三者面談に向けて、今回は「併願パターン」の研究をしたいと思います。
まず、併願パターンを考えていくための基礎知識として、私が勝手に唱えている「公立私立階段理論」についてお話しておきます。
千葉県の上位校は
「公立1番手校」(今後「公立1」と略、以下同様。)県千葉・県船橋・東葛飾・千葉東
「私立1番手校」渋谷幕張・東邦・市川・昭和秀英
「公立2番手校」佐倉・薬園台・県柏・市立千葉
「私立2番手校」芝浦工大柏・専大松戸・日大習志野+補欠で国府台女子・成田
「公立3番手校」市立稲毛・八千代・船橋東・小金・幕張総合・成田国際など
「私立3番手校」八千代松陰・流経大柏・千葉英和など入試相談のある学校
の6つのグループに分けられ、公立と私立が階段状にレベル分けされます。
公立高校が第一志望の場合、これを頭に入れて、第一志望の上下のグループから併願する私立高校を選んでいけばよいというわけです。
例えば、「公立2」に属する佐倉が第一志望の場合、すぐ上の「私立1」に属する市川は「チャレンジ校」になり、すぐ下の「私立2」の日大習志野は「次善校」に、「私立3」の八千代松陰は「安全校」になるわけです。
「公立3」に属する船橋東が第一志望ならば、「私立2」の日大習志野に合格できたら、そのまま日習に入学してしまうか、公立を1ランク上げて「公立2」の薬園台にチャレンジすることが多いでしょう。
ただ、実際には、例えば「公立1」の千葉東志望者にとって、「私立1」の渋谷幕張は完全に「チャレンジ校」になっていたりするので、何でもこれにあてはめられるわけではないのですが、併願パターンを考える上での大まかな参考にはなると思います。
細かい話は、2年前のコラムになりますが、「進学コラムNo.28・30・31公立私立階段理論その1〜3」を見てみて下さい。(2年間で変わっている点もありますが・・・)
それでは、実際の併願パターンにいきましょう。
昨年は、県船橋高志望と佐倉高志望の2パターンに分けましたが、佐倉高(「公立2」)レベルでは、あまり選択の余地がないので、今年は県船橋高志望の場合を中心に進めていきたいと思います。
ここでは「県立船橋高校(普通科)が第一志望」で、どこの私立に受かろうとも県船橋を受験し、合格したら県船橋に進学するという受験生の場合を考えていきます。
「前期選抜」
県船橋志望者にとって前期選抜は、昨年とは全く変わったといってよいでしょう。
昨年は、前期でまともに併願受験できる「私立1」は、市川・東邦の2校のみでしたが(渋幕も受験はできましたけど・・・)、今年は市川・東邦・秀英・渋幕の全てが受験できます。選択の幅が広がった反面、併願パターンも複雑になっています。
ただし、県船橋レベルでは「私立1」の4校は次善校にはなりません。県船橋合格者で「私立1」を併願した生徒の併願成功率は50%を割っていると思います。特に渋幕・市川は良くて1・2割でしょう。(以前は、市進の受験ガイドに併願成功率が掲載されていて、大変参考になっていたのですが・・・。)
では、県船橋志望者にとって「私立1」を受ける受けないは、好きずきでよいのでしょうか。個人的には県船橋志望者なら「私立1」を受けるべきだと思います。
それは、県船橋に入学した後のことを考えれば、高校受験段階で後れを取りたくないからです。
県船橋は県内トップレベルの学校です。県千葉にも合格できる力がありながら、地理的条件から県船橋に入学する生徒などは何十人もいるでしょうし、中には国立や開成・早慶付属など超難関校に合格しながら、県船橋に入ってくる生徒も、県千葉ほどではないにしても存在するでしょう。
高校はゴールではありません。合格したときから次のレースが始まっていると思えば、スタートで出遅れることは得策ではないのです。そのためにも、県船橋合格だけを目標にしないで、「私立1」合格も同時に目標にしたいのです。私立高レベルの難度の高い問題を多くこなしていけば、県船橋高でやっていけるだけの実力も同時に養えるでしょう
