前回のコラムに私立高校の併願推薦のことを書きました。実はこの「併願推薦」が流行してきて、私立高入試は激変してきています。私も最近まで詳しく調べていなかったので、気づかなかったのですが、多くの併願推薦導入校(ただし入試相談ありの学校のみ)では、すでに入試の中心は推薦になっているのです。
昨年度の合格者に占める推薦入試の割合(推薦合格者/全合格者×100)を、少し調べてみただけでも、
中央学院 1158/1392→83%
八千代松陰(IGS含む) 1689/2135→79%
千葉経済大付(普) 1029/1446→71%
千葉英和(普) 649/1084→60%
と、合格者の半数を大きく超えている学校が多く、
流通経済大柏 167/1013→16%
のように、一般入試で大半の合格者を出す学校は、今や少数派になっています。
これだけ推薦で合格者を出してしまえば、もはやこれは推薦入試ではありません。実質的には、
「併願推薦」=普通の入試(一般入試)
「一般入試」=二次募集
という状態になっていると考えてよいでしょう。
推薦といっても、入試相談を通しておけば、合格はほぼ約束されていますから、一般入試との違いは、試験日(もちろん発表も手続きも)が10日ほど前にあるだけで、まったく普通の入試なのです。
しかし、入試相談のない上位校では、今も一般入試中心ですから、これは受験生や保護者の方は混乱するでしょう。そして、前回も書いたように、無駄金を二重に払ってしまうでしょう。
そもそも「推薦」とは、その受験生が、その高校にふさわしい人物であることを、中学校や先生が認めることで、成立する入試システムであったはずです。つまり、その生徒はその高校に進学することが前提のはずで、「推薦」=「単願」であるはずでしょう。
ところが「併願」の「推薦」が、大々的に行われるというのは、いったいどういうことなのでしょう。そこには、私立高校側の打算的な思惑を感じずにはいられないのです。
確かに今は私立高には冬の時代です、特に公立人気の高い千葉県では、生徒集めに、かなり深刻な状態の私立高も多いと思います。しかし、この「併願推薦」というシステムは、明らかにあからさまな「青田買い」であり、延納金の「二重取り」であるでしょう。これはいくらなんでも反則です。私立高校といえども教育機関なのですから。
私立高校だけを責めるわけではありません、私立高校を「青田買い」に走らせた原因は、公立高校の「特色化選抜」にあるでしょう。公立高入試が2回になったことで、受験生には、公立に入りやすくなったような印象を与えましたから、(現実には逆なわけですが。)それによって危機感を抱いた私立高校が、「公立より先にできる限り生徒を集めなければ、学校がつぶれてしまう。」と思うのも無理はありません。
しかし、その結果、私立・公立とも入試が2回にわたって行われることになり、入試期間は40日にも及び、保護者の払うお金は増え、不合格になる機会も増え、受験生と保護者は、いいように振り回されることになったわけです。県教委はこの現実をよく認識し、「入試は1校に1回」という、あたりまえの状態に早く戻してくれることを、強く望みます。