さくら進学クリニック 『進学コラム』

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 2025年千葉県公立高校入試は2月18・19日です

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591.公立入試の教科別特徴

こんにちは、さくらです。

早いもので10月も後半に入りました、そろそろ過去問を始めようかなという時期です。
過去問には出題傾向を知るだけでなく、今後の勉強の指針を示すナビゲーターの役割もあります。
過去問を解いた結果をふまえて対策をしていけば、より学習効果を上げることができるでしょう。

今回は公立上位校受験の手引きの8回目、「8.公立入試の教科別特徴」です。
学校でも塾でもあまり教えてくれない、千葉県公立入試の教科別特徴について書きます。
公立入試で1点でも多く得点するために、教科の特徴を知り、対策に生かしてください。


8.公立入試の教科別特徴

下は千葉県の公立入試が前期・後期になって以降10年間の前期平均点です。
2011年  258.9点
2012年  258.4点
2013年  232.3点
2014年  251.9点
2015年  266.5点
2016年  257.5点
2017年  276.1点
2018年  294.3点
2019年  279.6点
2020年  261.6点

数字を並べただけでは変化がわかりにくいですが、グラフにしてみるとこんな感じです。

2013~2018年の上昇を見ると「県は300点(かつて入試が1回だった頃の平均点水準)を目指しているのかな」と思いましたが、2019・2020年と下げて300点から遠ざかっています。
結果的に、260点から始まって、上下動はあったものの、また260点に戻ってきた形です。
難しくしたり易しくしたり試行錯誤したけれど、結局、260点くらいが収まりがよい(選抜をしやすい)ということなのかなと、私は受け取りました。

2021年入試は試験時間(各教科50分、ただし英語は60分)を考えると、前期選抜に近い試験になると考えられます。
昨年までの前期選抜の流れが踏襲されるならばどういう傾向になるのか、教科別の特徴を読み取っていきたいと思います。

ここでは5月に県から発表になった「令和2年度 千葉県公立高校学力検査の結果」を題材として使用します。
資料の現物を見たい方は、千葉県教育委員会ホームページの左サイドバーから
→ 「入試・検査」
→ 「令和2年度高等学校入学者選抜情報 」
→ 「25.令和2年度千葉県公立高等学校入学者選抜の結果について<報道発表>(令和2年5月27日)」と進み
「令和2年度千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果(PDF:1,327KB)」をダウンロードするか、その場で開いてください。

この資料には平均点の推移や、設問ごとの正答率、無答率などが掲載されています。
その中で今回使用するのは、前期・後期の最後に掲載されている「受検者の得点分布」という簡単なグラフです。
これは得点10点刻みに受検者の人数比率をグラフ化したものです。
グラフの点は10点刻みの中間にありますが、これは70点台や80点台という意味だと解釈しています。(中学校の数学で習う「階級値」ですね)

ではさっそく、2020年前期選抜について、得点分布グラフから教科別特徴を読み取っていきます。


まずは平均点の最も高かった社会のグラフから見てみましょう。

90点以上 約11%   80点以上 約25%   70点以上 約40%

※人数の比率(%)は私が目分量で読んだ数字です、正確な数値ではありませんのでご了承ください。
80点以上には90点以上を、70点以上には80点以上を含みます、以下、約を省略します。

グラフは山というより台地です、受験生は上から下まで散らばっていることがわかります。
社会は暗記教科なので、勉強したか、しなかったかで差がつくのでしょう。
台地がやや右寄り(高得点側)にふくらんでいて、高得点者は多く、低得点者は少ないこともわかります。

90点以上が11%もいるので、佐倉・薬園台など2番手校でも90点以上が多かったでしょう。
社会は暗記教科なので、上位生にとって得点源となる教科です。
上位生はみんな勉強してくるので、高得点層の比率は5教科の中で最も高いことが多いです。
(とはいえ90点以上が11%は易しすぎです、壊れているといってもよいでしょう)

