さくら進学クリニック 『進学コラム』

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「239.千葉県の高校受験と内申」

こんにちは、さくらです。
今回は「千葉県の高校受験と内申」について書きます。


毎年、入試の時期になると、「進学コラム」のコメント欄は「内申」の話題でにぎわってきます。
書き込みの多くは「内申の不公平性」についてです。


「内申」の何がそんなに不公平なのでしょう。
そもそも、「学力試験」を実施するのに、なぜ「内申」を加味する必要があるのでしょう。
そのあたりを、私なりに解釈・解説したいと思います。



現在の内申点のつけ方は「絶対評価」という評価方法です。
これは、個々の生徒の「学習到達度」によって得点をつけるもので、評価の基準は「生徒自身の到達度」にあります。といっても、よくわからないかもしれないので、以前の制度との比較をしましょう。


以前は「相対評価」という評価方法で「評定の人数割合」が決まっているのが特徴でした。
例えば「5」は全体の7%、「4」は24%という具合です。
評定の人数割合が決まっていますから、評価の基準は「生徒の順位」にあることになります。
例えば、生徒数が40名なら「5」は40×0.07=2.8名となり、「5」をもらうには「40名中3番まで」に入らなければなりません。


人数割合が決まっているので、優秀な生徒が数多くいる中学校でも「5」は決まった人数しかつけることができません。
先生が「この生徒は、よく頑張るし実力も高いので「5」をあげたい」と思っても、人数の関係で「4」をつけざるを得ないということもしばしばあったでしょう。


また、学校内で人数割合が決まっているので、実力がほぼ同じでも「こっちの中学校では「5」がもらえる」のに「こっちだと「4」しかもらえない」ということも起こりました。
相対評価では、レベルの低い中学校に通っている方が有利なのです。)


そういう格差が起こらないよう、本人の実力を正しく評価できるように「絶対評価」が導入されました。
絶対評価の場合は、「生徒自身の到達度」が高ければ、順位(人数)に関係なく高い評定がもらえるのです。
中学校間格差や学級間格差、学年間格差は解消され、「公平な評価」がなされるはずでした。


ところが千葉県では、絶対評価になったら「内申点バブル」が起こりました。


絶対評価の場合、先生から見て「5」に相当する到達度の生徒が20人いれば、20人が「5」になってもかまいません。
中学校の先生は「頑張っている生徒を評価したがる」傾向にあるので(このこと自体はよいことだと思います)、「頑張り」が見えると高得点をつけたくなってしまいます。
しかも、内申が高ければ入試で有利なわけですから、先生が「自分の生徒に多めに点をあげたくなる」のは自然な流れでしょう。


その結果、千葉県は全国的に見ても「内申点の高くつく」県になったのです。


それは、県として看過できないレベルにもなり、ついに2008年入試から「内申点バブル」を強制的に是正することになりました。
内申点の修正」=「算式1」の導入です。


算式1とは「個人評定合計値+95−中学校評定合計平均値=修正後の内申点」という単純な公式です。


この公式では、中学校評定合計平均値が県の定めた95点より高い場合、全員から減点することになります。
(逆に平均値が95点を下回っていると、全員に加点することになります。)


どこの中学校に通っていても、数多く「5」を取ることは非常に大変なことで相当の努力を要します。
それを、中学校の平均が高いからといって「バッサリ」と切り捨てられてはたまったものではありません。


どうせ切り捨てられてしまうなら、初めから低めにつけた方がよいと「内申点バブル」は落ち着くことになりました。
しかし、優秀な生徒の多い中学校でも平均を95点に近づけざるを得なくなり、中学校間格差は復活することになったのです。


結局、「格差は復活するわ」「95点を超えると減点されるわ」で「不公平感ばかりが残る」ことになったわけです。


すべての受験生が同一の条件で競争する「学力検査」に比べて、在籍する中学校も、教わる先生も異なる状況で評価される「内申点」は、「公平に比べること」自体が難しい性格のものだといえます。
高校受験という「生徒の未来を左右しかねない競争」には、ふさわしくない判定材料といえるかもしれません。



では、なぜそんな不公平な「内申点」が合否の判定材料に使われるのでしょう。
それを知るためには、「高校入試は何を目的に行われるのか」がわかっている必要があります。


そんなの、「より勉強のできる生徒を選ぶためでしょう」と言われそうですが、それだけではありません。


高校入試は「その高校で勉強するに足る生徒であるか」判定するためにあるのです。

どんなに学力が優れていても、「学校に来ない」「授業を聞かない」「実験に参加しない」「レポートや課題を出さない」ような生徒は、高校の教育活動に参加しているとはいえないでしょう。
高校の先生は、そういう生徒の入学は望まないはずです。


それは下位校だけでなく、上位校であっても同じことです。


かつては、「学業面で優等生」の生徒は「生活面でも優等生」でした。
しかし、最近はそうでもなくなってきているように感じます。
(勉強ができる生徒ほど、あまり注意をされずに育っている傾向があるからかもしれません。)


2011年入試では、船橋東が前期選抜で「内申を2倍」にして注目されましたが、これは上位校であっても「品行方正」とは限らない状況になっている証拠だとも考えられます。
(前期で「内申をほとんど見ない」としている県千葉は大丈夫なのかなと思ってしまいます。)


ここで、「教育問題」の話をするつもりはありませんが(受験の話も、ある意味「教育問題」ですが)、以前に比べると、高校入試で「生活態度」は重要視されつつあるのではないかと思うのです。


入試において「学校生活を適切に送ることができるか」を判断する材料といえば、それは「調査書」ということになります。
「調査書」は就職試験における「履歴書」のようなものでしょう。
生徒を3年間預かる高校側にとっては、生徒の「人物像」がわからなければ安心して預かれないということです。


高校受験は「学力オリンピック」ではなく「入学資格試験」なのです。
入学資格は「高校の先生が決めるもの」だということが理解できれば、「内申が必要な理由」もわかってくるでしょう。
「学力」は高校の先生が望む「入学資格のひとつ」でしかないのです。


そういう考え方は、将来、就職活動をするときにもきっと役立つことでしょう。
(学業が優秀なら社会で使えるわけではないのですから。)



最後に、千葉県の公立高校受験における、「内申」の扱いについて簡単に説明しておきます。


公立上位校の入試では、前期・後期ともほとんどの学校が
「内申135点満点+学力試験500点満点=総合得点635点満点」という計算式で合否の判定をしています。
内申点は「5段階評価×9教科×3学年=135点満点」で計算されます。ただし、前出の「算式1」で修正されます。)


前期選抜では県千葉や県船橋のように「内申比率を低くする」学校や、千葉東のように「独自問題を課す」学校、また「特別活動の記録により加点する」学校などもありますが、いずれにしても「学力試験に比べて内申の比率が低い」ことがわかると思います。


つまり千葉県では、内申を気にするよりも、学力試験で「しっかり得点できる」ことが大切だということです。
学力試験で合格点を取れる実力がついていれば、内申の「不公平性」など気にしなくてすむでしょう。


内申に対する考え方は、人それぞれだと思いますが、今回のコラムで多少なりとも「前向きに」とらえることができてくれたら幸いです。



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