのは特色化で7名中2名未満、一般でも半分に満たず、不合格者も大量に(のべ546名)出ています。
特に、1回目の入試(今年は前期選抜)は超高倍率になるので、「不合格になるものだ」という前提で臨まなくてはなりません。


受験生にとって、公立高校はほとんどの場合「第一志望校」です。
倍率が高いとはいえ「第一志望校」に不合格になれば、精神的なダメージは相当なものでしょう。
「安全校」に苦もなく合格する(「相談」済みですから)ことで、「受験なんて、こんなもんだろ」くらいに思っていると、ダメージはさらにアップしてしまいます。

したがって、公立上位校の受験生は、「不合格だった場合の想定」を十分にしておく必要があるのです。


また、何度も書いていますが、今年は前期選抜発表日の翌日(と翌々日)に後期の願書提出があるので、前期で不合格になっても「うろたえて」いるヒマはありません。
翌日には、再び「その高校」に願書を出しに行かなくてはいけないのです。
しかも、後期選抜の定員は全体の40%しか残っていません。


そういう「逆境」の中、第一志望合格へ気持ちを前に向けていくには、志望校に対する「強い意志」と「自信」が必要です。
その「自信」をどこから持ってくるのかといえば、「合格」からしかありません。
たとえ「ほぼ安全校」(入試相談のない学校)であっても、「合格」を手にすることは、自分の実力が認めてもらえたことになります。
自分の実力を「合格」という形で、明確に認めてもらえることは、これ以上ない「最高の自信」につながるでしょう。
それは、模擬試験では決して得られないものです。

私立を受験するということは、私立に進学するための受験ではなく、自信を持って公立入試に臨めるための材料作りなのです。


さらに、もしも「不合格」になっても、自分の実力が甘かったことを実感することができ、次につなげることができるでしょう。
(次につなげるとは、「志望校合格に向け、より一層の努力をする」と「志望校を変更する」の、両方の意味を含みます。)
また、第一志望である公立高校の前に「不合格」の経験をすることで、公立前期が「不合格」だったときの心の準備をすることもできるのです。
(私立で一度「泣いて」おけば、次(公立)のダメージは少なくてすみます。)


以上のような理由で、私は、公立上位校志望であれば、ある程度(「安全校」含め、3校程度)は私立高校を受験すべきだと考えます。


・「県船橋受験生の安全校」


「安全校」は「必ず合格できる学校」でなくてはなりません。
県千葉、県船橋といった県内最上位校の受験生でも、中学校の先生は「必ず合格できる学校」として「入試相談」のある学校の受験をすすめるでしょう。
中学校の先生がOKを出してくれないと三者面談が終わりませんから、「安全校」は「私立3」の中から選ぶものだと思っておきましょう。


船橋受験生の場合、地理的に考えると「安全校」は八千代松陰という人が最も多いでしょう。
八千代松陰の「厳しめの生徒指導」が嫌で、千葉英和を選ぶ人がいるかもしれませんが。)
前期・後期とも日大習志野と重複した昨年と違い、今年は1月20日に受験すれば重複は全くありませんから、日程的にも使いやすい「安全校」だといえます。
入試相談のある学校(八千代松陰、千葉英和など)は、相談の基準を満たしていれば、前期で受けても後期で受けても合格は約束してくれるので、前期で重複するのなら「安全校は後期で」ということもできます。
(中学校の先生は、前期での受験をすすめると思いますが。)


女子であれば、国府台女子(普)や江戸川女子を「安全校」に使うことができるので、選択の幅が広がります。

国府台女子(普)は「私立2」の補欠に入れていますが、前期選抜には「入試相談」があります。
学校側では、「入試相談はあっても試験重視」だと言っていて、実際、少ないですが不合格者(10年は3名、09年は2名)が出ています。
したがって、「100%合格を約束」とはいえませんが、県船橋レベルの受験生が不合格になることは「まず無い」と思われます。
中学校の先生がOKを出してくれれば「安全校」として使えるでしょう。


