こんにちは、さくらです。
今回は公立上位校受験の手引きの最終回、「6.公立入試の教科別特徴」です。
スローペースの人でも、もう1・2年分くらいは公立の過去問を解いていると思います。
(公立入試は2月下旬なので、あまり急いで過去問をこなす必要はありませんが)
学校の試験ではまんべんなく取れている人でも、過去問の得点は教科でばらつきがあるかもしれません。
それは当然です、そもそも入試問題は全教科まんべんなく取れるようにはできていないのです。
ということで、学校でも塾でもあまり教えてくれない、千葉県公立入試の教科別特徴について書きます。
さくらweb進学塾に冬休みの勉強について「Tel帳など今までの勉強を中心に据えつつ、強化すべき内容を盛り込みましょう」と書きました。
上位校の受験生は入試で高得点が必要なので、直前期の対策は全教科まんべんなくが原則です。
特定の教科に絞って強化してその教科だけ高得点しても、他の教科で得点できなければ合計で合格点に届かないからです。
しかし、得点しやすい教科にまだ穴があるようなら、そこのケアはしておくべきでしょう。
公立入試まで残り2か月間、取れそうなところを残さず得点するために、教科別特徴を知っておくことは意味があるでしょう。
6.公立入試の教科別特徴
千葉県の公立高校入試は、2021年に前期・後期の2回入試から1回のみの入試に変わりました。
制度変更による不安を軽減しようとしたのか、21年は前年前期より平均点が24.6点上がり、少し易しくなりました。
新制度2年目の22年は一転して問題が難しくなり、5教科すべて平均点が下がりました。
そして3年目の23年は英数国の3教科すべてで平均点が50点を割り込み、受験生には厳しい試験になったと思います。
5教科合計では平均点がさらに9点下がり257.7点と260点を割りました。
この点数はここ数年間の得点幅(だいたい260~290点)の下限付近なので、来年はやや易しくなることが予想されます。
2021年 → 2022年 → 2023年の平均点の推移
国語 52.8 → 47.7 → 47.9(国語はここ数年あまり変化なしです)
社会 57.7 → 56.3 → 54.5(社会は今年少し難しくなりました)
数学 59.3 → 51.5 → 47.0(数学は易しかった21年から通常の状態に戻しています)
理科 54.6 → 52.7 → 60.7(理科は今年異常に易しかったので来年が怖いです)
英語 61.7 → 58.7 → 47.6(英語は2年連続で易しかったせいか、ぐっと難しくなりました)
5科 286.2 → 266.7 → 257.7(5科合計は2年間で30点近く下がりました)
ここでは5月に県から発表になった「令和5年度 千葉県公立高等学校入学者選抜 学力検査結果の概要」を題材として使用します。
資料の現物を見たい方は、千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「令和5年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「35.令和5年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について《報道発表》(令和5年5月17日)」と進み
「令和5年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査結果の概要」をダウンロードするか、その場で開いてください。
この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは「Ⅳ 【本検査】受検者の得点分布」という簡単なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は10点刻みの中間にありますが、これは70点台や80点台という意味だと解釈しています。(中学校の数学で習う「階級値」ですね)
ではさっそく、2023年の公立入試について、得点分布グラフから教科別特徴を読み取っていきます。
まずは国語から得点分布グラフを見てみましょう。
90点以上 ほぼ0% 80点以上 約1.5% 70点以上 約8%
%は私が目分量で読んだ数字です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下、約を省略します。
