こんにちは、さくらです。
前回の公立入試に続き、今回は「2011年の千葉県私立高校入試を振り返る」です。
大幅な制度変更があった公立高校入試に対し、県内私立高校はすでに2007年から前期・後期選抜になっており、制度上の大きな動きはなく、公立の日程変更に伴って後期選抜の日程が少し遅くなった程度でした。
この日程変更のため、私立前期と後期の間隔が微妙に空くことになりました。
2011年の千葉県高校入試日程 ( )内は2010年の日程
私立前期選抜 1月17日から (1月16日から)
私立後期選抜 2月5日から (1月27日から)
公立前期選抜 2月15・16日 (2月5日)
公立後期選抜 3月2日 (2月25・26日)
公立高校入試が前期・後期とも「共通問題」になり、前年までの「独自問題」に比べて私立と公立の「入試問題の質的な差」が拡大した一方で、私立後期と公立前期の間隔は8〜10日しかなく、受験パターン次第では「公立対策が不十分なまま」公立前期に臨まなくてはならない可能性が出てきました。
さくら進学クリニックでは、これを解消するために「私立後期を受験しない作戦」を提案しました。
県内私立高校の多くで後期選抜は「2次募集的」な扱いになっているので、初めから私立後期は併願作戦の想定に入れないで、私立前期から公立前期までの1カ月近くを公立対策にあてようというものです。
ただし、私立1番手の4校は前期と後期の定員差が少なく、倍率次第では後期の方が受かりやすいことも多いので、そこをどう判断するかが個人差の出る部分だったでしょう。
そのあたりを踏まえて、県内私立高校の動向を1番手校から見ていきましょう。
私立1番手校(併願)の過去3年間(09年→10年→11年)の「志願者数」と「実質倍率」の推移
(「私立高校を受験しよう」という動向を見るため、「受験者数」ではなく「志願者数」に着目しています。)
「前期選抜」
渋谷幕張 587名(3.39倍)→ 639名(2.86倍)→ 628名(2.39倍)
市川 783名(2.69倍)→1080名(3.36倍)→ 994名(3.03倍)
東邦 711名(2.07倍)→ 755名(1.99倍)→ 699名(1.88倍)
昭和秀英 878名(2.74倍)→1231名(2.40倍)→1080名(2.85倍)
「後期選抜」
渋谷幕張 478名(3.94倍)→460名(3.85倍)→360名(4.32倍)
市川 489名(2.70倍)→554名(3.39倍)→392名(2.34倍)
東邦 320名(2.42倍)→331名(4.49倍)→235名(4.33倍)
昭和秀英 497名(2.93倍)→579名(4.27倍)→504名(4.11倍)
臨時定員増に沸いた(昭和秀英の前期定員が2倍になった)2010年に比べると、前期、後期ともに全校で志願者を減らしています。
定員増だった昭和秀英が前期−151名、後期−75名と大幅減なのはともかく、市川も前期−86名、後期−162名と大幅減になっています。
私立1番手校の志願者が大幅に減少するということは、公立高校の制度変更で「安全志向」の受験生が多くなった現れとみてよいのかもしれません。
また、4校の合計を見てみると、前期選抜の志願者が前年比−304名だったのに対し、後期選抜では−433名と前期を大きく上回っています。
志願者の総数が前期の半分以下であることを考えると、後期の減少の仕方は普通ではありません。
多くの受験生が「公立対策」に専念するために、私立後期を見送ったと考えてよいのではないでしょうか。
(しかも倍率を見る限り、「公立対策」を犠牲にしてまで私立後期を受験した生徒は市川以外では報われていません。)
2012年の入試日程も2011年とほぼ同じですので、現受験生がこの状況を見れば、やはり「私立後期は見送りかな」と思うことでしょう。
そうなると、ますます私立後期選抜の「2次募集化」が進んでしまいそうです。
次に私立2番手校(大学付属3校)を見ていきましょう。
私立2番手校(併願)の過去2年間(10年→11年)の「志願者数」と「実質倍率」
「前期選抜」
専大松戸(定員192名) 2769名(2.11倍)→2928名(2.24倍)
芝浦工大柏(定員105名) 502名(1.16倍)→ 731名(1.83倍)
日大習志野(定員170名) 2166名(1.60倍)→2138名(1.69倍)
「後期選抜」
専大松戸(定員30名) 229名(3.71倍)→330名(6.05倍)
芝浦工大柏(定員15名) 284名(1.55倍)→249名(2.25倍)
日大習志野(定員70名) 418名(2.77倍)→439名(3.30倍)
私立2番手校では、前期選抜で専大松戸+159名、芝浦工大柏+229名と志願者を増やしています。
全校で志願者を減らした1番手校とは対照的です、やはり「安全志向」の影響があるのかもしれません。
ただし、芝浦工大柏は「近年の倍率低下」へのテコ入れで「日程変更」+「前期2日間入試」を導入しましたから、その効果ともいえます。
また、私立2番手校は後期選抜が「2次募集的」な扱いになっており、定員と倍率を見ても前期とは別物の入試であることがわかります。
(これは昨年だけの傾向ではなく、前期・後期が導入された2007年からずっと進んできた傾向です。)
2012年入試でも、2番手校の合格を確保したければ前期選抜で受験すべきでしょう。
ざっと県内私立1・2番手校の動きを見てきました。
公立と同様に、近いうちに学校ごとの総括もしたいと思います。
10日と12日に塾の先生対象「進路指導セミナー」を行いました。
プロの方々が相手だけに緊張感のあるセミナーでしたが、充実したお話ができたのではないかと思います。
参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
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