今回はこのHPで初めて、水産高校について取り上げたいと思います。
先日県立高校再編計画の第2期実施プログラムの最終決定が発表されましたが、この中で統合予定だった銚子水産と銚子商業(銚子商業の校舎を使用)、安房水産と館山(館山の校舎を使用)について、統合については計画通りですが「水産高校の校舎は実習施設等として使用」となっていたのが、「校舎は併用」に変更されました。
現在、千葉県内には3校(銚子水産・安房水産・勝浦)の水産高校があり、うち勝浦は商業科も併設しています。
千葉県は国内有数の水産業のさかんな県ですから、漁業後継者育成のため水産高校は絶対に必要だと思いますが、現在の3校の定員充足度を見ると、3校は必要ないように思えます。
県でも3校は多いと考えたのでしょう、再編計画では勝浦高校は御宿高校と統合し、海についても学べる総合学科にして、水産高校としては銚子と安房の2校に、また銚子・安房も他の職業科高校と統合し、水産高校単独としての存続はしない方針になりました。
ここで私が思うのは、水産高校は他の学科と並立させていくのは難しいのではないかということです。
水産高校は水産高校独自の設備が必要です。当たり前ですが実習船が必要(これは3校共用だと思いますが)ですし、そのためには学校が海の近くにあることが必要でしょう。また大型の水槽など校内での実習設備も必要ですから、それなりの敷地も必要でしょう。これを既存の高校に統合するのは難しいと思ったからこそ、県の計画では「水産高校の校舎は実習施設等として使用」となったのでしょう。
しかし実際に運用するとなれば、授業をする校舎と自習施設が離れていれば、実習をするたびに移動時間などを考慮に入れなくてはならず、普段の授業の中に組み入れるのは難しくなってくるでしょう。
そこで、「校舎は併用」となったのでしょうが、ということは形式的には統合しても、実質的には別の学校になっていることになります。(ちょうど幕張総合と若葉看護の統合のような形ですね。)当然、教員・事務職員なども個々の校舎に必要でしょうし、統合しても、ほぼ2校分の経費がかかることになるでしょう。(減らせるのは校長・教頭くらいでしょうか。)それなら、卒業生や地元の多大なる反対に逆らってまで統合することに何の意味があるのでしょうか。これは形式的にでも学校数を減らしたようにしたい、お役人の面子だけがあるように感じます。
私の個人的な意見としては、社会的需要を考えれば、県内に水産高校は1校で良いように思います。(もちろん安房と銚子で、どっちを残すのか抵抗はあるでしょうが。)1校にしてしまうぶん、寄宿舎を充実させればよいのです。もともと、航海実習などで集団生活をする機会が多いわけですから、普通高校に比べると寮生活もしやすいでしょう。その上でその1校に関しては、これ以上ないくらい充実した教育環境を整えてやればよいでしょう。
まず数字ありきで、「3校から2校に減らすと決めたから」というやり方では、効果の出る再編にはならないでしょう。ひとまず、水産高校に関しては計画を凍結して、もう一度、時間をとって話し合ってもらえないものかと思います。水産高校の卒業生たちが、水産県千葉の中核を担っていくわけで、ひいては明日の県民の食卓を支えるわけですから。