さくら進学クリニック 『進学コラム』

千葉県北西部の公立上位高校志望の受験生に受験情報に関するアドバイスをお送りするブログです

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 2025年千葉県公立高校入試は2月18・19日です

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661.公立入試の教科別特徴

こんにちは、さくらです。
今回は公立上位校受験の手引きの最終回、「6.公立入試の教科別特徴」です。

スローペースの人でも1・2年分くらいは公立の過去問を解いていると思います。
(入試は2月下旬なので、あまり急いで公立の過去問をこなす必要はありませんが)
学校の試験ではまんべんなく取れている人でも、過去問の得点は教科でばらつきがあるかもしれません。
それは当然です、そもそも公立の入試問題は全教科まんべんなく取れるようにはできていないのです。
ということで、学校でも塾でもあまり教えてくれない、千葉県公立入試の教科別特徴について書きます。
公立入試で1点でも多く得点するために、教科の特徴を知り、対策に生かしてください。


6.公立入試の教科別特徴

千葉県の公立高校入試は、2021年に前期・後期の2回入試から1回のみの入試に変わりました。
制度変更による受験生の不安を軽減しようとしたのか、2021年は前年前期より平均点が24.6点上がり、やや易しくなりました。
新制度2年目の2022年は一転して問題が難しくなり、5教科すべて平均点が下がりました。

2021年 → 2022年の平均点の推移
国語 52.8 → 47.7(-5.1)
社会 57.7 → 56.3(-1.4)
数学 59.3 → 51.5(-7.8)
理科 54.6 → 52.7(-1.9)
英語 61.7 → 58.7(-3.0)
5科 286.2 → 266.7(-19.5)

ここ数年の(2020年までは前期の)平均点を見ると、県は平均点を270~280点あたりに持っていきたいのかなと感じます。
今春は266.7点でやや低めですが、サービス回だった前年よりも今後の公立入試の方向性を正しく示しているのではないかと思います。
それは教科ごとの問題傾向を見ても感じるところです。
そのあたりを、県が公表したデータを使って見ていきましょう。

ここでは5月に県から発表になった「令和4年度 千葉県公立高等学校入学者選抜 学力検査結果の概要」を題材として使用します。
資料の現物を見たい方は、千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「令和4年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「35.令和4年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について《報道発表》(令和4年5月18日)」と進み
「令和4年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査結果の概要」をダウンロードするか、その場で開いてください。

この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは「Ⅳ 【本検査】受検者の得点分布」という簡単なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は10点刻みの中間にありますが、これは70点台や80点台という意味だと解釈しています。(中学校の数学で習う「階級値」ですね)


ではさっそく、2022年の公立入試について、得点分布グラフから教科別特徴を読み取っていきます。

まずは国語から得点分布グラフを見てみましょう。


90点以上 ほぼ0%   80点以上 約2%   70点以上 約10%

※人数の比率(%)は私が目分量で読んだ数字です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下、約を省略します。

グラフは山の形がはっきりしていて、上位・下位が少なく平均点付近に多くの受験生が集まっています。
90点台の点は完全にx軸上にあります、これはほぼ0%といってよいでしょう。
さらに80点台も2%に届いているかいないかぐらいで、高得点を取るのは非常に難しかったことがわかります。
これでは1番手校でも80点に届かない生徒がかなり多数いたでしょう。

何%と言われてもイメージしにくいので具体的な数字を出しましょう。
2022年の公立高校全日制全受験者数は33566名だったので、その1%は約336名です。
1番手校(千葉・船橋東葛飾・千葉東)の受験者合計が1982名で6%弱なので、80点以上が2%ならば「1番手校でも80点に届かない生徒が多数いた」ことがわかると思います。

国語は母国語なので、日常のコミュニケーションを通じて訓練されていきます。
多くの生徒がそれなりの点数を取れる(平均点付近に集まる)のは当然の結果でしょう。
差をつけるために難易度の高い問題を入れれば、今度は解ける生徒が限られてしまいます。
千葉県公立入試特有の特徴というより、教科の性格からくる特徴でしょう。

千葉県特有の特徴といえば、国語には「聞き取り問題(英語でいうリスニング)」があります。
聞き取り問題の放送時間は強制的に拘束されてしまうので、そのぶん他の問題を解く時間は短くなります。
千葉県では時間を必要とする「条件作文」も必ず出るので、時間配分を上手く考えないとタイムオーバーになります。
そういう意味でも、国語は高得点の難しい教科だといってよいでしょう。


次は数学を見てみましょう。


90点以上 1%   80点以上 7%   70点以上 21%

2021年の数学は今まで見たことがないくらい易しいものでしたが、今春は一転していつもの数学に近づきました。
90点以上を1%としていますが、これは1%に届いていないでしょう。
国語ほどではないにしても、数学も高得点が難しい教科だったことがわかります。
ただし、国語とは異なり80点台は6%もいるので、1番手校では80点台がゴロゴロいて差がつきにくい教科になったと考えられます。

千葉県の数学には正答率が5%を切るような問題が毎年何問か入っています。
こういう問題はかなり数学が得意でないと解けないので、90点以上の高得点は難しくなるわけです。

