6月に入ると、中3生は1学期の三者面談が近づいてきます。面談前には、志望校を書いて、先生に提出するのが普通ですから、受験なんてまだまだと思っている人も、いやおうなしに、志望校を考えなければいけない時期になったといえるでしょう。
そこで参考にするのが、「受験案内」といったガイド本です。
最もメジャーなのは晶文社の「高校受験案内」(黄色い本)でしょう。私が受験した20年以上前も、教室に置いてありましたから、定番中の定番といえるでしょう。
この「高校受験案内」は、かなり早い時期に新版が出るので、受験意識の高い受験生や保護者が、本屋に出ていた新版を買ったらこれだったということも多いでしょう。新版が早く出るということは、書店に並ぶ期間も長くなり(当然入試まで並ぶわけですから)、部数を伸ばすには有利になっているでしょう。
ただ、そのぶん今春の大学合格実績が、調査不十分なまま発行されてしまっているので、より正確な進路実績は各高校のホームページや、他社の「受験案内」でチェックする必要があるでしょう。また、業者テストの学校実施が無くなって久しい現在、合格ラインを決定するためのデータを、どうやって、どの程度のデータ量を集めているのか、さらに、膨大な数の学校の合格ラインを、入試が終わってから、新版が出るまでのわずかな期間で、どのようにして決めているのか、多少疑わしい気もするので、その意味でも、他社の「受験案内」を併用して志望校選びをするのが好ましいでしょう。
それでも、まだ絞込みのできていない、1学期中の志望校選びに使うなら、上から下まで、掲載されている学校数の多いこの本は、非常に役立つでしょう。
県内で次にメジャーなのは市進の「高校受験ガイド」(千葉県版は青い本)でしょう。前出の晶文社のものに比べると、新版が出るのは遅いですが、すでに書店に出ているようです。
進学塾の本ということで、データの出所がはっきりしていて、合格ラインはかなり信頼できると思うのですが、市進独自の偏差値は、市進に通っている生徒以外は、使えない数字でしょう。全県換算偏差値も載っていますが、「換算」というのが信頼性に疑問が残ります。また、市進のチラシを見ると、合格者が上位校に偏っているので、上位校のデータは、かなり多く、信頼できるのでしょうが、中位以下の学校(扱いが1ページになっている学校と考えてよいかも)では、さほど多くないデータで、合格ラインを想像していそうで、数字を過信しないほうがよいのかもしれません。
指定校推薦枠や比較的詳細な大学合格実績、また実際の市進の生徒のものと思われる、併願校の合格率など、他社の「受験案内」にはあまり無い資料も掲載されているので、上位校(2ページにわたって掲載されている学校)を志望している生徒には、お勧めできる本だと思います。
1学期のこの時期は、各学校の大まかな性格や、入試のレベルから、自分の志望校を絞り込んでいく時期ですから、上に挙げた2冊を見てもらえば、ほとんどの受験生は、候補を絞り込んでいけると思います。まずは、自分から手に取って見てみましょう。