さくら進学クリニック 『進学コラム』

千葉県北西部の公立上位高校志望の受験生に受験情報に関するアドバイスをお送りするブログです

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712.考察 県立船橋はもうじき公立トップ校になるのか

こんにちは、さくらです。

今回は「705.県立船橋は県立千葉を超えたのか」の続きです。
前のコラムでは「今年に限れば部分的に県千葉を超えたともいえるが、総合的にはまだまだ」という結論でした。
では、近い将来には県船橋は県千葉を追い越していくのでしょうか。
そのあたりを考えてみたいと思います。

初めに言っておきますが、今回のコラムはほとんど私の主観です。
それらしいことが書いてあっても信用しないように、未来のことなど誰にもわからないのです。
(このコラムを書いているのが県船橋をメインターゲットにしている個人塾の塾長なので、県船橋びいきであることは頭に入れておく必要があります)

前のコラムでも書きましたが、トップ校争いで一番の評価対象になるのは東大実績です。
ということで、県内高校の東大合格者数についての予備知識から。


千葉県における東大実績はほぼ一貫して県千葉が担ってきました。
県内の東大合格者が急増する1980年代後半まで、ほぼ毎年2桁(20~30人台の年が多い)の合格者を出している高校は県千葉しかありません。
船橋東葛飾など公立御三家と県千葉とひとまとめにされるのが恥ずかしくなるほどです。(私立はもっとひどいですが)

県千葉は昭和から平成に変わる頃(1980年代後半~90年代前半)が東大合格者数のピークで50名以上の年がなんと10年あまりも続きます。
1990年には最高の62名を記録し全国トップ10にも入っています。
ただし、この頃良かったのは県千葉だけでなく、90年は東葛飾26名、県船橋16名と公立御三家だけで100人超えという公立高校躍進の時期でした。

躍進の最大の理由は、当時の高校生がいわゆる団塊ジュニアにあたり、生徒数のピ-クであったことです。
また、高度成長後に県北西部は東京通勤圏として移住者が爆発的に増加していましたから、二重の理由で人数が多かったと言えます。
現在、千葉県の公立上位校は1クラス40名で8クラス(定員320名)が基本ですが、当時の最盛期には1クラス47名で10クラスもありました。
卒業生の数が今の1.5倍近くもいれば、東大合格者も多くなるわけです。

高度成長期の1960~70年代には市千葉・小金・薬園台(普)・県柏・船橋東などの新設校が多くできて(2番手校・3番手校の誕生です)、都市部では生徒の輪切りが進み、トップ校には優秀な生徒ばかり集まるようになったことも一因でしょう。
(それまではクラス1番でも8番でも同じ高校だったのに、高校が増えた結果、トップ校にはクラス2・3番くらいまでしか入れなくなった)

しかし、団塊ジュニアが高校を卒業していくと、その後、生徒数は減少に転じます。(少子化の時代に入ったということです)
県千葉の東大合格者数も急速に減少し、1998年から現在に至るまで年によって変動はあるものの20数名の状況が続いています。
県千葉が20数名に落ち着き始める98年に、渋谷幕張は初めて東大合格者を2桁に乗せます。
その後あれよという間に並ばれて、みるみるうちに手の届かない存在になっていきます。

かたや県船橋ですが、上で90年に東葛飾26名、県船橋16名と書いたように、御三家の序列はおおむね千葉>>東葛飾>県船橋でした。
船橋が東大実績で東葛飾より上位に来るのは、実はここ10年あまりのことです。
公立躍進の時代が終わり、1998年頃から県船橋の東大合格者数は一桁台前半(2人とか3人とか4人とか)という寂しい状況になります。
千葉大なら県船橋で、もっと上なら県千葉にという、ある意味わかりやすい(県船橋にとっては屈辱的な)棲み分けの時代です。

それが、ここ10年あまりの間に県千葉と並ぶところまで来るわけです。(そのへんのことは「704.県立船橋高校の大学進学状況」で)
公立御三家で1980~90年代のピーク時を超える東大合格者数を出しているのは県船橋だけです、これは特筆すべきことでしょう。


長いこと20数名の県千葉と、この10年で急成長の県船橋という構図がわかったところで、両校の未来について考えてみましょう。
実は県内高校の大学実績で今年、県船橋が県千葉と並んだことと同じくらい衝撃的な出来事がもう一つありました、市川が東大31名と大きく実績を伸ばしたことです。
ここ数年、市川は県千葉と肩を並べる状況になっていましたが、今年ついに大きく前に出ました。
かつて県千葉が渋谷幕張にブチ抜かれていった時のことを思い出した人もいたでしょう。

渋谷幕張の躍進で県内の中学受験熱が高まり、公立高校に入ってくるはずの優秀な生徒が中学受験で持って行かれる状況になってきました。
市川が東大合格者を31名に伸ばし、東邦が高校受験をやめてもいいと考えるほど、県内の中学受験のレベルは上がっています。
それは高校受験のレベルが以前とは変わっている(下がっている)ことを意味しています、もはや上位高校入学者のレベルが向上する見込みはほとんどないでしょう。

