さくら進学クリニック 『進学コラム』

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629.選抜・評価方法の読み方

こんにちは、さくらです。

各公立高校の2022年入試における「選抜・評価方法」が発表になりましたので、公立上位校受験の手引きの6回目、「6.選抜・評価方法の読み方」をお届けします。
ただし、例として取り上げた県船橋高校の選抜・評価方法が前年とほとんど変わらないので、このコラムの内容も昨年のものとほとんど同じになっています。


6.選抜・評価方法の読み方

公立高校のホームページで公開されている「選抜・評価方法」は、お役所的文書で真意が読み取りにくくなっています。
そこで、元公立高校教諭である私さくらが読み方を伝授します。
ただし、私の解釈が間違っていても責任は取れません、あくまでも参考程度に見てください。

上位校の代表として、県立船橋高校・普通科の選抜・評価方法を使用して解説します。
青字が選抜・評価方法の本文、黒字は私の解説です。
表の部分は加工に困るため、本文だけ抜き出して箇条書きにしてあります。


令和4年度 一般入学者選抜の選抜・評価方法
         学校番号 26
         千葉県立船橋高等学校 全日制の課程 普通科


1 期待する生徒像
  次のア及びイの要件をともに満たす者
  ア 本校への志望動機及び理由が明確であること。
  イ 本校の教育目標に向かって努力し、その成果が期待できる資質を有すること。


期待する生徒像は、前期・後期選抜の前の、特色化選抜のさらに前、2002年まで行われていた推薦入試の推薦要件の名残りです。
推薦入試には推薦基準が必要ですが、私立のような数値による明確な基準を設定することができなかったため、このような曖昧な推薦要件を決めたわけです。
すでにゾンビ化した要件ですから、上位校ではまったく気にする必要はありません。

実際、薬園台でも「学習成績が優秀で」とか、船橋東でも「学業成績・人物共に優れ」とか書かれています。
そんなに学業も人物も優れているなら、県千葉や県船橋を受験しているんじゃないでしょうか。
(ただし中位校以下では、期待する生徒像にしたがって2日目の学校設定検査を行う学校もあるので注意が必要です)
受験生を混乱させるだけなので、そろそろこの項目は削除したほうがよいのではないかと思います。


2 選抜資料
(1) 学力検査 5教科の学力検査の得点
(2) 調査書  中学校の校長から送付された調査書
(3) 学校設定検査(作文) 時間50分・字数500字以上600字以内

3 評価項目及び評価基準
(1) 学力検査[500点満点]
5教科の得点合計 5教科の得点(各教科100点満点)の合計500点満点で評価する。

(2) 調査書[67.5点満点]
ア 教科の学習の記録 各教科の評定の全学年の合計値にK=0.5を乗じた数値で評価する。
            各学年の必修教科の評定に1がある場合は、審議の対象とする。
イ 出欠の記録 3か年通算で欠席が30日以上ある場合は、審議の対象とする。
        第3学年において欠席が10日以上ある場合は、審議の対象とする。
ウ 部活動の記録 部活動で県大会を経て関東大会以上に出場した、または個人で県1位の成績をあげたと認められる記載がある場合は、総合的に判定する際の参考とする。
エ 特記事項 英検2級以上等の記載がある場合は、総合的に判定する際の参考とする。
オ 総合所見 特に問題となる記述がある場合は、審議の対象とする。


調査書は67.5点満点だと明記しているので、県船橋では点数化するのは「教科の学習の記録」のみで、それ以外は点数化しないということです。
県千葉・東葛飾・千葉東・佐倉・小金でも同様の記述です。
(小金の調査書の項目は「評定しか見ません!」と強調しているようで気持ちよいです)
ただし、薬園台や市千葉のように部活動や特記事項で加点する高校もあります。
加点される要素を持っている人は、志望校の選抜・評価方法を確認しておきましょう。

「審議の対象とする」とは読んだとおりです、欠席が多いことに正当な理由が認められるかどうか審議するということです。
審議の対象=不合格というわけではありません。
実際には調査書の記述(欠席理由など)を確認するだけで、問題がなければほとんど審議は行われないでしょう。
(審議の対象を全てきちんと審議していたら会議が終わらなくなってしまいます)

欠席についてなら、調査書に「病気入院のため」などと書かれていれば問題にされることはないでしょう。
逆に「怠学のため」などと書かれていれば、審議がなされた上で前例をもとに対処することになるでしょう。
必修教科の評定に1がある場合も、長期入院などで出席日数が不足して1がついたのであれば問題はないでしょう。
ただし合否の材料にされなくても、評定に1があれば合計点で非常に不利な状況になりますから、現実には合格は容易ではないでしょう。

「総合的に判定する際の参考とする」=「ボーダーライン上に並んだ場合の判定材料にする」という意味です。
2020年まで行われた前期選抜では定員を超えて合格者を出せない取り決めだったため、ボーダーに同点で複数の生徒が並んだ場合は判定材料が必要でした。(後期選抜では定員を多少超えてもOKでした)
そのための材料が「総合的に判定する際の参考とする」項目です。

