公立高校の入試日程が発表になりましたが、7月に入ると今度は、特色化選抜の各高校ごとの選抜方法や定員が発表になるはずです。
特色化選抜については、昨年の「解説」のコーナー「2003年、千葉県高校入試を振り返る。」の中、「不合格者を量産する特色化選抜」というサブタイトルで書きましたが、「倍率が非常に高くなる。」「結果、不合格体験を多くの受験生に強いる。」など、受験生にとってマイナス面の目立つ制度だといえます。
公立高校といえども、学校によって生徒のレベルも違えば、教育内容も違うわけですから、「各学校ごとに特色を持って選抜する」ということは、非常に意味のあることだと思います。一般入試のように全校同一問題では、千葉高のようなトップ高では、非常に高得点が必要になり、わずかなミスも許されなくなっていますし、底辺校では、問題のレベルが高すぎて、受験生の基礎学力が十分に測れないこともあるでしょう。このような学校では、特色化選抜は意義があるものだと思います。しかし、中位高では、一般入試で十分に機能しているはずですから、さらに別の入試を行う意義は見出しにくいでしょう。
つまり、全校で特色化選抜を実施する必要はないのではないか、と思うのです。一般入試では選抜に支障がある、または受験生が不利益を被りやすい、と考える学校だけが、特色化選抜を実施すればよいのではないでしょうか。結局、県教委は「各学校ごとに特色を」と言っておきながら、「実施しない」という特色は認めていないわけです。「全校実施」は特色化の趣旨とは相反する考え方でしょう。
また、特色化選抜の最大の問題点は、「入試が2回になった」ことにあり、このことが高倍率の原因になっています。やはり入試は1回きりにすべきでしょう。ほとんどの受験生にとって、特色化選抜の「不合格体験」は、苦痛でしかないと思うのです。
1回きりの(2月末の)入試で、全校同一問題をやりたい(特色化をやらない)学校は、今まで通りの入試をすればいいし、特色化でいきたい学校は、全校同一問題はやらなければいいのです。
この場合、全校同一問題ではなくなるので、「標準問題」などと呼んでやればよいのではないでしょうか。
考えれば考えるほど、現行の特色化選抜は、受験生を不幸にする制度にしか見えないのです。