こんにちは、さくらです。
6月はVもぎやSもぎなど模擬試験が始まる月です。
模試では志望校を記入するので、志望校を決めるために偏差値を調べたりするでしょう。
試しにGoogleで「県立千葉高校 偏差値」で検索してみます。
検索の1ページ目に出てきたホームページをチェックして見てみると・・・
県千葉高校の偏差値は 75 75 72 70 70 74 74 72 とバラバラな数字が出てきます。
下は70から、上は75まで、どれを信じたらいいのか困ってしまいます。
というわけで、今回は志望校の合格基準偏差値について書きます。
《公立上位校受験の基礎知識 その3》
偏差値を見るときは「どのテスト」の「何%合格ライン」なのかを確認しよう!
公立高校の合格基準で信用できるのは「Vもぎ」と「Sもぎ」による偏差値!
そもそも偏差値とはいったい何なのでしょうか。
偏差値はテストで自分の得点が「全体のどのあたりの位置にあるのか」を示す指標です。
例えば、あなたがテストで80点を取ったとしましょう。
一般的には80点は立派な成績ですが、平均点が90点ならば80点はほめられない点数です。
このように、単に得点を見ただけでは本当の意味での評価はできません。
偏差値は「得点」と「平均点」と「標準偏差」から、より正確な評価ができる数値を計算したものです。
(標準偏差は散らばり具合を示す指標で、数値が小さいほど平均点付近に集まっていて、大きいほど散らばっていることを示します)
具体的には (個人の得点 - 平均点)× 10 ÷ 標準偏差 + 50 = 偏差値 という式で計算します。
偏差値は、複数回受験した模試の成績や、教科間の成績など、異なるテスト間で実力を比較するのに便利です。
今春の公立入試の結果から実例をあげて計算してみましょう。
入試終了後、得点開示したら「英語は85点、国語は80点」でした。
平均点を見ると英語47.6点、国語47.9点でほぼ同じなので、国語より英語の方がよくできたという評価でよいでしょうか。
(標準偏差は英語23.2、国語15.5)
では、得点を偏差値に変換して比較してみます。(小数第2位以下を四捨五入しています)
英語85点は(85-47.6)× 10 ÷ 23.2 + 50 = 偏差値66.1
国語80点は(80-47.9)× 10 ÷ 15.5 + 50 = 偏差値70.7 となります。
偏差値を見れば、得点の低かった国語の方が英語よりもよくできていたことがわかります。
このように偏差値を使うと、異なるテスト間でより正しく実力の違いを比べることができます。
ただ、便利そうに見える偏差値にも弱点があります。
受験者層が異なると偏差値の出方が変わってしまうことです。
簡単な例を挙げると
中学校の全員が受験する、学校で実施する実力テストの場合、クラスで真ん中あたりの生徒が平均点(=偏差値50)になります。
40人のクラスなら、20番あたりの生徒が偏差値50のライン上になります。
しかし、大手進学塾の塾内テストの場合、進学塾に通塾するのはクラスで上中位の生徒が中心なので受験者層は学校の実力テストより上がります。
進学塾に通塾する生徒が仮にクラスで30番までだったとすると、偏差値50ラインはクラスで15番あたりになるわけです。
真ん中にいるはずのクラス20番の生徒は偏差値40台になってしまうので、ちょっとショックかもしれません。
さらに駿台模試のような難関校向けの模試だと、クラス最上位レベルの生徒しか受験しないため、クラスで5番でも偏差値50に満たないかもしれません。
(5番という数値に根拠はありません、このくらいかなという想像です。実際、駿台模試では県千葉の60%偏差値が56~57だったりします)
偏差値を使って、異なるテスト間で成績の比較をする場合は、そのテストの受験者層がどんなレベルなのかを把握している必要があります。
偏差値とは何なのかわかったところで、では高校の合格基準偏差値とは何なのでしょうか。
それは、模擬試験受験者の入試結果を追跡調査することによって割り出すことができます。
簡単に例を示してみます。
(あくまでも架空の話です、簡単にするためにデータ数をかなり減らしています)
模試Aでは入試終了後に模試の受験者に対して、入試結果を追跡調査してデータを得ました。
その中のQ高校の合否データを偏差値別にまとめたものが以下です。
偏差値 合否の数
71 合
70 合
69 合合
68 合合否
67 合合合否否 ←合格60%ライン
66 合合合合否否否否
65 合合合合否否否否否否 ←合格40%ライン
64 合合否否否否否否
63 合否否否
62 否否
61 否
60 否
偏差値が高いほど合格する可能性は高いですが、偏差値と合否が完全に合致するわけではありません。
試験はやってみないとわからない部分がありますから、合格基準を超えていても不合格になることもあります。
これを見ると、Q高校の模試Aでの合格60%ライン(合格:不合格=6:4になる偏差値)は67になります。
かなりおおざっぱな例ですが、だいたいこんな感じで40%とか60%とか出しているはずです。
ただ、単年度のデータのみだと倍率の変動などその年の要因で難易度が動くので、複数年を総合して出していると思います。
実際には模試会社によって出し方に独自性があると思われます。(担当者の裁量の部分とか差がありそうです)
このように合格ラインの算出には「テストと追跡調査」が必要です。
また、「何%の合格ラインなのか」も重要です。
よく使われるのは80%や60%ですが、当然、80%のほうが数値は高くなります。
VもぎやSもぎの成績表に印字される合格基準は60%が使われています。
(Vもぎの先生用資料を見ると「80% 66、60% 64、40% 61」のように、段階別の数値が掲載されています)
したがって、合格基準偏差値は「どのテストで出したものか」「何%の合格ラインなのか」がわからないと意味のない数字になります。
また、そのテストはなるべく受験者数が多く(模試の信憑性は受験者数で決まります)、受験者層が明確であるものがよいです。
(どのテストから算出したのか、明記されていないような偏差値は信用してはいけません)
そう考えると、千葉県の公立高校の合格基準を知りたいなら、VもぎかSもぎの偏差値が最も信用できるでしょう。
ということで、今回の基礎知識です。
偏差値を見るときは「どのテスト」の「何%合格ライン」なのかを確認しよう!
公立高校の合格基準で信用できるのは「Vもぎ」と「Sもぎ」による偏差値!
インターネット上には、出所の怪しい情報がたくさんあります。
情報の出所をしっかり確認して、ニセ情報に惑わされないようにしましょう。