江戸川女子は「入試相談」でOKをもらえれば、2類(本当はローマ数字ですが、文字化けするのでアラビア数字で書きます)での合格は約束されます。
3類で合格するためには、入試でそれなりの点を取る必要がありますが、県船橋レベルの受験生なら十分可能でしょう。
(そのあたりは、八千代松陰の「IGSコース」や、千葉英和の「特進コース」と同じです。)


ちなみに、江戸川女子は東京といっても、江戸川を渡ればすぐの「ほとんど千葉」です。(京成線なら国府台女子と2駅違いです)
都内校なので入試日程が県内とかぶることがなく、県内私立高との併願作戦が立てやすいのが利点です。
都外生向け併願推薦入試が1月23日(県内私立前期選抜のすぐ後)にあるので、他の都内校(都内一般入試は2月10日から)のように公立前期直前で公立に向けた勉強の障壁になることもありませんし、県内前期で良い結果が得られていれば棄権することもできます。

また、江戸女は延納手続き無しで公立まで待ってくれるので、江戸女のみしか合格していなくても延納金は必要ありません。


大学合格実績も、早慶など難関私立大にまずまずの数を出しています。
少なくとも県内の「私立3」レベルの学校よりずっと上だといえます。(早慶に限れば、「私立2」の中に入ってもトップです)

女子校が嫌でなければ(さらに言えば、勉強面でも生活面でも厳しめの校風が嫌でなければ)、江戸川女子はかなり使える学校といえます。


・「私立1番手校」を受験しよう


船橋志望の受験生にとって「私立1」の4校は「次善校」にはなりません。
正確なデータがあるわけではありませんが、県船橋合格者で「私立1」を併願した生徒の併願成功率は、50%を割っていると思います。(特に渋幕・市川は厳しいでしょう)

では、県船橋受験生にとって、「私立1」を受ける受けないは本人の「好みの問題」なのかというと、進学コラム188「千葉県私立高入試の概要」でも書きましたが、個人的には受けるべきだと思います。


それは、入学後のことを考えれば、高校受験の段階で後れを取りたくないからです。


船橋は県内トップレベルの高校です。
県千葉にも合格できる力がありながら、地理的条件から県船橋に入学した生徒がクラスに何人もいるでしょう。
中には国立大付属や開成・早慶付属など超難関校に合格しながら、県船橋に入ってくる生徒も(県千葉ほどではないにしても)いると思います。


高校入学はゴールではなく、通過点に過ぎません。
合格したときから次のレースが始まっていると思えば、スタートで出遅れることは得策ではないのです。
そのためにも、県船橋合格だけを目標にしないで、「私立1」合格も同時に目標にしたいものです。
私立高レベルの難度の高い問題を多くこなしていけば、県船橋高校でやっていけるだけの実力も同時に養えるでしょう


また、上のほうで書いたように、もしも「不合格」になっても、その経験には大きな意味があります。

「どうせ、行かないのだから」「受かりそうもないから」と受験校を削ることは、「第一志望である公立高の合格可能性を下げる行為」だと認識しましょう。


・理想的な併願パターン


併願パターンの前に、県内私立高校の入試日程(併願のみ)を確認しておきます。

「前期選抜」
1月17日 市川、専大松戸日出学園、千葉英和
1月18日 東邦、昭和秀英専大松戸芝浦工大柏、国府台女子、八千代松陰(第1回)
1月19日 渋谷幕張芝浦工大柏、日大習志野
1月20日 八千代松陰(第2回)

「後期選抜」
2月5日 市川、専大松戸芝浦工大柏、成田、八千代松陰、千葉英和
2月6日 東邦、昭和秀英国府台女子
2月7日 渋谷幕張日大習志野


進学コラム193「2011年入試、合格への戦略を考える」で書きましたが、今年の入試日程を考えると、県船橋志望であれば、私立受験は前期で終了させて、「公立対策の勉強」に切り替えるのが得策だと思います。
(理由については「進学コラム193」を見て下さい。)


それもふまえて、最も理想的な併願パターンは、地理的条件も含めて、
「1月18日東邦、19日日大習志野、20日八千代松陰で私立終了」に決めたいと思います。
東邦−日習−松陰のパターンは、一昨年の理想パターンと同じです。


