こんにちは、さくらです。
早いもので冬休みまであと10日ほどになりました、過去問研究は順調に進んでいるでしょうか。
過去問には出題傾向を知るだけでなく、今後の勉強の指針を示すナビゲーターの役割もあります。
過去問を解いた結果をふまえて対策をしていけば、より学習効果を上げることができるでしょう。
今回は学校でも塾でもあまり教えてくれない、千葉県公立入試の教科別特徴について書きます。
各教科の特徴をしっかり頭に入れて過去問に取り組んでください。
(今回のコラムはさくら進学クリニックで6月に行った高校入試説明会や、受験の手引きに書いた内容の一部を再構成したものです)
当コラムでは年は西暦表示で統一していますが、公立入試で県の出す文書はすべて平成なので、ここでもわかりやすさ優先で平成で表示しています。
平成29年(2017年)公立前期選抜の平均点は以下のようになっています。
国語 60.8点
理科 56.4点
社会 53.8点
英語 53.7点
数学 51.4点
これを見ると、最も得点しやすい教科は国語、次いで理科、逆に得点しにくいのは数学であるように思われます。
しかし、上位生にとって重要なのは「90点以上の高得点を取りやすいかどうか」です。
それを知るためには、平均点とは別の指標が必要になります。
ここでは5月に県から発表された「平成29年度 千葉県公立高校学力検査の結果」を題材として使用します。
千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「平成29年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「26.平成29年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について<報道発表>(平成29年5月24日)」と進み
「平成29年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果(PDF:1,245KB)」をダウンロードするか、その場で開いてください。
この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは、前期・後期の最後に掲載されている「受検者の得点分布」という簡単なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は10点刻みの中間にありますが、これは70点台や80点台という意味だと解釈しています。(中学校の数学で習う「階級値」ですね)
ここでは公立志望者のほぼ全員が受験する前期選抜について、得点分布グラフから教科別特徴を読み取っていきます。
まずは平均点の最も高い国語と2番目に低い英語のグラフを比較してみましょう。
左が国語、右が英語のグラフです。
このグラフから得点階層別の構成割合を読み取ってみると次のようになります。
国語 90点以上 2% 80点以上 13% 70点以上 34%
英語 90点以上 5% 80点以上 18% 70点以上 32%
(私が目分量で読み取ったおよその数値です、80点以上には90点以上を含みます、70点以上も同様です)
国語は90点以上が2%と少なく、上位生でも高得点が容易ではない教科であることがわかります。
対して、英語は90点以上が5%と国語の2倍以上もいて、高得点しやすい教科であることがわかります。
何%といわれてもイメージしにくいので具体的な数字を出しましょう。
29年前期の全受験者数は38,605名なので、その1%は約390名になります。
公立御三家(県千葉・県船橋・東葛飾)の前期受験者合計は1583名で、全受験者の約4.2%にあたります。
したがって、国語で90点以上取れたのは御三家でも半数に満たないことになります。
しかし80点以上は13%もいるので、80点台ならば佐倉・薬園台など2番手校でもゴロゴロいたはずです。
英語は御三家では90点以上が多数派だったでしょう。
たとえ平均点は低くても、上位生にとっては高得点を取って当然の教科だといえます。
次に最も平均点が低かった数学を見てみましょう。
90点以上 1% 80点以上 4% 70点以上 14%
90点以上はわずかに1%、絶望的に高得点の難しい教科であることがわかります。
80点以上でも4%しかいないので、2番手校では80点台もほとんどいなかったのではないでしょうか。
数学は得意不得意の差がつきやすいイメージですが、実は差がつきにくい教科だといえます。
70点以上は14%とグッと多くなるので、苦手な人は取れる問題を確実に取って70点台を目指せばよいでしょう。
(千葉県の数学は、上位校では易しい問題はみんなできて、難しい問題は超得意な人しかできないのです)
残る理科と社会も見てみます、左が理科、右が社会です。
理科 90点以上 2.5% 80点以上 13% 70点以上 25%
社会 90点以上 3% 80点以上 12% 70点以上 26%
理科・社会とも国語に近い傾向です。
御三家なら90点以上を狙っていけますが、2番手校では90点は容易ではないでしょう。
しかし、80点以上はけっこういるので、しっかり勉強して80点台後半の得点を目指したいものです。
最後に、教科別特徴ではありませんが、29年前期の5教科合計のグラフも見てみましょう。
450点以上 0.5% 400点以上 7.5% 350点以上 24%
前期では450点以上の高得点者は非常に少なく、ほとんど450点満点のような状況です。
御三家では400点台前半〜450点の狭い範囲にぎっしりと受験生が並んでいると考えられます。
ちょっとしたミスでも順位が大幅に下がり、合格圏から外れてしまうこともあるでしょう。
取れるはずの問題をいかに確実に得点するか、能力よりも訓練度が試される入試だといえます。
平成29年だけを見れば以上のような特徴ですが、特徴は年度により変化します。
そこで、少し長い目で見た(といっても、前期・後期になって以降ですが)特徴も少し書いておきます。
年度による違いを知るために、ここ3年間(平成27年〜29年)の90点以上の割合を並べてみました。
(27年→28年→29年の順に記載しています)
国語 ほぼ0% → 1% → 2%
数学 ほぼ0% → ほぼ0% → 1%
英語 9% → 7% → 5%
理科 2% → 1%未満 → 2.5%
社会 7% → 7% → 3%
数学は一貫して高得点が難しいですが、それ以外の教科は年度によってけっこう動いていることがわかります。
国語はこの3年間でじわじわ取りやすくなっています。
前期・後期の入試が始まった平成23年から27年までの5年間は、国語は数学と並んで高得点の非常に難しい教科でした。
昨年は易しくなって1年目だったので「この傾向が続くのか、はたまた戻ってしまうのか」なんて書いていたのですが、
さすがに2年続けば「国語は易しくなった」と判断したほうがよいのでしょう。(思い込みすぎは危険ですが…)
国語が取りやすくなった分のバランスをとったのか、かわりに英語と社会がやや取りにくくなってきています。
それでもまだ数学や国語より高得点が可能です、英語と社会でしっかり得点を稼ぎましょう。
理社は傾向の読めない変化をしています、千葉県の理科は年度による差が大きい教科なのです。
28年は90点以上が 1%未満 と数学並みに点が取れませんでした。
平均点も 23年58.6、24年57.7、25年45.5、26年43.9、27年57.1、28年46.3、29年56.4 と激しく動いています。
千葉県の理科は予期しないことが起こるかもしれないと思っていたほうがよいでしょう。