こんにちは、さくらです。
今朝の新聞に「公立高校の進路志望調査」が掲載されました。
これは中3生の志望状況を調査した数字です。
調査は県内私立入試の前に行っているので、私立入試の結果によって動く生徒の分は含まれていません。
実際の願書提出状況とは異なりますので気をつけてください。
今回は、この調査結果から公立1・2番手校の入試傾向を読み取ってみたいと思います。
はじめに1・2番手校(普通科、小金は総合学科)の志望状況をまとめておきます。
県千葉 (定員240名) 志望者448名 倍率1.87倍
県船橋 (定員320名) 志望者740名 倍率2.31倍
東葛飾 (定員240名) 志望者503名 倍率2.10倍
千葉東 (定員320名) 志望者495名 倍率1.55倍
佐倉 (定員280名) 志望者495名 倍率1.77倍
薬園台 (定員280名) 志望者379名 倍率1.35倍
市千葉 (定員280名) 志望者566名 倍率2.02倍
小金 (定員320名) 志望者599名 倍率1.87倍
一覧表の倍率をざっと見て胸が熱くなりました、これが本来の公立高入試です。
2倍を超えているのはわずかに、県船橋、東葛飾、市立千葉(いずれも普通科)の3校のみ。
ほとんどの高校はその学校の平均点を取れば合格できる倍率です。
見かけだけ受験生に優しそうな複数回入試がなくなって、本当に良かったと思います。
これだけでは状況が見えにくいので、昨年の志望者数と比較してみます。
県千葉 528名 → 448名 ( -80名)
県船橋 845名 → 740名 (-105名)
東葛飾 481名 → 503名 ( +22名)
千葉東 611名 → 495名 (-116名)
佐倉 482名 → 495名 ( +13名)
薬園台 384名 → 379名 ( -5名)
市千葉 549名 → 566名 ( +17名)
小金 621名 → 599名 ( -22名)
県千葉、県船橋、千葉東は100名前後の大幅減ですが、他は微増や微減でほぼ昨年並みと言えます。
入試が1回になったことでチャレンジ層が減り、倍率は下がるのではと思われていましたが、状況は高校ごとにまちまちのようです。
次に、過去5年間の「調査」と「実際の志願状況」を比較して、今年の傾向を考えていきたいと思います。
調査での志望者数 → 前期選抜での志願者数 (増減数、志願率) 志願倍率 の順に記載していきます。
志願率とは私の造語で「調査での志望者数」のうち「実際に前期選抜に志願した数」の割合です。
調査で志望した高校に実際にどの程度(何%)が出願したのかを示しています。
これは 前期選抜志願者数 ÷ 調査での志望者数 ×100 で計算しています。
志望調査はあくまでも「志望」であり、実際には志望した生徒全員がその高校を受験するわけではありません。
上位校では模試や私立の結果などから志望を下げる生徒も出てくるので、実際の志願者数は調査よりも減るのが普通です。
そこで、高校ごとの志願者の減り具合を調べてデータを修正し、より精度の高い予想をしようというわけです。
実際に志願率を出してみると、学校ごとの特徴も見えますが、年ごとのばらつきも大きく予想は容易ではありません。
そのあたりもふまえて、あくまでも「予想」として参考にしていただきたいと思います。
特に今年は入試が1回になり受験生の動きが大きく変わる可能性もあります、本当に参考程度に見てください。
ところで、今年から入試が1回になるので、昨年までの倍率は定員が違うので参考になりません。
そこで、ここでは「入試が1回だったら」と想定して、
志願倍率を 前期選抜での志願者数 ÷ 総定員 で計算し直しています。
実際の前期選抜の倍率とは異なりますのでご注意ください。
まずは1番手校から。
県立千葉 (定員240名)
調査志望者数 → 前期志願者数 (増減数、志願率) 志願倍率
2016年 533名 → 471名 ( -62名、88%) 1.96倍
2017年 584名 → 474名 (-110名、81%) 1.98倍
2018年 524名 → 432名 ( -92名、82%) 1.80倍
2019年 539名 → 458名 ( -81名、85%) 1.91倍
2020年 528名 → 428名 (-100名、81%) 1.78倍
2021年 448名 →
