さくら進学クリニック 『進学コラム』

千葉県北西部の公立上位高校志望の受験生に受験情報に関するアドバイスをお送りするブログです

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 2025年千葉県公立高校入試は2月18・19日です

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585.公立高校の入試システム

こんにちは、さくらです。

公立上位校受験の手引きの5回目、「5.公立高校の入試システム」をお届けします。
公立入試については夏休み前に発表があったばかりですから、コラムの読者の方にはわかっていることばかりかもしれません。


5.公立高校の入試システム

千葉県の公立入試は前期・後期の2回入試が行われていましたが、2021年(令和3年)から一般入試のみの1回入試になります。
2021年は2月24・25日の2日間で一般入試が行われます。
1日目は国語・数学・英語の学力検査、2日目は理科・社会の学力検査と学校設定検査を行います。
学校設定検査には面接・集団討論・自己表現・作文・小論文・適性検査・学校独自問題などから各高校が選択して実施します。
(ただし、2021年に学校独自問題を行う高校はありません)

2日間の検査結果と調査書から、基本的に以下の方法で総合得点を計算して、その順位で合否が決まります。

学力検査500点 + 内申点135点×K (+調査書の加点) + 学校設定検査の得点 = 総合得点

基本の計算式は同じですが、高校ごとに、Kの値、調査書の加点、学校設定検査の得点が異なるので注意が必要です。
1・2番手校 (普通科) の配点をざっくりと箇条書きにすると以下のようになります。

県千葉 学力検査500点 + 内申135点×0.5 + 作文10点 = 577.5点満点
船橋 学力検査500点 + 内申135点×0.5 + 作文10点 = 577.5点満点
東葛飾 学力検査500点 + 内申135点×0.5 + 作文60点 = 627.5点満点
千葉東 学力検査500点 + 内申135点×0.5 + 作文10点 = 577.5点満点
佐倉  学力検査500点 + 内申135点×0.5 + 面接30点 = 597.5点満点
薬園台 学力検査500点 + 内申135点 + 加点10点 + 面接10点 = 655点満点
市千葉 学力検査500点 + 内申135点 + 加点15点 + 小論文10点 = 660点満点

高校ごとの選抜方法は各高校のホームページに「選抜・評価方法」として公表されています。
志望校の選抜・評価方法は早めにチェックして、入試で重視されるポイントをつかんでおきましょう。
(ただしこれはお役所的な文書でわかりやすくありませんので、別のコーナーで読み方を伝授します)

他にも、理数科や英語科では数学・理科や英語を1.5倍(150点満点)にする傾斜配点を行う高校があります。
例えば県船橋高校の理数科では数学と理科の得点が1.5倍になり学力検査は600点満点になります。

また、上記の計算式で定員の80%を選抜した後、調査書や学校設定検査の比率を変えて2段階目の選抜を行う高校もあります。
ただし、1~4学区の上位校で2段階の選抜を行う高校はありません。(と言い切ったら幕張総合の関係者に怒られそうですが) 


内申点にかけるKの値は原則を1として0.5~2の範囲で各高校が学校の特色に応じて決めることになっています。
主な上位高校のKの値は以下のようです。

K=0.5  県千葉、県船橋東葛飾、千葉東、佐倉、小金
K=1  薬園台、市千葉
K=2  船橋東 

昨年まで前期選抜で内申点を圧縮していた1番手校4校に加えて、佐倉と小金が0.5倍に名乗りを上げています。
また、昨年までも前期内申2倍の独自路線をひた走っていた船橋東が内申2倍を継続しています。

0.5倍すると内申点は67.5点になり、学力検査500点のわずか7分の1程度になってしまいます。
3年間オール5に近い内申点を持っていてもたいしたアドバンテージにはならず、学力検査で容易に逆転されてしまう可能性があります。
内申0.5倍の高校はまさに試験勝負・実力勝負の選抜だといえます。


もっとも、県千葉~佐倉はいわば公立トップ5(千葉東をのぞけば学区トップ校)です。
内申点を圧縮しようが、そのまま使おうが、そもそも中学校で優秀な生徒(学区内最上位層)しか受験しに来ません。
「学校の成績はいまいちだけど、内申が半分になるから学力試験に勝負をかけるぜ」なんて生徒は多くないでしょう。
ふたを開ければ学力試験の成績はもちろん、内申も高得点の生徒ばかりだったりするはずです。
(高校の先生は毎年見ていてわかってることでしょうが)

内申0.5倍というのは、本当に実力のある生徒を取りたいというよりも、「うちは実力重視の上位進学校ですよ」という単なるアピールのように思えます。
さらに言えば「うちは大学受験も一般入試で目指しますよ」「推薦とか使いたいなら他へどうぞ」というアピールだともいえます。

実力重視なんて言うと格好はいいですが現実はそんな甘いものではありません。
生徒はみんな優秀ですから、授業はレベルが高く進度も速く、しかも先生は何言ってるかわからないジジイばっかりだし(上位校ほど先生の平均年齢は高いです)、中学校とは次元が違います。
真面目に授業を受ける習慣のない生徒がついていくのは、本当にすごい実力が必要でしょう。
内申が0.5倍になるからといって、学校の授業を甘く見るようになると後でひどい目にあいます。
(中学校で適当に授業を受けている生徒は、高校でも同じことをしてしまうものです)
高校受験も大学受験も全ての基本は学校の授業なのですから。