社会で得点できなければ上位校の合格を望むことはできません。
しっかり勉強して90点以上取れるようになりましょう。


次は、平均点の最も低かった国語の得点分布グラフを見てみましょう。

90点以上 ほぼ0%   80点以上 3%   70点以上 10%

国語のグラフは社会とはまったく違う形をしています。
山の形がはっきりしていて、平均点付近に多くの受験生が集まっています。
国語は普段から生活に使っているので、勉強量にかかわらずそれなりの得点ができるのでしょう。

90点以上は存在がわかる程度しかいなく、高得点を取るのは非常に難しかったことがわかります。
80点以上でも3%しかいないので、1番手校でも80点に届かなかった生徒が少なくなかったでしょう。

何%と言われてもイメージしにくいので具体的な数字を出しましょう。
2020年前期の全受験者数は35599名だったので、その1%は約360名です。
1番手校(千葉・船橋東葛飾・千葉東)の受験者合計が2026名で約5.6%ですから、「1番手校でも80点に届かなかった生徒が少なくなかった」ということがわかると思います。
国語は相当な実力がないと高得点が難しい教科だと思っておきましょう。

ところで、実は国語はここ数年で大きく難易度を変えている教科でもあります。
過去問を解いてみればわかりますが、2018年は平均点63.2点で90点以上が7%もいる易しい試験でした。
詳しいことは昨年のコラム「542.公立の過去問を解く際に」に書いていますから参考にしてください。

昨年のコラムで「できるなら5年以上前の難しかった頃の国語も解いてみて、時間配分の厳しさを味わっておくとよいでしょう。」と書きましたが、その通り実践した人は入試でうろたえずに済んだかもしれません。


次は数学を見てみましょう。

90点以上 1%   80点以上 5%   70点以上 18%

数学のグラフは、国語よりは右に寄っていますが山がはっきりしています。
国語が平均点から高得点に向けてなだらかに減少しているのに対して、数学は60点台からストンと急激に減少しています。
60点まではかなり容易に取れるけれども、それ以上はセンスと訓練で差がつくということです。

90点以上は1%と非常に少なくなっています、国語と同様に相当な実力がないと取れなかったでしょう。
しかし、80点以上は5%もいるので、1番手校では80点台ならゴロゴロいたでしょう。

昔から数学は高得点が難しい教科で、特に大問2~大問5のラスト問題が難問になっていました。
それだけに苦手な生徒は大問のラスト問題は捨てて、ひたすら基礎練習に特化して70点を目指すという対策ができました。
ところが近年は若干の変化が起きています、大問のラスト問題がやや取りやすくなっているのです。

下は過去7年間の前期選抜大問ラスト問題の正答率です。

       2014 2015 2016  2017 2018 2019 2020
2(作図)   8.4  1.9  3.3  1.9  37.4  28.9  7.7
3(関数)   4.1  0.4  1.0  15.1  6.1  6.7  3.9
4(平面図形) 2.2  2.6  1.9  1.0  6.0  0.2  0.8
5(思考問題) 0.7  3.2  3.0  4.2  6.3  6.9  17.5

2017年までは、ほとんどが正答率5%未満の難問になっていました。
それが2018年には大問2(作図)が驚くほど易しくなり、他の問題も5%を超えました。
2019・2020年と少し難問が戻ってきてはいますが、かつてのように「ほぼお手上げ」という状況ではなくなっています。

正答率が5%を超えていると、上位校の受験生は解かないわけにはいきません。
解けようが解けまいが、とにかく解いてみるということが必要になってきます。
難問とはいえ所詮は公立の問題です、私立難関校レベルの難問ではありません。
上位校の受験生なら、数学が苦手な生徒をのぞいて、頑張れば何問かは答えが出せるでしょう。
しかしその結果、時間が足りなくなって、取れる問題を取りこぼしてしまうということも起こります。
難問で正解しても、基本問題を落としては意味がありません。

上位校を目指す受験生は「正確に解ける」だけでなく、「速く正確に解ける」ことを要求されるようになっています。
入試標準レベルの訓練度が明暗を分けます。
数学が苦手でも得意でも、コツコツとたくさんの問題を演習していきましょう。