グラフからわかるように60~70点台までは難しくない問題です。(試験問題のおよそ半分は教科書レベルです)
基本問題の演習をしっかりしておけば60点を確保するのは容易でしょう。
1番手校志望の受験生なら、数学が苦手でも入試標準レベルまできっちり訓練して70点台は取りたいところです。


続いて英語です。


90点以上 8%   80点以上 24%   70点以上 39%

英語のグラフは国語や数学とは大きく異なり、崩れたMのような「ふたコブ」の山になっています。
30点台から80点台までずっと10%~16%という、上から下まで個人差の出る教科です。

ただ、高得点層に目を向けると、90点以上が8%とかなり多く、80点以上に至っては24%もいます。
前出のように1番手校4校で約6%弱ですから、1番手校では90点以上が当然、2番手校でも80点台後半以上が普通だったでしょう。
上位生だけを見れば「高得点に団子状態」の差がつきにくい教科だといえます。

英語はほぼ中学3年間しか学んでいないので、国語や数学に比べると受験に必要な知識量は少なめです。
学習量の多い(しかも理解度の高い)上位生には攻略が最も容易な教科であるといえます。
国語や数学とは違い「知識で解く」教科なので、訓練度が高ければ満点を狙うことも可能です。
1番手校の受験生なら、英語の目標は100点でよいでしょう。


続いて社会にいきましょう。


90点以上 5%   80点以上 17%   70点以上 31%

社会のグラフは山というより台地のような形です。
90点以上が5%、80点以上が17%ですから、上位生にとっては英語とほぼ同じ傾向の教科だといってよいでしょう。
社会で得点できなければ上位校の合格を望むことはできません。
社会は100%暗記の教科ですから、どんな方法を使っても頭にたたき込んで90点以上取れるようになりましょう。


最後に理科です。


90点以上 2.5%   80点以上 12%   70点以上 26%

理科のグラフは社会の右端を少しへこませたような形です。
高得点層は90点以上が2.5%なので、国語や数学よりは取りやすいものの、英語や社会ほど易しくはないという感じです。
80点以上は12%もいるので、2番手校でも80点以上が普通だったでしょう。

千葉県の理科は年による難易度の変動が大きく、予期せぬことが起こるかもしれないと思っていたほうがよいです。
(2010年には平均点が38.8点なんてこともありました、多くの受験生が自己採点後に大きなショックを受けていました)
90点以上はなかなか容易ではないかもしれませんが、1番手校の受験生なら暗記部分を中心にしっかり勉強して80点台後半を確保したいものです。
80点までは難しくないので、英語・社会と同様にできないと致命傷になります。


ここまで5教科の得点分布グラフを見てきました、千葉県公立入試における5教科の特徴をまとめてみます。

高得点が可能な教科は英語と社会。
1番手校では90点を割るような生徒はほとんどいないので苦手だと致命的です。
暗記教科ですから、繰り返し問題演習して確実に得点できるようになりましょう。

理科は年によっては90点以上はきついものの、80点台までは取りやすい。
暗記分野が多いので、英語や社会と同じと考えて繰り返し問題演習をしましょう。
1番手校なら英語・社会・理科で目標270点、できれば280点を目指しましょう。

高得点を取りにくいのは国語と数学。
年によっては1番手校でも80点すら難しいこともあります。
得意な生徒はガンガン鍛えたいですが、そうでなければ深追いは禁物です。
英語・社会・理科の対策が不十分なままで、国語や数学に力を入れても効果は見込めません。
ただし、計算練習や漢字練習は毎日欠かさずにやりましょう、取りどころで落としたら合格はありえません。


もうひとつ最後に5教科合計です。


450点以上 ほぼ0%   400点以上 7%   350点以上 23%

高得点層に特徴的なことは450点以上がほとんどいないことです。
皆無というわけではありませんが、実質的には450点満点のようなものです。
公立1番手校の合格最低点は410〜430点くらいですから、上限である450点に近い得点が求められます。

400点以上が7%もいるので、1番手校では400点台前半にたくさんの受験生がびっしり並んだはずです。
その中で450点に向かって一歩でも二歩でも前に出た者が合格を手にできるという厳しい戦いです。

狭い範囲に多くの受験生がいれば、数点の差で順位が大きく動くでしょう。
合否を分けたのは「実力の差」だけでなく、「いつもの実力が出せたかどうか」も大きかったはずです。
1番手校を目指す受験生は実力をつけるのは当然として、いつも通りの実力を出せるための訓練も必要でしょう。
公立入試の前に私立1番手校で「試験中の試合運び」の練習をしておくことが、公立の合格可能性を上げるはずです。
(練習ですから市川や秀英は不合格になってもいいのです、人は成功より失敗からのほうが多く学べるものです)


最後に、出題傾向は変わるものだと思っておくこと。
出題傾向が変わっていたとしても、上位校の受験生は高得点を取らなければなりません。
「千葉の公立はこのパターン」などと思い込まずに、様々なパターンの演習をしておくことです。
所詮は公立の問題です「何でも来い」という気持ちで、いろいろな問題をたくさん解いておきましょう。

ただし、それは過去の出題傾向など無視してよいという意味ではありません。
出題の特徴や傾向を知り、その上で十分な勉強をすれば合格は自ずと近づいてくるでしょう。


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