もちろん、受験勉強より学校の勉強が大切だと言っているわけではありません、公立トップ5校の受験生(中3生)にとって残っている内申点はわずかに22.5点です。
学力試験は500点もあるわけですから、受験勉強が学校の勉強の20倍以上重要なのは確かです。
しかし、学校の勉強に対する姿勢は、高校進学後の実力形成に大きく影響してきます。
公立トップ5校を目指すのなら、学校の授業を真面目に受けて、受験勉強もしっかりしようということです。


それにしても、これを見て私は怒っています。トップ5校がすべて同じ判定方法では選択の余地がありません。
内申が高いと有利な高校とか、試験重視の高校とか、選べるようになっているのが特色ある学校作りってもんでしょう。
全部横並びでは結局中学生は地域で選ぶしかなくなってしまいます。(県教委はそれが狙いなのかもしれませんが)

東葛飾は作文が60点あるからなんて言っても、本当に作文で差がついているのか怪しいものです。
その意味では、昨年までの前期選抜は、県千葉では内申を得点化しないとか、千葉東が内申0.4倍とか、微妙な差別化があってよかったように思います。
(あくまでも選別方法の話です、2回入試は解消してよかったです)


ところで、気になるのは小金の動向です。
制服の復活、進学重視の総合学科への転換と、進学校として再起を図ってきた同校です。
実際ここ数年で偏差値はじわじわ上昇し、ライバルの県柏を抜いて常磐線沿線ナンバー2に戻ってきました。
しかし名実ともに2番手校に復活と言うにはやや人気先行の印象も拭えず、偏差値に見合った実績が欲しいのも事実です。
(ちなみに、さくら進学クリニックではまだ正式に2番手校に入れていません)

そうした中で、内申0.5倍への変更は嵐を呼びそうです。
制服の復活で女子の人気が高い(実際、生徒数は女子がかなり多い)ので、放っておいても内申点の高い生徒が多く受験するのでしょう。
高校側としては多少内申は低くても試験に強い生徒(こういう生徒は男子に多い)を多く入れて、大学実績につなげたいという目論みもあるのでしょう。

同校ホームページの「進路指導」から「進路室だより」が読めるのですが、これが実にすごい!(小金志望者は絶対に見ておくべきです)
超圧縮編集で1ページの情報量がものすごい。
進路指導の先生の気合いの入り方が半端でなく、「このやり方だと生徒は引いちゃってついてこないだろうな(特に女子は)」と思わせる。
笛ふけど踊らずになっていそうな感じ。
(この先生は総合学科になった時に、大学実績を出すべく県教委から送り込まれた工作員なのではないだろうか?)

この先生から見れば、今のぬるい小金高校にカツを入れるべく、実力重視の選抜でできる生徒をバンバン取りたいということなのかもしれない。
まあ、現実にはそううまくいくとは限りませんが、今後の動向を見守ってみたいです。
第2学区では薬園台が人気低迷にあえいでいるので、取って代わるくらいのことがあっても面白いかなと思います。(実際には地理的に離れていますが)

 
そして内申2倍の独自路線を貫く船橋東です。
船橋東は3番手校ですが、このあたりまでが国公立や有名私大をまともにねらえるギリギリラインです。
そういう状況の中で、このレベルなら「内申重視が大学受験に有利」という結論に達したのでしょう。

ところで、昨年までの前期選抜で内申を2倍にするのと、2021年の一般入試で内申を2倍にするのとは意味が大きく異なります。
昨年までは船橋東に入りたい生徒は、内申に自信があれば前期で、自信がなければ後期で勝負ができたわけで、入学者には実力勝負形の生徒もいたわけです。
そういう生徒は入学後の授業で周囲にそれなりの影響を与えたはずです。(○○君は普段は全然だけど試験の爆発力はすごいとか)

ところが、入試が1回になれば船橋東には内申のよい生徒しか入学しないことになります。
「真面目だけど小粒」という生徒ばかりが集まってしまえば、クラスの雰囲気も多少変わるでしょう。(小金と正反対の方向性を目指したと言ってもよいですね)
そんなことは高校側も十分わかっているでしょう。
その上での内申2倍ですから、今の内申重視の入試の成果に自信を持っているともいえます。
小金とあわせて、船橋東の今後についても注視していきたいと思います。


調査書の評定以外の加点については、県千葉~佐倉のトップ5校がやはり横並びで一切加点なし、薬園台が10点、市千葉が15点となっています。
上位校なら、生徒会長で、部活の部長で、英検準2級持っていて、なんて生徒もいるでしょう。
それだけ持っていても10点とか15点が上限ですから、こんなものを気にするくらいなら受験勉強を頑張りましょう。
間違っても、10月の第2回英検に向けて勉強頑張ったりしないように、そんなヒマあったら理科や社会の知識を完璧にしましょう。


学校設定検査の配点は、東葛飾60点、佐倉30点以外はみな10点です。
正直言って、上位校のほとんどは学校設定検査は仕方なくやっているという気がします。
学力検査だけで判定できるのに、つまらない仕事を追加してくれてまったく・・・という感じでしょう。
配点はあっても、ほとんど横並びの評価になっていると考えられます。
学校ごとの細かいコメントは、さくら進学クリニックの「県内公立上位校の入試状況」を見てください。


公立上位校に関していえば、合否を決めるポイントは学力検査の500点です。
周りからの情報に惑わされることなく、ひたすら勉強に励みましょう。


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