県千葉は千葉中からの進学者が2クラス分いるので募集定員が6クラスと少なく、構造的に高倍率になりやすい学校です。
18年から20年の3年間は志望者数がほとんど変わっていませんでしたが、今年は大きく減らしています。
県千葉は最難関校ですから、安全志向の影響を最も受けやすい学校なのでしょう。
トップ校のため、あきらめた層が抜けるだけで流入がないためか、志願率は例年低めの80%台です。
志願率が80~85%程度なら、志願倍率は1.5~1.6倍になります。
2016年のように90%近くまでいっても1.7倍程度ですみそうです。
県立船橋 (定員320名)
16年 788名 → 649名 (-139名、82%) 2.03倍
17年 797名 → 653名 (-144名、82%) 2.04倍
18年 790名 → 672名 (-118名、85%) 2.10倍
19年 801名 → 631名 (-170名、79%) 1.97倍
20年 845名 → 650名 (-195名、77%) 2.03倍
21年 740名 →
県船橋・普通科は本来は7クラスですが、2014年から臨時定員増で8クラスになっています。
定員を増やしても、それを上回る人気のため今回の志望調査でも最高倍率の2.31倍を記録しています。
とはいえ、昨年に比べるとマイナス105名と大きく志望者を減らしています。
県船橋は県千葉に次ぐ難関校ですから、今年は安全志向で敬遠されたのでしょう。(昨年が多すぎたとも言えますが)
県千葉と同様に抜けるだけで流入がほとんどないため、志願率は80%を切ることもあるほど低めの学校です。
人気校なので、志望したものの実力が及ばないという受験生が、後になるほどたくさん抜けるという事情もあるでしょう。
志願率が80%前後なら、志願倍率は1.8~1.9倍になります。
2倍は切りそうですが、厳しい入試になることは間違いないでしょう。
東葛飾 (定員240名、18年までは320名)
16年 581名 → 536名 (-45名、92%) 1.68倍
17年 518名 → 487名 (-31名、94%) 1.52倍
18年 630名 → 590名 (-40名、94%) 1.84倍
19年 435名 → 432名 ( -3名、99%) 1.80倍
20年 481名 → 433名 (-48名、90%) 1.80倍
21年 503名 →
東葛飾は地理的要因で他校に変更しにくいのか、志願率は県千葉や県船橋より高く90%台です。
2019年より東葛飾中からの進学者で2クラス定員が減り、県千葉と同じ240名の定員となっています。
その19年は定員減で敬遠されたのか大きく志望者を減らしましたが、その後抜けた生徒はわずか3名で志願率は99%に達しました。
定員が少ないため、志願者が少し動くだけでけっこう倍率も動きます。
志願率が90%台前半なら、志願倍率は1.9倍前後になります。
志願率が95%を超えてくると倍率は2倍を超えます、東葛飾は2倍に最も近い高校でしょう。
千葉東 (定員320名、18年までは360名)
16年 674名 → 635名 (-39名、94%) 1.76倍
17年 679名 → 618名 (-61名、91%) 1.72倍
18年 742名 → 701名 (-41名、94%) 1.95倍
19年 704名 → 612名 (-92名、87%) 1.91倍
20年 611名 → 518名 (-83名、85%) 1.62倍
21年 495名 →
千葉東は116名の大幅減になっています。
県千葉や県船橋が減ったぶん千葉東が増えてもよさそうですが、そうはなっていません。
昨年の倍率があまり高くなかったので、受験生が戻ってきてもよさそうなのに、そうはなっていません。
受験生の動きというのは予想通りにはいかないものです。
学区ナンバー2で抜ける分と流入する分が相殺されるためか、志願率は県千葉ほど低くありません。
年による動きもけっこうあるため、予想の難しい学校です。
今年は志望段階で400人台とかなり少なくなっていますから、志願率は高めになるのではないかと考えますが・・・。
志願率が90%程度なら、志願倍率は1.4倍くらいになります。
続いて2番手校を見ていきましょう。
佐倉 (定員280名)
16年 503名 → 453名 (-50名、90%) 1.62倍
17年 517名 → 467名 (-50名、90%) 1.67倍
