さくら進学クリニック 『進学コラム』

千葉県北西部の公立上位高校志望の受験生に受験情報に関するアドバイスをお送りするブログです

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 2025年千葉県公立高校入試は2月18・19日です

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631.公立入試の教科別特徴

こんにちは、さくらです。

早いものでもう11月中旬、受験生の皆さんは私立の過去問を解き始めているでしょうか。
過去問には出題傾向を知るだけでなく、今後の勉強の指針を示すナビゲーターの役割もあります。
過去問を解いた結果をふまえて対策をしていけば、より学習効果を上げることができるでしょう。

今回は公立上位校受験の手引きの最終回、「7.公立入試の教科別特徴」です。
学校でも塾でもあまり教えてくれない、千葉県公立入試の教科別特徴について書きます。
公立入試で1点でも多く得点するために、教科の特徴を知り、対策に生かしてください。


7.公立入試の教科別特徴

千葉県の公立高校入試は前期・後期の2回入試から、1回のみの入試に変わりました。
入試制度が変わって、試験問題はどうなるのかと不安な受験生も多かったと思います。
ふたを開けてみると、平均点は2020年前期より24.6点も上がり、全体にやや易しくなりました。
(教科ごとに見ると、社会をのぞいた4教科で前年より平均点が上がりました)
下は前期・後期になった2011年以降の(2020年までは前期の)平均点の推移をグラフにしたものです。

グラフを見ると、前期・後期の後半以降(2016年以降)はだいたい260~300点の間で推移しており、今年もこの範囲に収まっています。
平均点が前年より24.6点も上がったのは、前年の平均点が範囲の下限付近だったこともありますが、制度変更による受験生の不安を緩和したかったということもあるのかもしれません。
もしもそうなら、2022年は多少難しくなるのかもしれません。(根拠は薄いのであまり信用しないように)

ただ、教科によって若干の差はあるものの、教科ごとの問題の傾向は変わらなかった印象です。
そのあたりを、県が公表したデータを使って見ていきましょう。

ここでは6月に県から発表になった「令和3年度 千葉県公立高校学力検査の結果」を題材として使用します。
資料の現物を見たい方は、千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「令和3年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「31.令和3年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について<報道発表>(令和3年6月17日)」と進み
「令和3年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果(PDF:1,973.8KB)」をダウンロードするか、その場で開いてください。

この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは「Ⅳ 【本検査】受検者の得点分布」という簡単なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は10点刻みの中間にありますが、これは70点台や80点台という意味だと解釈しています。(中学校の数学で習う「階級値」ですね)

ではさっそく、2021年の公立入試について、得点分布グラフから教科別特徴を読み取っていきます。


まずは国語から得点分布グラフを見てみましょう。


90点以上 約1%   80点以上 約5%   70点以上 約18%

※人数の比率(%)は私が目分量で読んだ数字です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下、約を省略します。

グラフは山の形がはっきりしていて、上位・下位が少なく平均点付近に多くの受験生が集まっています。
国語は普段から生活に使っているので、勉強量にかかわらずそれなりの得点ができる生徒が多いのでしょう。

90点以上は約1%と書きましたが、これは1%に届いていないでしょう、高得点を取るのは難しかったことがわかります。
反面、80点以上は5%もいるので、1番手校では80点台の生徒が多かったと思われます。

何%と言われてもイメージしにくいので具体的な数字を出しましょう。
2021年の公立高校全日制全受験者数は32523名だったので、その1%は約325名です。
1番手校(千葉・船橋東葛飾・千葉東)の受験者合計が1800名で約5.5%ですから、「1番手校では80点台の生徒が多かった」ということがわかると思います。

ちなみに、前年2020年の前期は平均点が6.8点低く下のような状況でした。


90点以上 ほぼ0%   80点以上 3%   70点以上 10%

80点以上が3%しかいないので、1番手校でも80点に届かなかった生徒が少なくなかったはずです。
国語は高得点が難しいのが普通だと知らなければ、「思うようにできなかった」とショックを受けた人もいたでしょう。
国語は1時間目なので、ここでショックを受ければ以降の試験に影響したかもしれません。

平均点が高くても低くても、90点以上の得点者はわずかな人数しかいません。
国語は相当な実力がないと90点以上は(年によっては80点台も)難しい教科だと思っておきましょう。