2021年からは入試が1回になり、前年までの後期選抜と同様に定員を多少超えた合格者を出してもOKになっています。
実際に今春の入試で、県千葉高校では定員240名に対し合格者242名と2名水増ししています。
ボーダーライン上に同点で複数の生徒が並んだら、同点の生徒は全員合格になる可能性が高いと思ってよいです。
そのため、今ではこれらの項目が判定材料に使用されることはほとんどないでしょう。
部活動で県1位になっても、英検2級を持っていても、まずプラスになることはないということです。


(3) 学校設定検査(作文)[10点満点]
2名の評価者が、次の2つの評価項目ごとに各評価基準に基づき、a(満たしている)・b(満たしていない)の2段階で評価する。
2名の評価者による評価項目ごとの評価の組合せ(aa~bb)で得点化する。
bbの組合せの場合は審議の対象とする。

評価項目 ア 字数 指定された字数に対して過不足がない。
     イ 内容 与えられたテーマに対して内容が適切である。


2020年まで面接だった学校設定検査は、2021年から作文に変更されました。
上位校の先生は基本的に学校設定検査をやりたくない(学力検査だけで十分判定できる)と思っているので、なるべく手間のかからない方法にということでしょう。

面接は実施するのは大変ですが(受験者全員と面接するのは大変な手間です)、当日で全て終わるので後は楽です。
作文は教室で一斉に書かせればよいので実施は楽ですが、全員の作文を読んで評価しなければいけないので後が大変です。
(ただし、先生全員が読むわけではなく、大変なのは一部の先生(多くの場合、国語科の先生)だけです)
船橋は当日が楽で、事後に一部の先生だけが苦労する(多くの先生は当日も事後も楽な)方法を採ったということでしょう。

船橋の受験生が作文で字数が不足したり、テーマに対して内容が不適切だったりすることは考えにくいので、ほぼ全員がaaになるでしょう。
気をつけたいのは「満たしている」か「満たしていない」かの2段階しかないので、優れた作文を書いても評価はされないことです。
(可と不可の評価しかなく、優や良はないということ)
これを見ても、学校設定検査の作文に特別な対策は不要であることがわかるでしょう。


4 選抜方法
(1) 選抜の方法
「学力検査の得点」「調査書の得点」「学校設定検査(作文)の得点」を全て合計した「総得点」により順位をつけ、選抜のための資料を慎重に審議しながら、募集人員までを入学許可候補者とする。

<総得点の満点の内訳>
学力検査の成績 500点
調査書の得点 評定(K=0.5) 67.5点
学校設定検査の得点 作文 10点
総得点 577.5点

(2) その他
自己申告書が提出された場合には選抜資料に加える。ただし、提出されたことにより不利益な取り扱いはしない。

5 その他
過年度卒業者については、学校設定検査終了後、別途個人面談を行う。


船橋では 学力検査+内申点×0.5+作文=577.5点満点 で判定するということ。
ミスが起こらないように慎重に数値入力をして、総得点順に並べ替えて定員まで合格とする、これで間違いありません。
生徒会や部活を頑張ったり、検定を取得したり、さらにいえば学校の定期テストを頑張るよりも、入試で十分な得点をすることが重要だということです。
(もちろん、生徒会や部活を頑張ったり、検定を取得したりすることはよいことですが)
公立上位校に合格したければ受験勉強を最優先にしましょう。

得点開示ができる現在、上位校では1点でも得点の高い生徒が不合格になり、低い生徒が合格になることは考えられません。
得点開示した結果、「自分のほうが得点が高いのに不合格だった」と裁判に訴えられたら学校側はまず勝てないからです。
(その場合の計算方法を選抜・評価方法に明記していれば、話は別です)
学校側にはそうまでして得点の低い生徒を入学させるメリットはありません。
少し前に幕張総合がスポーツでの成果を優遇していたと問題になりましたが、上位校ではそういうこともないでしょう。

そもそも公立上位校の先生には「少しでも優秀な生徒を合格させたい」という意識は薄いと思われます。
なぜなら上位校には優秀な生徒しか受験に来ないからです、優秀な生徒の中で誰が受かってもたいした差はないと考えているでしょう。
その中で公平な試験を行って順位をつけるのなら、それ以上の材料は不要だと思うのが普通でしょう。
高校の先生の仕事は「優秀な生徒を入学させること」ではなく、「入学した生徒をしっかりと教育すること」です。
経営上の理由で大学受験で結果を出すことが求められる私立とは違い、公立では進学指導重点校であっても数値目標を絶対視することはないでしょう。

さらにいえば、いやらしい言い方になりますが「公立高校の先生=公務員」ですから、事なかれ主義、前例主義になりやすいことも否めないでしょう。
(上位校は教員の平均年齢が高そうですし、ベテランは余計なことをしたがらないものです)
優秀な生徒を入学させることより、面倒なことにならないほうが大切だと考える先生が多いのではないでしょうか。


はじめにも書きましたが、これはあくまでも私個人の解釈です。
私の解釈が間違っていても責任は取れません、あくまで参考程度に見てください。


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