90点台の点は完全にx軸上にあります、これはほぼ0%といってよいでしょう。
80点以上でも1.5%しかいない、絶望的に高得点できないのが国語です。
1.5%と言われてもよくわからないので具体的な数字をあげると、23年公立入試(全日制)の受検者が33795名なので1%は約340名です。
1.5%は約500名、県船橋の受検者が622名なので、国語で80点以上取れたのは県船橋1校の受検者数より少なかったということです。
県千葉・県船橋・東葛飾の3校合わせて受験者数が全体の約4.3%なので、御三家でも80点に届かなかった生徒の方が多かった計算です。
千葉東まで入れて全体の約5.6%で、70点以上が8%ですから、1番手校では70点台にぎっしり並んであまり差がつかなかったでしょう。
次に数学です。
90点以上 1% 80点以上 4.5% 70点以上 12%
国語ほどではありませんが高得点は容易ではありません。
80点以上が4.5%なので御三家受検者なら80点を確保できたかなくらいの難易度です。
数学が苦手な生徒なら、80点を目標に基本・標準レベルの訓練を繰り返しましょう。
公立の国語と数学は90点以上は相当の実力がないと難しいので、得意でない生徒が今から高得点目指して何とかしようと考えるのは無謀でしょう。
ただし、難しい問題はほんの一部で、漢字・計算など訓練次第で点の取れる問題も多数入っています。
点の取りどころで落としてしまうと厳しい状況になってしまうので、取りどころの訓練は欠かさないようにしましょう。
続いて英語です。
90点以上 2.5% 80点以上 10.5% 70点以上 21%
国数英は平均点がほぼ同じなのですが、上位生の得点状況は大きく異なっていることがわかると思います。
80点以上が10%を超えているので、佐倉や薬園台などの2番手校でも80点以上が多数いたでしょう。
今年は前の2年が易しかった反動で90点台が減りましたが、例年なら1番手校は90点以上当たり前というのが英語です。
英語は上位校ではみんな高得点なので、得意でも差をつけるのが難しい教科です。
逆に言えば英語で高得点が取れないようだと、非常に不利になります。
もし英語が苦手なら、この冬休みに死ぬ気で英語を頑張りましょう。
次は理科です。
90点以上 8% 80点以上 25.5% 70点以上 40%
全体の4分の1が80点以上なので、試験としては壊れているといってよいでしょう。(昨年の英語と入れ替わった感じです)
理科はすごく易しくなったり、難しくなったりするので、まあ「千葉の理科はそういうもの」だと思っておきましょう。
(難易度が大きく動くと翌年修正に動いたりするので、来年の反動が怖いかな)
最後に社会です。
90点以上 3% 80点以上 12% 70点以上 25%
今年は理科は易しかったので理社でバランスを取ったのか、やや高得点しにくい問題でした。
例年並みなら、英語と並んで高得点が容易な教科です。
理科と社会は暗記中心の教科なので、練習次第で高得点が可能です。
ただし、みんな高得点の英語に比べると、訓練度の差がけっこう出ます。
できる人はすごくできるけど、得点の高くない人もそれなりにいる、それが理科と社会です。
(ほぼ中学3年間の知識量で済む英語に対して、6・7歳から蓄積のある理社は奥が深いのです)
入試ギリギリまで繰り返し問題演習して鍛え続けましょう。
5科合計も見ておきましょう。
450点以上 ほぼ0% 400点以上 5% 350点以上 18%
450点以上の点はx軸からほんの少し動いてるくらいで、ほぼいない程度だと思ってよいでしょう。
対して400点以上は5%もいるので、1番手校では400~440くらいにぎっしり集まっていたと考えられます。
合否のボーダー付近に多数の生徒が集まっているので、1問に泣いたなんて受験生も少なくないでしょう。
公立上位校では取れたはずの1問2問の失点が合否の分かれ目になります。
その意味で漢字・英単語・計算といった基礎訓練や、暗記中心の教科の反復練習が大切です。
ただし、できる問題ばかり繰り返し練習していると、考える問題が解けなくなります(頭が悪くなります)。
考える問題が多く出題される私立入試が先にあるので、冬休みはそのあたりのバランスも考えて勉強を組み立てましょう。
私立入試まで1か月、公立入試まで2か月です。
残り少ない勉強時間を有効に活用して、1歩も2歩も合格に近づいてください。