さくら進学クリニック 『進学コラム』

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 2025年千葉県公立高校入試は2月18・19日です

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進学コラム146「千葉県公立高入試の概要」

トピックスにも書きましたが、「21年度公立高選抜の結果」も発表されたので、今回は、「千葉県の公立高入試」について解説しましょう。
入試制度の詳細については、リンク集にある「高校受験に関するQ&A 2010年版」にまとめていますので、入試制度にあまり詳しくないという方は、先にそちらををご覧になって下さい。


ご存知のように、千葉県の公立高入試は、「特色ある入学者選抜(特色化選抜)」と「学力検査等による入学者選抜(一般入試)」の2回の選抜があります。
ここで、皆さんに知っておいて欲しいことは、「入試が2回あることは、受験生にとってプラスではない。」ということです。

それは、簡単なシミュレーションで理解できます。


募集定員が200名、志願者が300名の高校があったとします。


入試が1回だけなら、300名のうち200名が合格し、100名が不合格になります。
倍率は300÷200=1.5倍です。


しかし、特色化50%、一般50%の定員配分で入試が2回あると、

まず、特色化選抜で300名のうち100名が合格し、200名は不合格になります。
特色化選抜の倍率は300÷100=3.0倍です。

その後、不合格になった200名によって一般入試が行われ、200名のうち100名が合格し、100名が不合格になります。
一般入試の倍率は200÷100=2.0倍です。


定員も志願者も同じなのに、入試が1回だけなら100名だった不合格者が、入試が2回あるだけで(のべ)300名と3倍も出ることになるのです。
(数字の上では、受験生全員(志願者300名のうち300名)が、不合格になることになります。)
倍率も1.5倍ですむものが、3.0倍、2.0倍と狭き門になります。


入試が2回あって良かったと思うのは、特色化選抜の当日に体調を崩して、実力どおりの結果を出せなかった人くらいでしょう。
「独自問題」でも「共通問題」でも、「内申重視」でも「試験重視」でも、受験生それぞれの力が生かせる方式の学校を選べばよいわけですが、入試が2回あることだけは、受験生に大変な不利益をもたらします。
特色化選抜は、不合格者を大量生産する、受験生にとって「大変厳しい」制度だということを知っておきましょう。


また、特色化選抜では入学者の50%しか採らないわけですから、理論的には入学者の上位50%が合格することになります。
つまり、特色化で合格する人は、「もともと余裕で合格できる人」なのです。(もちろん「運で合格する人」もいますが)
そして、「もともと余裕で合格できる人」は、別の言い方をすれば「もう1ランク上の学校を狙えた人」なのです。


その「もう1ランク上の学校を狙えた人」も、初めから上の学校を狙っていなかったわけではないはずです。
誰もが、1学期から夏休みいっぱいまでは、上を目指して頑張るものです。
しかし、2学期に入り、三者面談に向けて現実的な選択をした結果、「もう1ランク上の学校を狙えた人」になるわけです。


つまり、特色化選抜で合格する人の多くは、「元々は望んでいなかった学校」に進学するわけです。


特色化選抜が、「2学期の現実的な選択」の結果、受験校を決めていく制度である以上、現段階(1学期)の受験生は、特色化選抜で合格することを目標にすべきではありません。(前回の話と食い違いますが)

一般入試までを視野に入れて、今の実力より「一歩上の学校」を目指しましょう。


さて前置きが長くなってしまいましたが、1〜4学区上位校、09年入試の結果です。

学校名 特色化倍率(前年) 一般倍率(前年) の順に記載してみると、

県千葉 3.63倍(3.52) 1.92倍(1.68)
千葉東 3.09倍(3.03) 1.77倍(1.63)
市千葉 3.20倍(3.25) 1.79倍(1.91)
船橋 3.90倍(3.86) 2.31倍(2.14)
薬園台 3.10倍(3.23) 1.98倍(1.82)
八千代 3.37倍(3.22) 2.08倍(1.93)
東葛飾 3.04倍(3.23) 1.77倍(1.85)
県柏   2.54倍(3.72) 1.27倍(1.82) 
佐倉   3.15倍(3.25) 1.94倍(2.10)