「私立1」では、「学校・生徒のレベル(大学実績)」と「受かりやすさ」を天秤にかければ、最もすすめられるのは東邦です。
昨年は、臨時定員増の昭和秀英にその座を譲りましたが、例年通りに戻れば、東邦のコストパフォーマンスは不動といってよいでしょう。


いくら「不合格」にも価値があるとはいっても、「合格」の方が良いに決まっています。
合格を狙っていくなら、倍率は低いに越したことはありません。
「私立1」は「3倍くらいは当たり前」の高倍率の学校が多いので、例年、前期は「2倍程度」の東邦は貴重な存在です。
(倍率が高いほど不合格者が多くなるので、当日の少しのミスが命取りになり、結果の読めない入試になります。)
もちろん、倍率は低くても受験者のレベルは高いので、「楽勝」という意味ではありません。


もし、実力と体力に余裕があるのなら、後期を受験しないぶん前期で多めに、具体的には市川も受けておくのも悪くありません。
東邦だけよりも、若干ですが「私立1」の合格確率を上げることができます。
市川−東邦−日習−松陰と4日連続は、体力的にはきついかもしれませんが、市川・東邦は発表が翌日なので、市川に受かれば日習以降を、東邦に受かれば松陰を棄権することもできます。
当然、4日連続になってしまう場合もあり得るので、誰にでもすすめられるわけではありません。


「私立2」は、地理的にもレベル的にも日大習志野で決まりでしょう。
常磐線沿線に出やすい地域の人は、専大松戸芝浦工大柏でもOKなのですが、今年は芝柏の日程変更に絡んで、この2校がどうなるのか若干読めない部分があります。
船橋受験生にとって「私立2」は絶対に落としてはいけない学校になりますから、不安定な要素は少ないに越したことはありません。


日大習志野の場合、地理的に芝柏・専松の影響が少なそうなうえ、例年、前期の倍率は1.5倍程度ですから、県船橋受験者には取りこぼす可能性が「限りなくゼロ」に近い、安心できる併願校といえます。
ただし、後期は高倍率になりますから、前期で取りこぼした場合(滅多にないことだと思いますが)どうするのか、想定だけはしておきましょう。


専大松戸芝浦工大柏を選択する場合、両校とも前期だけで2日間受験することができます。
今年は18日に両校が競合しますから、受験生を奪い合う形になり入りやすくなることも予想できます。
しかし、実際にはやってみないとわかりません。(けっこう予想は外れます)
そう考えると、可能なら2日間とも受験しておいたほうが安心でしょう。


佐倉・成田方面の受験生なら、「私立2」として成田を選択するのも悪くありません。
成田は前期は単願のみなので、「次善校」として受験するなら後期(2月5日)に受験する必要があります。
そうなると、「私立は前期で終了が得策」という話はどうなるんだと言われそうですが、成田は5科入試なので「公立対策」をする中で受験を迎えてもOKです。


私立が前期だけで終わると、公立前期までひと月近く試験が無いので、緊張感を持続することが難しくなるかもしれません。
しかし、公立前期の10日前に成田の入試が入れば、適度な緊張感を保つことができ、むしろプラス材料になるでしょう。


後期に成田を受験するということは、前期で「私立1」に不合格になっている(または受験していない)ということです。
成田に不合格になることは「絶対に避けなくてはいけない」状況のはずですから、適度な緊張感どころではなく「本気」の入試になるでしょう。
「公立の前哨戦」という意味で、かなり気持ちを高揚できるのではないでしょうか。
実際には、県船橋レベルの受験生が不合格になることは「まず無い」と思います。(成田は日程を変更しているので、若干難易度が変わる可能性はありますが)


いろいろと書き連ねてきましたが、学校選びは、本人の希望が何より大切です。
特別な思い入れのある学校があれば、その学校を受験しましょう。
「合格しやすいから」という理由だけで学校を選んでしまうと、受験勉強に対するモチベーションが下がりますし、もしも入学してしまったら後悔することになりかねません。


思い入れのある学校を中心に組むのが、あなたにとっての「理想的な併願パターン」なのです。



全国高校入試問題正解理科・社会 2011年受験用

旺文社

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