次は数学を見てみましょう。


90点以上 2%   80点以上 15%   70点以上 35%

数学は次の英語ほどではありませんが、かなり易化した教科です。
私はこの世界で30年ほど食べていますが、こんなに易しい数学は初めて見たように思います。

2020年前期のグラフは下のようでした。


90点以上 1%   80点以上 5%   70点以上 18%

数学は国語と同様に90点以上を取るのが非常に難しく、80点台も数%程度なのが普通でした。
2020年の場合だと80点以上が5%ですから、佐倉・薬園台など2番手校では80点に満たない生徒が大半だったはずです。
それが今年は80点以上が15%もいたわけで、これなら2番手校でも80点を割った生徒はわずかだったでしょう。
これだけ易しいと、数学が得意な生徒は差をつけられなくて厳しかったでしょうね。

昔から数学は高得点が難しい教科の代表で、特に大問2~大問5のラスト問題が難問になっていました。
それだけに苦手な生徒は大問のラスト問題は捨てて、ひたすら基礎練習に特化して70点を目指すという対策ができました。
ところが近年は若干の変化が起きています、大問のラスト問題がやや取りやすくなっているのです。

下は過去8年間の大問ラスト問題の正答率です。(2020年までは前期のデータです)

       2014 2015 2016  2017 2018 2019 2020 2021
2(作図)   8.4  1.9  3.3  1.9  37.4  28.9  7.7  39.2
3(関数)   4.1  0.4  1.0  15.1  6.1  6.7  3.9  2.5
4(平面図形) 2.2  2.6  1.9  1.0  6.0  0.2  0.8  3.4
5(思考問題) 0.7  3.2  3.0  4.2  6.3  6.9  17.5  6.5

2017年までは、ほとんどが正答率5%未満の難問になっていました。
それが2018年には大問2(作図)が驚くほど易しくなり、他の問題も5%を超えました。
2019年からは少し難問が戻ってきてはいますが、かつてのように「ほぼお手上げ」という状況ではなくなっています。

正答率が5%を超えていると、上位校の受験生は解かないわけにはいきません。
解けようが解けまいが、とにかく解いてみるということが必要になってきます。
難問とはいえ所詮は公立の問題です、私立難関校レベルの難問ではありません。
上位校の受験生なら、数学が苦手な生徒をのぞいて、頑張れば何問かは答えが出せるでしょう。
しかしその結果、時間が足りなくなって、取れる問題を取りこぼしてしまうということも起こります。
難問で正解しても、基本問題を落としては意味がありません。

上位校を目指す受験生は「正確に解ける」だけでなく、「速く正確に解ける」ことを要求されるようになっています。
入試標準レベルの訓練度が明暗を分けます。
数学が苦手でも得意でも、コツコツとたくさんの問題を演習していきましょう。


次は平均点の最も高かった英語のグラフです。

90点以上 18%   80点以上 35%   70点以上 47%

英語は今年から60分間になったのですが、10分延ばした意義を問われそうなほど易しくなっています。
よく見ると100点も1%ほど存在しているのがわかります。
もうこれは試験問題としては壊れているといってよいでしょう。(言い過ぎ)

一般的に英語のグラフは、上位と下位が多く真ん中が少ないM字型をしているのが特徴です。(国語のグラフの反対です)
英語は暗記教科なので、勉強したか、しなかったかで差がつくのでしょう。
上位生にとっては必要知識量の少ない教科なので、上位校では高得点者が続出し、差がつきにくい教科です。
(とは言え、90点以上が18%もいるのはやっぱり異常事態でしょう)

前年・前期のグラフは下のようでした。

90点以上 4.5%   80点以上 17%   70点以上 31%

このくらいが英語のグラフの基本形です。
平均点がそれほど高くなくても、1番手校なら90点以上が普通で、2番手校でも80点台後半は取りたいところです。
英語は「知識で解く」教科なので、訓練度が高ければ満点を狙うことも可能です。
1番手校の受験生ならば、英語の目標は100点でよいでしょう。


続いて社会を見てみましょう。


90点以上 4%   80点以上 18%   70点以上 34%

社会は唯一、前年より平均点が下がった教科です。
ただし、これは前年が易しかったためで、今年の問題が特別難しかったというわけではありません。

グラフは山というより台地に近い形です、受験生は上から下まで散らばっていることがわかります。
英語と同じで暗記中心の教科なので、勉強したか、しなかったかで差がつくのでしょう。
台地がやや右寄り(高得点側)にふくらんでいて、高得点者は多く、低得点者は少ないこともわかります。