県柏を除けば、上位校はすべて、特色化選抜3倍台、一般入試2倍前後で、厳しい入試でした。
県柏の倍率が急降下した原因はわかりません(前年の揺り戻しかもしれません)が、小金・国府台といった「かつての上位校」の人気が回復しつつあることと関係があるかもしれません。


船橋・八千代のように一般入試でも倍率が2倍を超えるということは、合格者より不合格者の方が多いということです。
公立は「ランクを落として」受ければ大丈夫などという考えは、遠い昔の考え方です。
上位校の志望者は、不合格になったときのことを想定に入れて、併願パターンを十分に検討しておく必要があります。


さて、この2年間でぐっと問題が難しくなった一般入試について、「平成21年度公立高等学校入学者選抜の結果」を見ていきたいと思います。

3年前(18年度)からの平均点の推移をまとめてみると、


年度  国語   社会   数学   理科   英語   合計
18  63.8  60.1  52.5  60.4  66.1  303.0
19  63.5  64.2  54.3  59.0  51.7  292.7
20  60.9  50.5  51.5  51.2  51.0  265.1
21  48.8  40.8  46.7  46.5  40.1  222.9


春高校を卒業した生徒と今春入学した生徒では、実に80点も平均点が動いています。(しかも一貫して下がり続けています)
これだけ一気に動けば、前年までの合格ラインなど「全く意味を持たない」データになってしまいます。
受験生の動揺は、察して余りあるでしょう。


かつての一般入試は、数学以外は平均点が60点台で、数学だけ10点程度低いというパターンでした。
上位校ではミスの許されない入試(高得点での勝負)になるため、覚えていれば得点が確実に見込める「英語・理科・社会」に重点を置いて勉強していきましょうと、「さくら進学クリニック」でも勧めてきました。


しかし、もはや「社会・英語」は、訓練して高得点を確実にできる科目ではなくなってしまいました。
40点という平均点は、学校の定期試験よりもずっと低いでしょう。
資料には「得点分布の簡単なグラフ」が掲載されているのですが、これを見ると、21年度の社会・英語が「いかに得点しにくかったか」よくわかります。



恐ろしいことにグラフのピークは、社会・英語ともに「平均点よりさらに低く」わずか25点です。

85点以上の高得点者を見ると、社会では5%に満たず、英語でも1割を切っています。
成績上位生といえども、思うような得点はできなかったということです。


これでは、受験生がパニックになるのも当然でしょう。
特に、過去問の研究を十分にして、合格に必要な得点を把握していた「真面目な受験生」ほど、ショックを受けたと思います。
県教委の役人方は、真面目な中学生をひどい目に遭わせて、いったい何がしたいのでしょうか?
コメントにも書きましたが、受験生に大変な混乱と苦痛を与えたことに対して、県教委は説明(本当は謝罪と言いたい)をすべきではないでしょうか。


しかし、入試問題が難しくなったことで、結果的に、上位校でも「差がつく」入試になったかもしれません。
かつての入試では、県千葉・県船橋など最上位校の場合、450点を超えるほどの高得点の勝負になるため、ケアレスミスが命取りになる「実力差の出にくい」入試になっていました。
今回のような難易度の問題ならば、「努力量の差」が得点の差に出やすかったかもしれないのです。


もし、この難易度に落ち着くのなら、上位校受験生にとっては、むしろ対策しやすい問題になったともいえます。
急落の最中にいた受験生は、大変なパニックになったかもしれませんが、落ち着いてしまってからの受験生は、冷静に分析すればプラス要素も見いだせるということです。

上位校の受験生は、細かいこと(ケアレスミス対策など)は気にせず、「実力アップに励めばいい」ということになります。


高校側も、しっかり勉強してきた生徒が合格してくれるのなら、満足のいく入試だといえるでしょう。

結果的に、進学塾が儲かってしまいそうなところは釈然としませんが、「問題が難しいことは悪いことばかりではない」と認識していてもよいのではないかと思います。


上位校を目指す受験生は、とにかく受験勉強に励みましょう。


次回は、私立高入試についてまとめたいと思います。



千葉・茨城南部・近県高校受験ガイド〈2010年入試用〉

市進出版

市進の受験ガイド(最新版)が出ました。
上位校情報なら、ここのデータが一番信頼できます。


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