18年 455名 → 453名 ( -2名、99%) 1.62倍
19年 539名 → 490名 (-49名、91%) 1.75倍
20年 482名 → 436名 (-46名、90%) 1.56倍
21年 495名 →
佐倉は東葛飾と同様に地理的要因で他校に変更しにくいのか、志願率は高く90%程度です。
18年に500名を大きく割り込んだときは、志願者がほとんど減らず驚異の志願率99.6%で倍率を維持しました。
倍率が大きく崩れることのない、安定した人気を保っている学校といえます。
志願率が90%程度なら、志願倍率は1.6倍くらいになります。
薬園台 (定員280名)
16年 444名 → 406名 (-38名、91%) 1.45倍
17年 500名 → 451名 (-49名、90%) 1.61倍
18年 393名 → 353名 (-40名、90%) 1.26倍
19年 394名 → 378名 (-16名、96%) 1.35倍
20年 384名 → 342名 (-42名、89%) 1.22倍
21年 379名 →
3年連続の志願者低迷となった薬園台ですが、今年も状況は改善されないようです。
志願率が90~95%でも、志願倍率は1.2~1.3倍です。
入試が1回になってみると、倍率の低さ(人気の低さ)が際だってしまいます。
進学コラムでは扱っていませんが、船橋市内で薬園台の次になる船橋東も定員320名で志望357名と危機的状況です。
市立千葉 (定員280名)
16年 414名 → 362名 (-52名、87%) 1.29倍
17年 535名 → 478名 (-57名、89%) 1.71倍
18年 443名 → 414名 (-29名、93%) 1.48倍
19年 521名 → 476名 (-45名、91%) 1.70倍
20年 549名 → 453名 (-96名、83%) 1.62倍
21年 566名 →
市千葉が県船橋や東葛飾と並んで志望調査2倍越えなど、時代の変化を感じます。
実際、ここ3年でじわじわと志望者が増えています。
普通科は千葉市民しか受験できないので、薬園台から志望者が移ってきているとも思えません。
今年も市立稲毛が定員200名で志望者215名と(昨年は志望者207名だった)すごいことになっている影響があるのでしょうか。
稲毛がそんな感じなので、今年も稲毛に流れて志願率は下がりそうです。
志願率が昨年並みの83%程度なら、志願倍率は1.7倍ほどになります。
小金 (定員320名)
16年 579名 → 522名 ( -57名、90%) 1.63倍
17年 604名 → 567名 ( -37名、94%) 1.77倍
18年 618名 → 544名 ( -74名、88%) 1.70倍
19年 660名 → 560名 (-100名、85%) 1.75倍
20年 621名 → 535名 ( -86名、86%) 1.67倍
21年 599名 →
ついに2番手校入りした小金は(私の勝手な判断ですが)、600名をわずかに割ったものの今年も好調です。
人気先行の学校ですから、今年も100人に迫る大幅抜けがあるかもしれません。
志願率が85~90%なら、志願倍率は1.6~1.7倍になります。
昨年同様、郡部の理数科は厳しい状況になっています。(定員はすべて40名、( )内は前年)
長生 志望者23名(35名) 0.58倍
佐原 志望者24名(33名) 0.60倍
成東 志望者21名(29名) 0.53倍
匝瑳 志望者13名(10名) 0.33倍
「すべての学区に理数科を」という方針は理数科のレベル低下を招いたように思えてなりません。
希望者がいないところに学科だけ作っても・・・ということなんでしょう。
(実際には、理数科が実質的な理系選抜クラスでなくなったからなんでしょうが)
ちなみに長生と匝瑳は普通科の倍率も厳しいので、このままの数字で出願したら2次募集になってしまいます。
1・2番手校中心にざっと見てきましたが、これは過去のデータに基づいた予測にすぎません。
想定外の動きをする場合もありますので、あくまでも参考程度に見てください。
昨年までの入試結果は進学研究会や総進図書のホームページに掲載されています。
1・2番手校以外について調べたい場合は参考にしてください。
入試が1回になって、希望が持てる倍率になっていると思います。
入試まで1か月を切っています、ラストスパート頑張ってください。