No.25のコラムで、千葉県では公立・私立が階段状にレベル分けされていることを書きました。
でも、これは私が勝手に考えていることなので、どういうことか良くわからなかった方もいたかもしれません。今回はその「公立私立階段理論」について詳しく書きたいと思います。
千葉県の高校入試では1.公立御三家を頂点に、2.私立一番手校、3.公立二番手校、4.私立二番手校、5.公立三番手校・・・と、公立と私立を階段状にグループ分けして考えると、併願作戦が立てやすくなります。
例えば「3.公立二番手校」に属する薬園台高校を第一志望にする場合、チャレンジ校としては「2.私立一番手校」に属する市川高校を、次善校としては「4.私立二番手校」に属する日大習志野高校を、選べば理想的な併願パターンが組めるわけです。もちろん、最上位ランクの「1.公立御三家」には、次善校として「2.私立一番手校」はあっても、チャレンジ校は県内には存在しません。
公立高校の人気が圧倒的に高い千葉県では、公立高校の隙間を埋めるように私立高校が生き残ってきた結果、こんな階段状の序列が出来上がったのかもしれません。
続いて、それぞれのグループについて説明していきます。
「1.公立御三家」
知らない人はいないかもしれませんが、県立千葉・東葛飾・県立船橋の3校です。
「1.公立御三家」には、チャレンジ校は県内には存在しません。と書きましたが、実際には、渋谷幕張高校は「合否」に関していえば「1.公立御三家」のチャレンジ校に近い存在でしょう。特に、東葛飾・船橋では幕張は次善校には全くなってないはずです。(ほとんど受かってない、と言ってもいいくらいでしょう。)千葉高でも併願者の幕張高の合格率は50%を大きく割っているでしょう。しかし、いくら幕張に受かるのが難しくても、「1.公立御三家」に受かってしまったら、大半の生徒は公立に進学してしまうのです。そういう意味では、渋谷幕張は「1.公立御三家」のチャレンジ校には成り得ていないのです。(今年の東大実績などを見れば、いずれは渋谷幕張が公立御三家のチャレンジ校になっていくのかもしれませんが・・・。)
ところで、分類に困るのが、千葉東高校の存在です。入試のレベルは船橋に肉薄していますし、大学合格実績でも、東葛飾・船橋にやや劣る程度です。「1.公立御三家」の中でも千葉と東葛飾・船橋の間には大きな差があることを考えれば、県内高校の「第1グループ」としてくくった場合には、千葉東は、ここに入れるのが妥当だと思うのです。「1.公立御三家」といえども、千葉高を除けば、東大・一橋大・東工大といった超難関大学を積極的に目指す学校であるとは言えず、国立なら千葉大クラス、私立は早慶あたりを目指すグループだと考えれば、千葉東もここに入れても良いように思います。個人的には「公立御三家」に千葉東を加えて「公立四天王」と呼ぶと良いと思うのですが・・・勇み足でしょうか?
「2.私立一番手校」
今から20年以上前には、このグループには東邦大学付属東邦・市川の2校しか存在しませんでした。したがって、女子の場合、このグループの中には東邦しか選択肢がなかったわけです。しかし、幕張新都心に昭和学院秀英と渋谷教育学園幕張ができ、年々レベルアップして、このグループにまで、のし上がってきました。そして前出のように渋谷幕張は、もはやこのグループを脱して階段状の序列の外に出たと言って良い状況ですから、現状では、東邦・市川・昭和秀英の3校がこのグループに属することになります。
このグループの学校では、「1.公立御三家」と併願して公立に受かった場合、公立に進学してしまうわけですが、入試のレベルだけでいえば、東邦・秀英は、東葛飾・船橋の次善校には、なり難いレベルになっています。昭和秀英は進学実績では東邦・市川に及ばないのですが、なぜか人気が高く高倍率になるので、入試のレベルは高値安定が続いています。市川が共学化することで、秀英の倍率にどう影響するか興味があるところです。
渋谷幕張も含めた県内上位私立高校は、高校入試よりも中学での募集のほうが多いため、中学入試の状況も知っておかないと、本当の生徒のレベルを知ることにはならないでしょう。
たとえば渋谷幕張は、開成・麻布など都内御三家との併願者が多く、入試問題を見ても、東邦・市川レベルを目指して勉強してきた生徒には、太刀打ちできないレベルであること。それに比べ東邦は、県内で中学受験をしたい生徒の目標になる程度の学校であること。秀英は12月に「第一志望」の試験があり、ここでは東邦・市川よりレベル的に劣る生徒が、定員の半数入ってきていること。市川が共学化したことで、秀英から市川に人気が移ってきて、市川中学校の入試は幕張メッセを使った「一大イベント」になっていること。など・・・中学校を併設している私立校を受験する場合は、中学受験ガイドなども見ておくと非常に参考になると思います。
つづく・・・