次は英語のグラフです。

90点以上 4.5%   80点以上 17%   70点以上 31%

英語のグラフは社会に似ています、真ん中が少しへこんだ台地のようです。
上位から下位までばらけて分布しています。
英語も社会と同じ暗記教科なので、勉強したか、しなかったかで差がつくのでしょう。

高得点層に目を向けると、90点以上が4.5%とやや多く、80点以上に至っては17%もいます。
1番手校なら90点以上が多く、2番手校でも80点を超えている生徒が大半だったでしょう。

国語や数学とは違い「知識で解く」教科なので、訓練度が高ければ満点を狙うことも可能です。
1番手校の受験生ならば、英語の目標は100点でよいでしょう。


最後に理科のグラフです。

90点以上 1%未満   80点以上 4%   70点以上 15%

理科のグラフは山と台地の中間のように見えます。(房総丘陵ってとこですかね)
高得点層は90点以上が1%未満、80点以上でも4%と、国語や数学のように高得点が難しいことがわかります。
ただし、2020年前期は平均点が48.8点と下がった年でした。

下は前年2019年前期のグラフです。

90点以上 6%   80点以上 20%   70点以上 39%

2020年とまったく別物であることがわかると思います。
千葉県の理科は年による難易度の変動が大きく、予期せぬことが起こるかもしれないと思っていたほうがよいでしょう。
(2010年には平均点38.8点なんてこともありました)

90点以上はなかなか難しいですが、1番手校の受験生なら暗記部分を中心にしっかり勉強して80点台を確保したいものです。
理科は70点台までは難しくないので、英語や社会と同様にできないと致命傷になります。


ここまで5教科の得点分布グラフを見てきました、千葉県公立入試における5教科の特徴をまとめてみます。

高得点が可能な教科は英語と社会。
1番手校では90点を割るような生徒はほとんどいないので苦手だと致命的です。
暗記教科ですから、繰り返し問題演習して確実に得点できるようになりましょう。

理科は90点以上はきついものの、80点台までは取りやすい教科です。
暗記分野が多いので、英語や社会と同じと考えて繰り返し問題演習をしましょう。
1番手校なら英語・社会・理科で目標270点、できれば280点を目指しましょう。

高得点を取りにくいのは国語と数学。
年によっては1番手校でも80点すら難しいこともあります。
すごく得意な生徒はガンガン鍛えたいですが、そうでなければ深追いは禁物です。
英語・社会・理科の対策が不十分なままで、国語や数学に力を入れても効果は見込めません。

ただし、数学は入試標準レベルの訓練度が勝負を分けるようになってきています。
できる問題を「速く正確に解ける」ように、Tel帳などの問題集で数多く練習しておきたいものです。
もちろん、計算や漢字の練習は毎日欠かさずにやりましょう、取りどころで落としたら合格はありえません。


最後に5教科合計にも触れておきます。

450点以上 1%未満   400点以上 5%   350点以上 19%

高得点層に特徴的なことは450点以上がほとんどいないことです。
皆無というわけではありませんが、実質的には450点満点のようなものです。
400点以上は5%もいるので、1番手校では410点~450点あたりにたくさんの受験生がぎっしり並んだことでしょう。

狭い範囲に多くの受験生がいれば、数点の差で順位が大きく動きます。
合否を分けたのは「実力の差」だけでなく、「いつもの実力が出せたかどうか」も大きかったはずです。
1番手校を目指す受験生は実力をつけるのは当然として、いつも通りの実力を出せるための訓練も必要でしょう。
公立入試の前に私立1番手校で「試験中の試合運び」の練習をしておくことが、公立の合格可能性を上げるはずです。


最後に出題傾向は変わるものだと思っておくこと。
出題傾向が変わっていたとしても、上位校の受験生は高得点を取らなければなりません。
千葉の公立はこのパターンなどと思い込まずに、様々なパターンの演習をしておくことです。
所詮は公立の問題です「何でも来い」という気持ちで、いろいろな問題をたくさん解いておきましょう。

ただし、それは過去の出題傾向など無視してよいという意味ではありません。
出題の特徴や傾向を知り、その上で十分な勉強をすれば合格は自ずと近づいてくるでしょう。


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