さくら進学クリニック 『進学コラム』

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No.29 「ボーリング大会。」

今回は「公立私立階段理論」のつづきではなく、受験とは全く違う話題で・・・

JR西日本の社員が、事故当日にボーリング大会や宴会をしていたことが、さも重大な犯罪であるかのように、テレビや新聞のトップニュースで報道されています。JR側もマスコミの要求に応えるように、当日の社員の行動を調査し、何か出てくるたびに責任者が会見で謝罪しています。
テレビでニュースを見ていると、「あんな事故を起こしておきながら、こんな不謹慎なことをしていて、いったいJR西日本はどこまで腐った体質の会社なのか。」と言わんばかりの報道のされ方です。
事故そのものの報道は、救助活動が終了したことで一段落したはずですが、大事故によって、せっかく掴んだ視聴者を離すまいと、事故関連の話題を見つけては大げさに取り上げているようにも見えます。

報道されているボーリング大会等は、勤務中ではなく勤務外に行われたものですから、そこでJR社員として責任が生じるようなことは(法的には)何もないわけで、ボーリングをしようが、酒を飲もうが、海外旅行に行こうが、それは個人の自由なわけです。もちろん社長など責任が問われる立場の者は、勤務外であろうと、それ相応の行動が求められるでしょうが、3万人以上いる社員全員が行動を制限されるいわれは、まったくありません。以前には「水産高校の練習船が米軍の潜水艦にぶつけられて沈没したときに、報告を受けながらゴルフを続けていた不謹慎な総理大臣」なんかもいましたが、それと、今回のJR西日本の普通の社員とは、全く責任の重さが異なるはずです。

それを、「JR西日本たたき」のいいネタを見つけてきたと、どこかが報道したばっかりに、他の報道機関も飛びついて、大騒ぎに仕立て上げられただけで、こんなものはトップニュースにするようなものではないのです。事故そのものや原因究明の報道と、このボーリング大会の報道とは、全く次元の違うものでしょう。(そもそも、これは報道などとは呼べない程度の三面記事でしょう。)
こんなワイドショーレベルの話を、民放だけでなくNHKまでトップニュースで扱っているんですから、この国のマスコミは、報道とバラエティーの区別もつかない、低レベルのものだと言わざるをえません。

日本のマスコミは、何か事件があると、犯人を「異常性格者」に仕立て上げて、その異常性を過剰なまでに詳細に(少年の心の闇を分析するなどと)取り上げて、視聴者の関心を引こうとする傾向があります。今までその手法で視聴率を稼いできたことが、繰り返しその手法をとらせる原因なのでしょうが、日本の社会そのものに警鐘を鳴らすことなく、犯人だけに責任をなすりつけるやり方に、私は危機感を抱いてきました。そこには、数字さえ取れればいいんだという、マスコミの「儲け主義」が、あからさまに見え、また、視聴者はそれに簡単に騙されてしまうからです。

今回も多くのblogで、「JR西日本は許せない」という文章を目にします。もちろん私自身も、事故の直接的な責任はJR西日本にあり、許されざることをしたとは思いますが、それだけでは、ただの感情論になってしまうのです。この事故をきっかけに、より良い社会にしていくためには、という視点が、特にマスコミには欲しいと思うのです。

そして、当のJR西日本も、「今はとにかく頭を下げて、時が過ぎ去るのを待とう。」とばかり、マスコミに要求されるがままに、社員の個人行動(これも立派な個人情報だと思いますが)を調べて報告してしまうところに、この人たちは自己保身しか考えてないんだなと、思えてしまいます。

結局、JR西日本もマスコミも「第一に利益、第二に保身。」なんだということが見てしまっています、でもこれは一部企業の話だけではなく、日本の企業全体の「日本病」みたいなものなんだと思います。
どんなことをしてでも、何よりも利益を追求してしまうから、倫理は後回しになる。クレームを逃れるためのアリバイ工作ばかりしているから、時間が圧迫されて、本来の業務がおろそかになる。リストラで人員は削減されても、仕事量は増えているから、社員の勤務時間は延び、ストレスがたまり、また業務に支障をきたす。それが繰り返されるから、本来の仕事への取り組み方(今回なら鉄道屋魂)や倫理観、会社への帰属意識などが希薄になり、責任感もなくなってくる。結果、またクレームが増えて保身に走ることになる・・・。
これは企業だけでなく、何かあればすぐクレームする利用者・消費者の側にも責任があると思いますが、社会全体にストレスがたまっていて、新たなストレスに対する許容量が、非常に少なくなっているからでしょう。これは社会全体の問題なのです。

また、今回の一連の報道で私が危惧するのは、ひとつは、「失敗を犯したものは、再起不能になるほど叩きのめしてもよいのだ。」という誤った考え方を、多くの国民、特に子供が持ってしまわないかということ。
もうひとつは、ひとつでも失敗を犯すと、周囲の標的にされてしまうために、今まで以上に「目立たないように、保守的に生きなければ。」と思い、日本を救うはずの「芽」を、自ら摘んでしまわないかということ。

この報道は、人々をさらに他者排斥へと、保身へと、駆り立ててしまいそうで怖いんです。

日本人は感情的になりやすく、冷静な分析を欠いたまま、感情論で善悪だけを求めてしまう傾向にあります。そのわりに忘れるのも早いため、効果的な対策を取れないまま、世論が盛り下がってしまいます。結局、悪者を作って、叩いて、謝らせて、それでおしまいになってしまうのです。これでは何度事故が起きても、同じことの繰り返しです。(実際、鉄道や航空機の事故は繰り返されているわけです。)

これを日本人の国民性と片付けてしまえばそれまでですが、こういう国民性は是正していくべきでしょう。個人的には、学力低下で槍玉に上がってしまう総合教育の時間を、住みにくくなった日本を良くしていくための時間にしていったらどうかと思います。「生きる力をつける」ことは、「生きやすい社会を作る力をつける」ことと同じことでしょう。

企業が利益を追求するのは当然のことです、利益ばかり追求することは悪だと教えても、子供たちの将来のためにはなりません。利益追求のためには、どこまでが許されて、どこからはやってはいけないのか、それを考えさせることが、明日の日本を良くしていくことにつながると思います。
今回のような事故は、「今後どうしたら防ぐことができるか」学校で議論する、良い教材になるのではないでしょうか。悲惨な事故だけに、扱いが難しい題材だとは思いますが、「こんな悲惨な事故は、二度と起こらないようにして。」と、いくら叫んでみても、企業社会・大人社会だけでは、もはや抜本的な対策はできないでしょう。これは本当は教育問題なんだと思うのです。

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