今回のコラムは、全く高校受験に関係ありませんが、ご容赦ください。
中国の反日デモがニュースを賑わしています。ほとんどのニュース番組では、中国の若者がデモに向かうのは、中国政府による「反日教育の成果」だと言っています。中国は社会主義の国なので、政府による思想統制があり、それを真実と思い込まされた国民が、デモに駆り出されているみたいな論調です。
確かにそういう一面があると思いますが、中国も北朝鮮と同じ管理された国だから、危険な国だというような、マスコミによる意識的な刷り込みがあるようにも感じてしまいます。(これもある意味では、マスコミによる思想統制ではないかとも思ってしまいます。)
なぜなら、日本の若者は日中の近代史について、あまりにも無知だからです。断っておきますが、日本の若者がバカだとか言う話ではありません。日本の若者はちゃんと教えてあげれば、しっかりわかってくれる理解力を持っています。それだけに・・・と言う話です。
日本では小学校・中学校・高校と、3度も日本史を学ぶ機会があります。(高校では選択科目になっているかもしれませんが。)しかし、多くの場合、1年間で授業内容がこなしきれず、最後にある近代にしわ寄せがきます。3学期の終わりに猛スピードで駆け抜ける、またはスッパリ切り捨てられるなどして、近代史をほとんど教わらずに、終えたような記憶がある人も多いのではないでしょうか。
また、教える側も、近代史をどう教えるべきか、困惑している先生が多いのも事実でしょう。教科書検定問題でもたびたび取り上げられている部分だけに、授業の進め方によっては、この先生は偏った思想を植え付けようとしている、などと言われかねません。そんな危ない単元は、意図的に間に合わないようにしても不思議ではないでしょう。そして、授業で扱われなければ、教科書検定でどんな検定がされようとも、どの教科書を使ったとしても、右にも左にもなることなく、ただ「何も知らない」国民が出来上がっていくわけです。
何も知らないからこそ、マスコミの話を鵜呑みにしてしまい、何も知らないからこそ、感情的に「中国はけしからん!」と、反中国に走ってしまいそうで怖いのです。ニュース番組では、思想的なことは別にして、日本と中国の間にあった事実(事実として認められている事柄だけで良い)を、もっと説明して欲しいと思います。(もちろん、本来は学校でしっかり教えるべき事柄なんですが。)
やはり歴史を知らなければ、デモの背景を正しく受け止めることは難しいと思うのです。