こんにちは、さくらです。
今年も過去の入試問題に取り組む時期がやってきました。
ところで、みなさんは千葉県公立入試の教科別特徴を理解しているでしょうか。
得点しやすい教科、ミスを想定しておくべき教科、時間配分に気をつけなければならない教科・・・。
かつて300点前後だった平均点が250点前後まで下がり、入試問題は得点しにくいものに変わってきています。
教科ごとの特徴を理解しておかなければ、時間内に自分の実力を出し切ることは難しいでしょう。
今回と次回のコラムでは、学校でも塾でもあまり教えてくれない「公立入試の教科別特徴」について書きます。
各教科の特徴をしっかり頭に入れて過去問に取り組んでください。
(このコラムは、さくら進学クリニックで6月28日に実施した「高校入試説明会」の内容の一部をまとめたものです)
ここでは5月に県から発表された「平成26年度 千葉県公立高校学力検査の結果」を題材として使用します。
千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「平成26年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「25.平成26年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について<報道発表>」と進み
「平成26年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果(PDFファイル)」をダウンロードするか、その場で開いてください。
この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは、前期・後期の最後に掲載されている「受検者の得点分布」という簡便なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は75点、85点など10点刻みの中間に打ってありますが、これは70点台、80点台という意味だと解釈しています。
(中学校の数学で習う「階級値」です)
注意:人数の比率(%)は私が目分量で読んだ数字です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
はじめに、特徴の違いがわかりやすい「国語」と「英語」から見ていきましょう。
平成26年度の平均点
前期 国語 52.3点 英語 54.2点
後期 国語 57.6点 英語 55.5点
国語と英語の平均点を比べると、前期は英語が2点ほど高く、後期は逆に国語が2点ほど高くなっています。
大きな差はないものの、「前期は英語がやや易しく、後期は国語がやや易しかった」といえます。
はたして、本当にそうだったのでしょうか。
国語・前期の得点分布グラフを見てみましょう。
90点以上 約1% 80点以上 約6% 70点以上 約13%
(80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下「約」を省略します)
国語・前期のグラフは平均点付近を中心にきれいな三角形の山を描いています。
国語のグラフは山のピークに多くの受験生が集まっていて、高得点者と低得点者が少ないのが特徴です。
上位校受験者(高得点者)の得点状況を見ると、90点以上の得点者はほとんどいないのがわかります。
26年度前期の全受験者が39,210名ですから1%はおよそ390名です。
県千葉の前期受験者が512名なので、国語で90点以上を取った受験生は県千葉1校の受験者数よりも少ないことがわかります。
80点以上になると6%に増えますが、それでも佐倉、薬園台など2番手校では80点以上の生徒は少数だったでしょう。
次に、英語・前期のグラフを見てみましょう。
90点以上 5% 80点以上 16% 70点以上 29%
英語・前期のグラフはなだらかな盾状火山型(盾を伏せたような形)です。
英語のグラフは山のピークがほとんどなく、高得点から低得点まで広く分布しているのが特徴です。
90点以上が5%ですから、1番手校では90点以上の得点をしている生徒が多かったはずです。
70点以上が全体の約3割もいますから、26年度の英語・前期はとても得点しやすかったといえます。
後期では英語より国語のほうが平均点が高く易しそうでした。
後期の国語と英語のグラフを見比べてみましょう。
国語 90点以上 2% 80点以上 11% 70点以上 23%
英語 90点以上 9% 80点以上 20% 70点以上 32%
国語はグラフの山が前期よりも右に動き、80点台、70点台の受験者が大幅に増えています。
中位から上位にかけての生徒の得点が伸びたため平均点が上がったことがわかります。
しかし、90点台はあまり増えていなく、やはり90点以上は取りにくかったこともわかります。
対して、英語は90点以上が1割近くにもなり、前期以上に高得点が可能であったことがわかります。
上位生に関していえば、後期も国語は高得点が取りにくく、英語は取りやすい教科であったといえます。
平均点だけを見ていては「本当に大切なこと」はわからないのです。
国語は母国語なので、日常のコミュニケーションを通じて訓練されていきます。
多くの生徒がそれなりの点数を取れる(平均点付近に集まる)のは当然の結果でしょう。
差をつけるために難易度の高い問題を入れれば、今度はできる生徒が限られてしまいます。
千葉県公立入試特有の特徴というより、教科の性格からくる特徴でしょう。
千葉県特有の特徴といえば、国語は20年度から聞き取り問題(英語でいうリスニング)が導入されています。
聞き取り問題の放送時間は強制的に拘束されてしまうので、そのぶん他の問題を解く時間は短くなります。
千葉県の国語では作文も必ず出題されるので、時間配分を上手く考えないとタイムオーバーになります。
そういう意味でも、国語は高得点の難しい教科だといってよいでしょう。
反対に英語は外国語なので、学習量の差が得点の差となって表れてきます。
しかも、英語は中学3年間しか学んでいないので、国語や数学に比べると受験に必要な知識量は少なめです。
学習量の多い(しかも理解度の高い)上位生には攻略が最も容易な教科であるといえます。
国語や数学とは違い「知識で解く」教科なので、訓練度が高ければ満点を狙うことも可能です。
1番手校の受験生なら、英語の目標は100点でよいでしょう。
続いて「数学」を見てみましょう。
平成26年度の平均点
前期 52.6点 後期 52.8点
数学は前期・後期の入試となった23年以来はじめて前期の平均点が50点を超えました。
(実は国語・前期もはじめて平均点が50点を超えています)
得点分布グラフを見てみましょう。(左が前期、右が後期です)
前期 90点以上 1% 80点以上 4% 70点以上 17%
後期 90点以上 2% 80点以上 8% 70点以上 20%
前期、後期とも山の形がはっきりしており国語に近い形になっています。
山のピーク付近の受験生が多く、高得点者と低得点者は少ないのが特徴です。
前期では山のピークが平均点より10点も高い60点台にあり、意外に得点しやすかったことがわかります。
(だからこそ、はじめて平均が50点を超えたのでしょうけど)
70点台の受験者も多いので、数学が得意でない生徒でも基本・標準問題の訓練次第でそこそこの得点を確保できたでしょう。
しかし、前期、後期とも90点以上は難しいことがわかります。
前期では80点台も容易ではありません。
国語と同様に、数学は高得点の難しい教科だといってよいでしょう。
数学は基本問題、標準問題、応用問題がバランスよく入っています。
全ての問題を正解しようとすると時間が足りなくなるので、時間内に取りどころをどう押さえていくかが高得点のポイントです。
過去問でしっかりと時間配分の練習をしておきましょう。
次回は理科・社会をお送りします。