私立高の推薦入試が終わったと思ったら、今週後半27日からは、一般入試が始まります。入試相談のある、いわゆる「押さえの学校」は、推薦入試で、ほとんど決まってしまったはずなので、一般入試がある受験生の大半は、上位高を受験する生徒だと思います。上位校は実力勝負ですから、最後の追い込みに、寝る時間も削って頑張っていることでしょう。
ところで、私立高校では推薦入試と一般入試の間の、この時期に、中学校の入試が行われていることをご存知でしょうか。千葉県内の私立中学校は例年1月20日・21日・22日が一般入試(中学受験では「一般入試」という言葉は使いませんが)の期間で、発表も昨日あたりから始まり、今日は東邦中や市川中の合格発表がありました。
県内上位私立校は、中学入試での募集人数のほうが、高校入試よりずっと多い学校が大半で、実は中学入試が最大のイベントだったりします。例えば市川学園では中学校の募集が320名なのに対し、高校は半分以下の132名です。特に市川の場合は首都圏の入試初日ということで、県外からも練習として受験に来るため、例年大規模な入試になり、昨年からは幕張メッセで入試を行うことになりました。(今年も3784名もの受験生が集まったようです。)
なぜ、中学入試の話を出したかというと、私立校では、このわずかな期間に「高校推薦入試」「中学入試」「高校一般入試」と、たて続けに行わなくてはいけないので、学
校は大変だろうなと思うのです。
上に例を挙げた市川の場合は、高校の推薦が単願のみなので、受験生も少なく、学校を挙げて準備して、というほどではないと思いますが、先日コラムで取り上げた専大松戸などは、併願推薦を2日にわたって実施していますから、ものすごく大変なんじゃないかと思います。
例として専大松戸の入試日程を書き出してみると、
1月17日 高校推薦入試1日目
18日 高校推薦入試2日目
19日 高校推薦入試合格発表
20日 中学入試(1回)
21日 中学入試(1回)合格発表
26日 中学入試(2回)
27日 中学入試(2回)合格発表
高校一般入試
29日 高校一般入試合格発表
2月3日 中学入試(3回)
4日 中学入試(3回)合格発表
と、ものすごいスケジュールです。
専大松戸の場合、中学入試が3回もあるという特殊事情がありますが、ほとんどの学校で中学入試は2回はありますから、多少の差はあれど、この時期の学校の大変さは、想像を絶するものがあると思います。(もちろん入試ですから、ミスは絶対に許されないので、精神的な疲労も大きいと思います。)
さらに、これだけスケジュールが立て込んでいると、この期間は、とても授業どころじゃないんだろうな、とも思うのです。学校は授業をするのが本業ですから、この状況は私立校に通う生徒たちにも、大きな負の影響があるんだと思います。
何でこんなことになったかと考えてみると、ほんの10年ほど前までは、私立高校の入試は2月の2週目あたりでした。しかし公立高校の推薦入試が全校で行われるようになって、危機感を感じた私立側が、早めに生徒を確保できるようにと、1週間入試を前倒しにしたのです。その後、公立の推薦が特色化選抜になって、2月初めの実施になったことで、さらにもう1週間前倒しになったのです。その結果、推薦入試と一般入試の間は、わずか10日ほどになり、ずっと日程の変わらない中学入試が、その間にギリギリ挟まる感じになってしまったのです。
結局、私立側の都合を全く考えない、県教委の入試制度改革に、私立校は翻弄され続けている感じです。こんな殺人的なスケジュールは異常事態ですから、いずれどこかに、歪みが出てくることでしょう。それがどんな形になるのかわかりませんが、私立学校も県民の教育の一端を支えているのですから、県は私立と公立の関係を、もっと調整しても良いのではないかと思います。