社会は暗記教科なので、上位生にとって得点源となる教科です。
上位生はみんな勉強してくるので、高得点層の比率は英語と並んで高いことが多いです。
(今年はほかの教科が全体に易しかったのでそう見えませんが)

社会で得点できなければ上位校の合格を望むことはできません。
しっかり勉強して90点以上取れるようになりましょう。


最後に理科のグラフです。


90点以上 1%   80点以上 8%   70点以上 24%

理科のグラフはこんもりした山の形に見えます。(昭和新山ってとこですかね(古い))
90点以上は1%しかいないので、国語と同様に高得点は難しいことがわかります。
しかし、80点以上は8%ですから、2番手校でもきっちり80点以上をキープしたいところです。

ただし理科は年による変動が大きく、2020年前期は下のようにもっと厳しい問題でした。


90点以上 1%未満   80点以上 4%   70点以上 15%

これでは1番手校でも80点に満たない生徒がいたでしょう。

ところが、2019年前期は下のように非常に緩い状況でした。


90点以上 6%   80点以上 20%   70点以上 39%

千葉県の理科は年による難易度の変動が大きく、予期せぬことが起こるかもしれないと思っていたほうがよいでしょう。
(2010年には平均点38.8点なんてこともありました)

90点以上はなかなか難しいですが、1番手校の受験生なら暗記部分を中心にしっかり勉強して80点台を確保したいものです。
理科は70点台までは難しくないので、英語や社会と同様にできないと致命傷になります。


ここまで5教科の得点分布グラフを見てきました、千葉県公立入試における5教科の特徴をまとめてみます。

高得点が可能な教科は英語と社会。
1番手校では90点を割るような生徒はほとんどいないので苦手だと致命的です。
暗記教科ですから、繰り返し問題演習して確実に得点できるようになりましょう。

理科は90点以上はきついものの、80点台までは取りやすい教科です。
暗記分野が多いので、英語や社会と同じと考えて繰り返し問題演習をしましょう。
1番手校なら英語・社会・理科で目標270点、できれば280点を目指しましょう。

高得点を取りにくいのは国語と数学。
年によっては1番手校でも80点すら難しいこともあります。
すごく得意な生徒はガンガン鍛えたいですが、そうでなければ深追いは禁物です。
英語・社会・理科の対策が不十分なままで、国語や数学に力を入れても効果は見込めません。

ただし、数学は入試標準レベルの訓練度が勝負を分けるようになってきています。
できる問題を「速く正確に解ける」ように、Tel帳などの問題集で数多く練習しておきたいものです。
もちろん、計算や漢字の練習は毎日欠かさずにやりましょう、取りどころで落としたら合格はありえません。


最後に5教科合計にも触れておきます。


450点以上 1%   400点以上 11%   350点以上 30%

高得点層に特徴的なことは450点以上が非常に少ないことです。
皆無というわけではありませんが、実質的には450点満点のようなものです。
400点以上は11%もいますから、1番手校では420点~450点あたりにたくさんの受験生がぎっしり並んだことでしょう。

狭い範囲に多くの受験生がいれば、数点の差で順位が大きく動きます。
合否を分けたのは「実力の差」だけでなく、「いつもの実力が出せたかどうか」も大きかったはずです。
1番手校を目指す受験生は実力をつけるのは当然として、いつも通りの実力を出せるための訓練も必要でしょう。
公立入試の前に私立1番手校で「試験中の試合運び」の練習をしておくことが、公立の合格可能性を上げるはずです。


最後に、出題傾向は変わるものだと思っておくこと。
出題傾向が変わっていたとしても、上位校の受験生は高得点を取らなければなりません。
千葉の公立はこのパターンなどと思い込まずに、様々なパターンの演習をしておくことです。
所詮は公立の問題です「何でも来い」という気持ちで、いろいろな問題をたくさん解いておきましょう。

ただし、それは過去の出題傾向など無視してよいという意味ではありません。
出題の特徴や傾向を知り、その上で十分な勉強をすれば合格は自ずと近づいてくるでしょう。


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