さくら進学クリニック 『進学コラム』

千葉県北西部の公立上位高校志望の受験生に受験情報に関するアドバイスをお送りするブログです

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 2025年千葉県公立高校入試は2月18・19日です

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進学コラム120「千葉県私立高入試の概要 その2」

今回は「私立1・2番手校」の、最近の特徴と入試の概要についてまとめてみたいと思います。


まずは「私立1番手校」から。(各校の倍率・志願者数などは「市進出版の高校受験ガイド」を参考にしています。)


渋谷教育学園幕張


過去3年間の倍率(06年は一般入試、07年は後期の倍率)
06年 4.40倍
07年 3.50倍
08年 前期 2.66倍 後期 3.34倍 


35名の東大合格者数は県内ダントツ(県千葉は19名)、全国でも共学で渋谷幕張より上にある学校は、東京学芸大付属と県立岡崎の2校しかありません。
つまり、渋谷幕張日本一の私立共学校なのです。(偏差値的には早実のほうが上かもしれませんが)

それでもまだ、渋谷幕張に合格しても、そのまま渋幕に進学するより、公立(多くは県千葉)を受ける人のほうが多いと思います。
それだけ、千葉県は公立志向の高い県といえるのでしょうが、それも、このまま渋幕ぶっちぎりの状況が続けば変わってくるのかもしれません。


入試では、08年から前期選抜を一般入試に変更しました。
07年までは「特待生入試」だったため、非常に難易度が高く、「特別な人たち」の試験という色彩が濃かったように思います。
そのイメージが強かったのか、一般入試になっても大幅な応募者増にはならず、合格者は増えたため、2.66倍と渋幕にしては低倍率になりました。
ただし、「安易な受験を避けた」ということですから、集まった受験者のレベルは高かったようで、決して易しくなったわけではないようです。

前期・後期ともに一般入試になっても、県内最難関校(公立含め)という状況に変わりありません。
合格するためには、公立御三家を特色化選抜で突破できるくらいの実力は必要でしょう。

それでも、前回書いたように、高校入学後のことを考えれば、公立御三家志望者なら挑戦する価値のある学校だと思います。
特に前期は5科入試なので、「私立レベル」の理科・社会の訓練が必要です。
私立レベルの理社となると出題校が限られるので、必然的に難関国私立高の問題にも取り組むことになり、難関国私立高受験者に太刀打ちできる実力を養えるでしょう。

ただし、安易な受験は不合格をもらうだけになります。
挑戦するなら、しっかり勉強をして、覚悟の上で受験しましょう。


・市川


過去3年間の倍率(06年は一般入試の倍率)
06年 3.35倍
07年 前期 3.98倍 後期 23.81倍!!
08年 前期 3.87倍 後期 2.44倍 


市川は今年から全学年共学になりました。
共学化とともに難易度が急上昇しましたから、現高3生がどんな実績を出すのか興味のあるところです。
また、全学年が共学になったことで、男子校時代の雰囲気は完全になくなっているでしょう。

市川は創立以来、「自分による教育=第三教育」を教育方針にしてきました。
それは、「自由放任」につながり、「低い現役進学率」を生んでいたようにも思います。
しかし、共学化と同時に、「現役進学率70%以上」などの数値目標を設定して、「勉強させる学校」になろうとしているように感じます。
今は、「私立1番手校」の中では、最も面倒見の良い(勉強させる)学校といえるでしょう。
ただ、それは、教育方針の「第三教育」と反するように思えて、学校内ではジレンマがあるんじゃないかと心配してしまいます。


入試では、男子校時代は毎年1倍台だった倍率が、3倍4倍当たり前の、受からない上位校に変わってしまいました。
09年入試では、日大習志野が1月16日(前期初日)に移ってくるようなので、県船橋志望なら16日は日習を押さえて、上位校は17日に東邦を、というパターンのほうが薦められます。
ただ、先述のように、放任主義の上位校の中で、やる気を感じさせる唯一の存在なので、そこに魅力を感じられれば受験するのもよいでしょう。


東邦大学付属東邦


過去3年間の倍率(第一志望含まず、06年は一般入試の倍率)
06年 2.23倍
07年 前期 1.79倍 後期 1.84倍
08年 前期 1.96倍 後期 2.42倍


03年 1057名
04年  942名
05年  851名
06年  698名
07年前期 545名と、
志願者が年々減少し続けていた東邦ですが、08年前期は614名と増加に転じました。
ただ、07年入試の倍率が低めだったこともあり、「東邦は受かりやすいかも」と思った受験生のぶん増加したとも考えられるので、学校側としては、これで「ひと安心」とはいえないと思います。