もちろんそれは県千葉に限ったことではなく、県船橋でも東葛飾でも同様です。
上位高校は少なくなったパイを奪い合わなくてはならなくなりました。
当たり前ですが、優秀な生徒が多く入学するほど3年後の実績が期待できます。
これからの県千葉と県船橋を考えるときに、少なくなってきた優秀な生徒を多く集められるのはどっちなのかという視点が必要でしょう。

地理的には県船橋が圧倒的に有利です。
船橋総武線・京成線・東武線が交差する交通の要衝で、都市部のあちこちから短時間で通うことが可能です。
最寄り駅は船橋駅ではなく一つ隣の東船橋駅ですが、駅から近く非常に通学しやすい学校と言ってよいです。
通学しやすいということは生徒集めにはものすごく有利で、実際、公立上位校では県船橋の受験者数は毎年ダントツです。
船橋駅前にある私の塾だって、千葉からも市川からも柏からも通ってくるくらいですから)

かたや県千葉の最寄り駅は外房線本千葉駅です。
こちらも千葉駅の一つ隣ですが、船橋方面からは千葉駅で外房線内房線に乗り換えなければなりません。
通学時間帯の本数は少なくないので不便なほどではありませんが、心理的にはハードルがあるでしょう。
(千葉以西の中学生には外房線内房線というだけですごく遠いイメージでしょう)

そういう地理的な不利さを、県千葉は「公立トップ校」というブランドで乗り越えてきたわけです。
しかし、県船橋が大幅な大学実績の向上に成功し、県千葉と肩を並べる所まで来ました。
船橋と千葉の間に住む中学生には「県千葉でなくても、県船橋でも東大に行けるんじゃないか」と考える生徒は増えるでしょう。
千葉市内の幕張・検見川・稲毛あたりの中学生は県千葉より県船橋を選択するようになるかもしれません。

そうなってくると、県千葉に中学校があることもマイナス要因になってきます。
高校入試では募集定員が少ないことが、受験生が敬遠する要因になるからです。
定員240名の県千葉と360名の県船橋では受験生に与えるイメージが大きく違うでしょう。
また、すでに出来上がっている付属中学の人間関係に入っていくというのも、敬遠される要因になるでしょう。
(付属中学からの進学組は玉石混交でしょうから、大学受験の戦力としては疑問があります)

いろいろ条件を加味してみると、県千葉の未来はあまり明るくないように思えます。
伝統や校風は継続するでしょうが、大学実績は現状維持かやや低下していくのではないでしょうか。
(県千葉はこの先も相変わらず自由放任のままなのでしょうから)

対して、県船橋にはまだ伸びしろがある、受験指導が効果を上げ、それが受験者増とレベルアップにつながり、さらに受験指導が効果を上げる。
渋谷幕張のようにドッカーンとはいかなくても、「3歩進んで2歩下がる」くらいのペースで公立トップ校にのし上がっていくような気がします。


塾の先生の立場から言うと、県千葉は大手進学塾による寡占が進んでいて、似たような学習法で入学してきた生徒ばかりです。
(詳しくは、さくら進学クリニックの「県内公立上位校の入試状況」の「県立千葉高校」のページに書いています)
自然界を見ればわかるように、多様性は生き残るための大切な要因です。(ちょっと強引(笑))
みんなが似たような勉強をしてきていると、大学受験でも柔軟な勉強ができなくて学習効果が上がりにくい可能性があるでしょう。
(受験勉強に悩んで友人に助言を求めても、似たような対策しか出てこないと助言にならない、全く異なった勉強経験がある友人がいると「そんなやり方があったか」と効果的な助言が出て来やすい)

かつて市進学院に勢いがあった頃、県船橋合格者の半数以上が市進出身者というすごい時代がありました。
その当時の県船橋は東大合格者が数名程度だったので、やはり多様性が欠けていたのではないかと思います。(まったく主観による想像です)
現在は市進が衰退したおかげで、県船橋は大手塾から中小塾・塾なし受験まで様々な生徒が入学しています。
(さくら進学塾のような個人塾からも何人も進学する(今年も3人)、ちなみにうちの塾の累積最多進学先は県船橋です)
最近、県船橋の進学実績が上がっているのは、高校受験における多様性が多少なりとも影響しているのではないかと考えています。

根拠に乏しい個人的な思いばかり語ってしまったので、最後に客観的なデータをひとつ。
Vもぎの進学研究会では学校や塾の先生にVもぎのデータを提供しています。
その中に受験者平均偏差値や合格者平均偏差値があります。(Vもぎは上位生の受験者数が多いので信頼性が高いです)
県千葉と県船橋の2014年~2023年の10年間の合格者平均偏差値の推移が下のグラフです。
転載禁止のデータなので、具体的な数字もグラフの目盛りも消してあります。

これを見ると、なんとなくじわじわと近づいているような気がしませんか。
数年で追いつくことはないにしても、10年後20年後はどうなっているかわかりませんよ。
(私はその頃まで塾をやっているのだろうか)


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