「私立1」のどこを受けるのかは、本人の思い入れ次第で自由に選んでいいと思います。
前期選抜では「チャレンジ校的次善校」になる「私立1」と、「安全校的次善校」になる「私立2」を盛り込みながら、可能なら「安全校」になる「私立3」を入れていくパターンが理想でしょう。
そう考えると、最も理想的な併願パターンは、地理的条件も含めて「1月16日市川、17日日大習志野、18日八千代松陰」にしたいと思います。
「私立1」では、「学校・生徒のレベル」と「受かりやすさ」を天秤にかけて、最もすすめられるのは今年も東邦です。
東邦は定員・日程とも変わらないことに加えて、同日に昭和秀英がぶつかってきますから、昨年以上に倍率が下がる可能性が高いでしょう。「私立1」の中で、2倍を切る可能性があるのは東邦しか考えられませんから、受かることを前提に選ぶなら東邦で決まりです。(もちろん、倍率は低くても、受験者のレベルは高いので、楽勝という意味ではありません。)
ただ、市川も昨年より定員が増え(75%増!)、昨年の難易度を見た受験生が敬遠するだろうことを考えると、少なくとも、一昨年程度の難易度には落ち着くのではないかと思われます。
一昨年の定員が62名で今年は70名ですから、敬遠のされ方次第では2倍台前半の倍率になる可能性もあるでしょう。そうなれば、共学化以来、最も入りやすい年になるかもしれません。
そういう意味では、今年の市川は、特に「私立1」はどうせ「チャレンジ校」と考えている受験生には、やってみるだけの価値はあるのではないでしょうか。
また、「私立1」を16日の市川にしておくと、「私立2」は17日に日大習志野を選択できます。
落ちる可能性も大の「私立1」と違い、「私立2」は必ず合格し、県船橋に落ちた場合は入学することを想定しておかなくてはなりません。「私立2」の中で芝柏・専松は、地理的に県船橋と併願しにくいので、通うことを考えると、どうしても日習を押さえておきたくなります。
そんなわけで、16・17日は市川と日習でセットにしておすすめします。
もちろん常磐線沿線に出ることが苦でなければ、「16日専大松戸、17日東邦」でもOKです。
「私立1」の残りで、昭和秀英については、前期が一般入試になって受けやすくなったこと、昨年受かりやすかったこと、もともと受験生受けする学校(理由はよくわかりませんが)であること、などを考えると、倍率が上がる要因はあれど、下がる要因は見あたりません。
「学校・生徒のレベル」と「受かりにくさ」を天秤にかけると、昨年とは違い、積極的にはおすすめしにくいです。
渋谷幕張については、前期が一般入試になっても「県内最難関校」であることには変わりありません。県船橋レベルの受験生では、そう簡単には合格できないでしょうから、やはり積極的にはおすすめしにくいです。
昨年の併願パターンでおすすめしたように、「安全校」は後期にまわして、前期はできるだけ「私立1」を入れるのもよいと思います。
実力に自信があれば「市川、東邦、渋幕」というパターンもOKだし、「市川、日習、渋幕」「専松、東邦、渋幕」「市川、東邦、芝柏」(これは昨年の理想パターンでした)などでもよいでしょう。
「安全校」を後期にまわせば、そのぶん上位校を受けられるのと、前期でどこかに合格すれば「安全校」を受けずにすむこと(入試相談は通すので、学校の先生に願書だけは出すようにいわれるかもしれませんが。)、「延納金の二重取り」をされる可能性が低くなるなど、利点も多い受け方です。
ただし、最悪の場合、前期全滅ということもありうるので、心配性の人、前期で私立は全て終わらせて、公立に向けた勉強に専念したい人にはおすすめできません。
結局、前期選抜は「私立1」「私立2」をどう入れるかで決まってくるので、受けられる学校が増えたとはいっても、受けたい学校を絞り込んでいれば、自動的に組み立てられるでしょう。
長くなってしまったので、いったん切ります。続きは次回「後期選抜編」で。