受験生側から見れば、倍率が低めな東邦は、合格を取りにいける併願校といえます。(2人に1人が合格する「私立一番手校」は東邦しかありません。)
たとえ訓練目的の受験であっても、合格したほうがよいのは当然でしょう。
「私立1番手校」に合格すれば、安心して「公立御三家」を受験することができます。

また、東邦は理科を含む4科入試ですから、5科入試の渋谷幕張ほどではないにしても、難度の高い理科の問題をこなすことで、相当な訓練が積めるでしょう。


ちなみに、ご存知かとは思いますが、東邦は東邦大学の「付属」ですが、東邦大学に内部進学する生徒はごく少数です。(市進のガイドでは医9、薬13の計22名となっています。ただし、東邦大医学部の定員は100名なので、大学にとっては、1割近い生徒を送り込む「付属」の存在は大きいでしょう。)


昭和学院秀英


過去3年間の倍率(06年は一般入試、07年は後期の倍率)
06年 3.23倍
07年 1.96倍
08年 前期 3.51倍 後期 2.62倍 


昭和秀英は、前出の3校に比べると受かりやすいイメージですが、倍率が3倍台半ば程度と高くなることが多く、実際には受かりにくい学校といえます。
前期・後期の始まった07年には、倍率が急低下しましたが、もうそんな年は来ないでしょう。

前期・後期ともに東邦と同日なので、「公立1番手校」との併願なら、秀英より東邦を(倍率と進学者のレベルの差を考えると)お薦めしたいです。
ただ、東邦より若干(本当に若干でしょう)難易度は下がるので、「公立2番手校」志望者が挑戦校として受けるのなら、良い目標になるでしょう。
付属中学のレベルは、市川・東邦より「1ランク下」なので、「運」で受かっても、入学後の努力次第で十分やっていけると思います。


続いて、「私立2番手校」です。


芝浦工業大学


過去3年間の倍率(推薦・前期はA・B合計)
06年 推薦 1.77倍 一般 2.80倍
07年 前期 1.48倍 後期 2.83倍
08年 前期 1.34倍 後期 1.74倍


今年、東大に3名の合格者を出した芝浦工大柏は、中学校を作ってから、じわじわと実績を上げているように思います。
実際、芝浦工大柏中の、日能研の結果R4(入試結果による合格率80%)偏差値は、男子58女子54と、昭和秀英中の男子56女子58とほぼ並んでいます。(ちなみに生徒の男女比は、ほぼ2:1です)
工業大学の付属ということで、理科・算数好きの男子小学生には魅力的な学校といえるでしょう。(そういう意味では、日大習志野も中学校を作れば、成功するかもしれません。)


高校入試では、前期・後期とも入試最終日のためか、受験生の集まりはよくありません。(前期が5科入試なのも原因かもしれません)
倍率もレベルのわりに低くなっています。(ただし、前期はA推薦(第一志望)込みの倍率のため、B推薦の倍率はもっと高いと思われます。)
特に、後期では志願者の抜け(他校に合格して受験をやめる)が多く、08年では志願者357名で受験者は132名でした。
まだ09年の入試要項は発表になっていませんが、年間行事予定を見ると試験日は変わらないよう(予定ですが)なので、倍率次第では「受け得」なことがあるかもしれません。
ただし、受験生のレベルは高いと思われるので、「運」で合格しても入学後は苦労するでしょう。(中学のレベルも高いわけですし)


専修大学松戸


過去3年間の倍率
06年 併願推薦 4.10倍 一般 3.35倍
07年 前期 2.46倍 後期 4.23倍
08年 前期 3.44倍 後期 2.75倍


芝浦工大柏の1年遅れで中学校を開校した専大松戸ですが、中学校に関しては、まだ成功したとはいいにくい状況です。
専大松戸中の結果R4偏差値は、男子54女子52と、女子では国府台女子53にも後れを取っています。
理科好きの男子にアピールしやすい芝柏と違い、文系大学の付属(しかも日東駒専クラス)では、受験生本人にも保護者にも魅力を感じられにくいのかもしれません。


しかし高校入試では、E類A類の類型別募集と、最大3回まで受験できるシステムで成功しているといえます。
これだけの倍率になると、県柏や小金の受験生では、簡単に合格はさせてもらえないはずです。
そのぶん、優秀な生徒が入学しているはずなので、今後の大学実績は向上する可能性が高いでしょう。
ちなみに、芝浦工大柏も専大松戸も、併設大学への進学率は10%台と低く、大学が付いていることを意識する必要はないと思います。


日本大学習志野


過去3年間の倍率(06年は一般入試、前期はB入試(一般)の倍率)
06年 1.61倍
07年 前期 1.65倍 後期 6.02倍!
08年 前期 1.53倍 後期 2.74倍


「私立1・2番手校」で唯一、中学校を持たない日大習志野は、「新入生全員が同時にスタート」をアピールしていますが、前出の2校に完全に「置いて行かれた」と言ってよいでしょう。
それは、大学合格実績を見ても明らかです。
ただ、受験生の側から見れば、1倍台半ばの倍率は「合格をもらいやすい」併願校として、ありがたい存在になります。
実際、佐倉・薬園台の受験生なら、かなりの高率で日習に合格しているはずです。
入試問題は、易しかった07年前期を除いて難しめなので、過去問をしっかり訓練しておけば、私立は「安全校」しか受けなかったという生徒に差をつけられるでしょう。


日大習志野は、隣接する日大理工学部の付属という色彩を強く持っています。
どちらかというと、理系志望の生徒が多いということは知っておきましょう。(もともとは日大工業高校でしたし)
また、前出の2校に比べると、併設大学への進学率は30%ほどと高めになっています。(これは、併設大学に学部が多いことと、隣接していること(昨年は推薦進学者の40%が理工学部)も関係していると思われます。)


・成田


過去3年間の倍率(06年は一般入試の倍率)
06年 2.07倍
07年 後期 1.82倍
08年 後期 2.07倍


成田は地理的に、佐倉の「次善校」という位置付けになるでしょう。
佐倉のレベルアップにともなって、成田の難易度もアップしてきたように思います。
倍率は2倍程度で落ち着いているので、合否は読みやすい学校といえます。


国府台女子学院


過去3年間の倍率(普通科
06年 併願推薦1.33倍 一般 1.96倍
07年 前期 1.21倍 後期 1.30倍
08年 前期 1.02倍 後期 1.22倍


国府台女子学院は、中学入試では人気校なのですが、高校入試では「共学志向」のあおりで低倍率になっています。
08年から「入試相談あり」になった前期は、受験者202名中、不合格者4名と、「入試相談」があるからといって絶対受かるわけではないようですが(学校側も試験重視と言っています)、中学校の先生が「OK」と言えば、「安全校」としての受験もできるでしょう。
後期には入試相談は必要ないので、前期での結果が思わしくなかった(「安全校」しか受からなかった)場合の、安心材料に使うこともできます。(「公立2番手校」レベルなら、ほとんど合格できるでしょう。)

中学入学組の実力が高いこともあり、大学合格実績は入試レベルから考えると立派なものです。
倍率的に、私立上位校の中では「最も入りやすい」学校なので、女子校が嫌でなければ薦められます。


・江戸川女子


江戸川女子は県内の学校ではありませんが、県内からの受験生が多く、隣接県受験者(実質的には千葉県内受験生)対象の併願推薦入試(B推薦、08年は1月23日実施)も行っているので、ここで紹介します。
江戸川女子には普通科2類(私大クラス)・3類(国公立クラス、いわゆる特進クラス)、英語科があり、入試相談もあります。
入試相談を通すと、入試の得点に15点が加算されますが、加算しても合格点に届かなければ不合格にもなります。
また、3類で入試相談を通しても、入試の得点次第で2類での合格(スライド合格)になることもあります。

08年の倍率(普通科B推薦)は、2類0.55倍 3類1.60倍で、2類の倍率が1倍を割っているのは、3類からのスライド合格者が多数いるので、受験者より合格者が多くなっているためです。
2類と3類を合わせた倍率は1.17倍で、国府台女子の前期ほどではありませんが、やはり中学校の先生次第で「安全校」としての受験も可能だと思います。

さらに、東京の学校は公立入試発表まで「延納金なし」が普通なので、江戸川女子も延納金はいりません。
県内上位校では2〜5万円も「捨て金」を払わされるので、経済的には助かります。


国府台女子も江戸川女子も、「共学志向」の逆風の中で、「現役合格」を売りに受験生集めをしている学校です。
それだけに、「勉強をさせる校風」ですので、自由を求める受験生には薦められませんが、「先生に言われたことは、ちゃんとやる」タイプの生徒には薦められます。


最後に「私立2番手校」の、昨年の主な大学の合格者数を挙げておきます。

芝浦工大柏 千葉11 早稲田47 慶応6  上智27 東京理科58(卒業生272名、うち併設大推薦進学32名)
専修大松戸 千葉20 早稲田33 慶応18 上智26 東京理科71(卒業生450名、うち併設大推薦進学61名)
日大習志野 千葉10 早稲田17 慶応5  上智13 東京理科37(卒業生430名、うち併設大推薦進学131名)
国府台女子 千葉4  早稲田28 慶応5  上智9  東京理科18(卒業生360名)
江戸川女子 千葉9  早稲田46 慶応10 上智24 東京理科27(卒業生330名)

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